初心者のお化粧

今日は久しぶりに"初めての化粧品"を買いに行った。
金欠中に¥6,000の出費になったのは痛かったが仕方ない。
なんせ明日は転職先とオンライン面接なのだ。

化粧のいろはを掲載したサイトより抜粋した化粧のコツ、おすすめコスメ等を自分なりにまとめたメモを見ながら、価格を重視しつつ化粧品コーナーを徘徊。およそ1時間に渡る物色でお店の方から万引きを怪しまれていたかもしれない。

しかしこちらはお肌の曲がり角を既に曲がった30歳で、およそ2〜3年に1回の転職を幾度も繰り返している未婚という地雷のような肩書きを、顔面の第一印象で緩和するために、できない化粧をできるように準備しなければならないので必死だった。

他人の目を気にしてやまない私が今日はスマホのメモと化粧品ばかり見て集中していた。

集中はしていたが不真面目なので、化粧品の選び方は最終的に雑になる。テスト用の左手の甲はどんどんきれいになっていくが、果たしてこれが顔に合うのかよくわからない。なんとなく「健康的な」フレーズよりも「自然な」化粧品に惹かれてしまう。乾燥肌にはリキッドクリームのファンデーション且つマスクでも落ちないものがいいのはリサーチ済みだったので、目当ての物を見つけられて安心したが、その色の選び方でさらに時間を要した。肌色だけでこんなに種類があるなんて。海外に行ったらどうなってしまうんだ。

こんな時に、デパ地下で自分の肌に合う日常使い用のコスメを一式テストしてもらい、それをまとめ買いできればどれだけ楽かと思った。
博多阪急では「買うものなどない!ここはただの通路だ!」と思いながら早足で通り過ぎたあの通路は、キラキラ光って目に眩しかったことが思い出される。

ちなみに美しい店員さんたちも地味な私を客とも思っていなかったと思うので総スルーだったが、それは当然のことだし私は寂しくないし、そんなキラキラ美しい店員さんたちが眩しくて直視できなかった!

化粧下地は持っていたが、今は長持ちする化粧下地があるのか。でも今回はなるべくあるもので済まそう。
アイブロウ…?眉毛は整っている方だし必要か…?明るい印象を与える明るめのアイブロウがおすすめ?黒毛にブラウンが合うのだろうか?
マスカラのようなリキッドアイブロウなんてあるのか。いやいや、これは流石に髪の色と合わせるものでは…?
ここはメモを参考にパウダーものとペンでいいか。あとは帰宅後眉の形を整え再検討してみよう。

マスカラはいいかな…。まつ毛が上がると落ち着かない。
アイライン…いるか?黒いアイラインは太く引き過ぎると太く見える…そもそも綺麗に引けるだろうか?鉛筆タイプと筆タイプとどっちが…?

アイシャドウ!もっとわからない!
パレットに4色の微妙に違う色で数パターンも!塗り順が明記してあるのはありがたいが、その違いがよく分からない!あっちは二色のパレット!使いやすそうだが色が派手だな!

チーク!どうせマスクで隠れるだろ!あ、でも明日はzoomだからマスクは無し!やっぱりいるだろうか。やり過ぎてオカメにならない微妙な量を頬に乗せるだけで印象が変わるとか難易度高すぎる。。。


…など、沢山のことを考えてしまい疲弊した。
帰宅後これを練習しなければいけないのが億劫だった。
また、最近乾燥肌がひどく赤みや痒みに悩んでおり、自分なりに気を遣ってケア商品を揃えていたつもりだったが、化粧品と並んで肌ケア商品も山の如くあり、化粧の奥深さ以前に、肌のお手入れの大変さ、煩わしさの片鱗を見た。

日常のタスクだけでも面倒なのに、この上化粧を取り入れられるだろうか…。

日頃ノーメイクで出勤時間1時間前でも毎日ギリギリと準備が下手なので、化粧に時間を割くとなると前倒しで行動しなければいけないのかと思うと更に億劫だ。

日焼け止めでさえ使い切ったことがない私だが、仕事の一環となると幾分か気は楽になる気がする。面倒なのに変わりはないがいつしか楽しめる日が来るだろうか。それとも、ノーメイクで外出していたあの頃が恥ずかしい!と言う気持ちになるだろうか。

