出典解説N「adawho?」 2011年11月 大和田俊之人文科学研究会
出典解説のNは、慶應大学の生徒による雑誌です。
N「adawho?」 2011年11月 大和田俊之人文科学研究会
編集後記によりますと、大和田俊之教授がゼミ生に課した条件は次の二つ。
1)自分たちと同じ大学生を想定読者とすること。
2)それほど音楽に詳しくない学生も楽しめる内容にすること。
この条件の通り、肩の凝らない読み物、ディスクガイドなどが並んでいます。
20歳の頃に私が関わった「FAKE」と比較したいような、したくないような微妙な感慨を持ちますが、目次からタイトルをいくつか拾ってみますと、
・オリーブ少女考
・日本のアブナイ音楽
・女子ジャズのススメ
・やさしいヒップホップ
・突撃!渋谷のJK100人のホンネ
・Music3.0
など、オールカラーで84ページという贅沢な内容です(ちなみに「FAKE」の表紙は青と赤だけ、本文は白黒で40ページくらい)。
入手の難しい本ですがちょっと注意を促したいのは「Music3.0」で、2011年の時点で2021年の音楽環境を予想しています。
・超小型デバイスによってストリーミングして音楽を聴く(ダウンロードではない)
・通行人それぞれに違う広告を配信
・大手レーベルは縮小し、個人や小規模レーベルが力を持つ
など、2022年の今の目で答え合わせをしてみると、100%ではないにしてもかなり正確な予想と言えそうです。
この雑誌の冒頭に置かれているのが「牧村憲一氏インタビュー」(全6ページ)です。内容は70年代から80年代、フリッパーズ・ギターを経て以降まで、満遍なく有名なミュージシャンの名前を挙げつつ振り返っています。
表紙には「渋谷系の生みの親であり、山下達郎、吉田拓郎、竹内まりやなど数々のスターを世に送り出した名プロデューサー」と書かれていますが「吉田拓郎」の名前はインタビューには出てきておらず、何かの勘違いではないかと思われます。
*次週は一回お休みします。