中小企業省力化投資補助金(カタログ型省力化補助金)の落とし穴~あなたは給与支給総額の定義理解してますか?~
省力化投資補助金の「給与支給総額」とは?
さて、2024年6月7日に中小企業庁から「中小企業省力化投資補助事業(カタログ型省力化補助金)の申請受付等のスケジュールが公開されました。
第1回公募のスケジュールはこんな感じです。
予算4000億ともいわれるこの補助金ですが、以前の事業再構築補助金などとは違い、それほど人気になっていないようです。
6月25日の申請スタートまでに、盛り上がってくるのでしょうか?
さて、中小企業省力化投資補助金で重要なワードがあります。
「給与支給総額」というワードです。
申請項目にもありますし、
実績報告の際の報告事項でもあります。
さらに補助額を引き上げる賃上げ目標では、補助事業期間内に「給与支給総額」を6%引き上げる必要があると書かれています。
では、みなさん、この「給与支給総額」の定義はご存じですか?
公募要領を見てみましょう。
公募要領には、上記の通り記載がありますが、ひとつ注意事項です!
上記の記載は間違っています!
私もコールセンターに確認しましたが、公募要領の記載が誤っており、正しくは「よくある質問」の41のアンサーが正しいと回答をいただいています。
それほど遠くない時期に公募要領が修正されるようですが、
正しい「給与支給総額」の定義は上記の通りです。
色々書いてはありますが、結論を言えば、給与支給総額=全従業員(非常勤を含む)に支払った所定内給与という定義となります。
また、非常に細かいですが、
「給与支給総額とは、全従業員(非常勤を含む)に支払った給与等(所定内給与のみ、~」
というように書かれていますが、正確には「~給与等~」の「等」も不要で、あくまでも、給与支給総額が指すのは、「所定内給与」のみとなります。
では、「所定内給与」とはなんでしょうか?
この定義について、コールセンターに確認してみると、「厚生労働省の定義になります。「厚生労働省 所定内給与」で検索してください」と説明されました。
これについて、昨日ツイートしています。
ちょっと小さいかもしれませんが、その定義は、以下の通りです。
これで、給与支給総額について、間違わず算出することが可能ですね。
申請時や特に補助額の引き上げを受ける場合は、必要になりますので、間違わずにご申請ください。
しかし、役員報酬や従業員の賞与、一般的には給与と認識される時間外手当等も「給与支給総額」に含まないとなると、まず「給与支給総額」を計算するのも大変ですし、補助額の引き上げを受けるためには、短期間(補助事業期間内)に、給与のベース(基本給部分)を引き上げる必要があります。
どれだけ、補助額の引き上げを使う企業があるかわかりませんが、定義を間違えたり、引き上げる時期を間違うことで、人件費はアップしたけど、補助金額の増額が受けられなかったとならないように注意しましょう。
他の補助金の「給与支給総額」の定義
では、この「給与支給総額」というワードですが、賃上げを最重要課題とする岸田政権ですので、他の補助金にももちろん登場します。
メジャーなところでいえば、事業再構築補助金とものづくり補助金があります。
それぞれの「給与支給総額」の定義を確認します。
省力化投資補助金の「給与支給総額」の定義
省力化投資補助金の「給与支給総額」の定義は上記で説明の通り「所定内給与」となります。
ものづくり補助金の「給与支給総額」の定義
では、ものづくり補助金の「給与支給総額」の定義はどこに載っているかと言うと、第18回の公募要領のP14に、記載があります。
これはわかりやすく記載されていると思います。
事業再構築補助金の「給与支給総額」の定義
では事業再構築補助金の「給与支給総額」の定義はどこに載っているかと言うと、第12回公募要領のP20に記載があります。
給与支給総額を確認するために、「法人事業概況説明書の人件費欄に記載され金額で判断」と書かれていますね。
では、「法人事業概況説明書の人件費欄」にどのようなものが入るかについての明確な記載は事業再構築補助金の公募要領やQAにはありませんが、国税庁が出している「法人事業概況説明書の書き方」という資料には以下のように書かれています。
つまり、こちらは「役員報酬、役員賞与を含むと書かれており、当然、省力化投資補助金で除外されている時間外手当なども含む」という理解でいいでしょう。
給与支給総額のまとめ
以上で説明の通り、「給与支給総額」とは何かという定義については、3つの補助金で表現がバラバラとなっています。
私が読み解く限り、ものづくり補助金と事業再構築補助金の「給与支給総額」の定義は同一のように理解していますが、「法人事業概況説明書の人件費欄」の計算は各事業者(税理士の先生)に任されていることから、「人件費欄」に
・退職金を含めてしまう
・労務費を含めない
・福利厚生費を含めてしまう
などが発生すると、事務局の意図する数値と乖離が生じ、どこかで指摘が入るかもしれません。
事業再構築補助金を活用される方は、この辺りを税理士の先生とよく話し合って、正確な「人件費欄」の数字となるように注意いただければと思います。
省力化投資補助金の注意事項
その他、省力化投資補助金にも「収益納付」という制度があります。
「収益納付」は簡単に言うと、「この補助金を活用した事業で収益(利益)がでたのであれば、もらった補助金を国に返してね!」という制度です。
せっかく補助金をもらっても、すぐに補助金を返せと言われては、意味がありません。
ですが、どのようなケースで、この収益(利益)がでたと認定されるのか、補助金事務局側に聞いても、詳細が決まっておらず不明という回答しか現在いただけませんでした。
模試気になる方は、下記の記事もお読みください。
このようなルールが不明確な状況で、第1回目の申請開始を迎えるわけですが、皆様におかれませいては、よくルールをご理解いただき、効果的に補助金を活用いただければと思います。
本件に関するお問合せ先
合同会社ビジネスデザインラボラトリーズ
担当:太田
TEL: 070-2826-0182
Email:mitsuru.ota@bd-labs.jp
お問合せは下記公式LINE等よりお問合せいただきますと幸いです。
弊社は補助金申請のサポートの他に、インバウンド(訪日外国人観光客)向けの集客支援サービス「ExchangePLUS事業」も行っております。
観光地で飲食店、お土産店、貸衣装店などの店舗を経営されている方で、訪日外国人観光客向けの売上を増やすことをお考えの方がいらっしゃいましたら、下記をご覧いただくか、公式LINE等からお声かけください。
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