日常に組み込む大変さも去る事ながら、やはり出費が痛い。

毎日化粧をするとなると年間いくら化粧品代になるのか想像もつかないが、基本のメイクだけでいくならそんなにお金はかからないだろうか。今は金欠なのでなるべく節約の毎日だがここで新たな出費が増えるのは痛い。

金銭的にもせめて下地だけで済むような美肌であればよかったが、自撮りした写真はクマやそばかす、くすみと思われる肌の色、いつの間にかあった目尻のシミなど、コンシーラーで隠すべきものがたくさん噴出していて目を背けたくなった。

化粧をする人の中には私のように目を背けたくなるうな人もいるだろうが、そんな自分を"隠す"、"作る"と言うよりは、毎日嫌と言うほど至近距離で見つめ続けているのだからすごいと思った。

化粧は大きな絵画を仕上げるのと似ていると思った。


ドラッグストアから帰宅後、早速眉毛の処理に取り掛かる。
眉毛の黄金比なる画像を参考にするためまず自撮り📸
黄金比画像を参考に自撮り写真の目元や眉に線を引き、私の眉の黄金比を導き出した。

結果、幸いにもかなり整っていることが分かったが、若干眉間が近いので少し間隔を空けつつ眉以外の周りの毛も処理することで形をはっきりさせよう。いつ買ったか分からない毛抜きでたくさんの眉毛を抜いてはティッシュに乗せていった。

皮膚が赤くなったり、毛穴から血が出たり、腫れぼったい瞼が若干腫れ気味になったが、一時間半に及ぶ眉毛処理は功を奏し、整いつつも武士のようだった眉は穏やかさを身につけ、左右対称になった。不器用な私にしてはなかなかだと思う。

みんなは日頃左手でどうやって眉毛を処理しているのだろう。毛の流れもあるし絶対利き手では難しいと思うのだが。化粧は利き手以外も使わないといけないのが難しい。

「一本一本丁寧に」
アイブロウの鉛筆は何度も眉からはみ出し、その度に指で拭っていたので指の腹は焦茶色に汚れていた。集中し過ぎて濃い眉になって笑った。軽〜くで良かったんだな。

粉のアイブロウのほうが手軽で良い。だがこちらも4色のパレットで色が"選べる"ので悩ましい。
大体焦茶かブラウンで落ち着くだろうと思いながらフォアッフォア塗っていく。だが鉛筆の方が長い眉でも毛の中の肌まで塗れている気がする。

眉は顔の額縁というワードが頭から離れない。
…絵は額縁で決まる物ではないと思うけどね!

その後初のコンシーラーや、リキッドアイラインなどを試しつつ2回ほど化粧の練習をしたが、やはり下手くそな顔に塗り上がった。

コンシーラーでは隠しきれないがマシにはなっているのに厚化粧に見える顔色。立体感など皆無ののっぺりした均一な肌感。濃い眉に薄い唇。
唇のことを考えていなかったので色つきリップを
塗ってみるも色が薄かったようだ。
頬はなんだか汚れているような色に見えるチーク。

あまりにも初心者の化粧すぎてちょっと可笑しかった。


明日、面接時間までにできるだけ再度練習し本番に備えるつもりだが、目標はノーメイクよりマシでいこう。それ以上目指すことは技術的に無理だしモチベもない。
ただ、変な顔と思われないようになりたい。

化粧をして、いつの間にか肌が"汚く"なっていたことが分かった。このままお外に出ていたなんて恥ずかしい!とは思わなかったが、もしかしたら周りの人は、良い歳なんだし化粧すれば良いのに。と思っているかもしれない。だから何だといった気もするが、80歳でも化粧をしている人は若い時からずっとしている。習慣化しているのだ。

理想は化粧をしていないようなメイクだったが、私はいつの間にか化粧した顔が必要な顔になっていた。
こんなことに今頃気づくような行き遅れが今まで伸び伸びしていられたのも、仕事柄マスクが必要な作業が多かったことや、このコロナでのマスク生活の"おかげ"もあるだろう。なんせ顔の半分以上が隠れているのだ。その上幸運にもまつ毛が豊かで眉は整った方だったから、まだ見られる範囲だっただけだ。それでも黄金比に習って眉を整えると、今までボソボソだったんだと思えたし、まつ毛ケアの商品もたくさん見かけたことからこのまつ毛がいつまであるかも分からない。

いつかはプロから技術をご教授いただきたいものだ。
本当は髪も切りたかったけど間に合わなかったな。
来週は髪を切ろう。

あーなんで美容はこんなに…。
楽しめれば良いけど。

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