表紙のデザインについて
タイトルと同様に、表紙のデザインも難航しました。
そもそもタイトルが決まらなければデザインも決まらないものですが、それでも並行していろいろなパターンを考えました。
基本的に表紙には「タイトル」「著者名」「出版社名」が並ぶことになります。
何かワンポイントでもイラストを添えると、たちまち費用が増すのでそれは無しとして、原則はこれまでのN4書房の本と同様に文字のみで、入れるとしてもせいぜい〇や★だけを使う、という範囲で考えています。
実際、有名な出版社から出ている本でも、イラストがなく文字だけ、という表紙は結構あります。
しかし、真似をしてシンプルにすれば上手くいくかというとそうでもなく、かといって複雑にするとかえって素人っぽさが出てしまう。このあたりの加減が難しいのでした。
結局、タイトルを模索しながらデザインも手探りで試作品を作っていました。そのうちふと、「タイトル」「著者名」を繰り返して模様のようにしてはどうか、と思いつきました。
これがその試作品ですが、何となく化粧品売り場に置いてある有名ブランドのカタログのような、品格が感じられました。
おそらく大きな出版社から出る本であれば「どこがタイトルなのか」「どこに著者名があるのか」をはっきりしなければ苦情が来るでしょう。しかし、少部数のZineなので、もともとそのような配慮はさほど必要がないのでした。
ある意味、常識に反する大胆なデザインであり、同時に模様のようで地味でもあるという、独特の個性が感じられました。
パッと見た感じ、これは「ヘッド博士」風のデザインでもあります。♦の色を変えたり、〇に変えてみたり、調整をしているうちに自分ではそこそこ満足できるものとなりました。
最終的にはこのデザインをベースにして、タイトルを「Lecture and Interviews」として、「筆記体にする」「色を黒と紺にする」といった変更を加えて完成となりました。
最終的なデザインはやや「カメラ・トーク」を思わせる、という意見もありましたが、私としては後になってから雑誌「ユリイカ」の「シン・ゴジラ」特集号を思い出しましたし、ティム・オブライエンの「本当の戦争の話をしよう」にも通じるものがあります。
僅かに「ヘッド博士」風のテイストも残っており、本文P.80にある「焦点のない〇〇」も意識しています。
どこが中心でもなく、周辺でもなく、規則性があるような、ないような、ゆらゆらして静かな雰囲気で、飽きの来ない表紙になったと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?