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出典解説Ⅹ「ポップ・ミュージックを語る10の視点」 2020年2月 アルテスパブリッシング

Zから遡ってAへと進む「牧村憲一発言集成」の出典解説シリーズのXです。

Ⅹ 「ポップ・ミュージックを語る10の視点」 2020年2月 アルテスパブリッシング

本書は音楽に関する連続講座を書籍化したもので、ジャンルも切り口も様々です。

出版社の紹介文では以下のように要約されています。

いま音楽を語るときに私たちが語ること── 注目の論客たちがポップ・ミュージックの現在を 多角的に論じた刺激的な連続講座、待望の書籍化!

〈music is music〉レクチャー・シリーズは、 音楽プロデューサーの牧村憲一と投資家/コンテンツ・プロデューサーの マスヤマコム(桝山寛)のプロデュース、 『文化系のためのヒップホップ入門』著者の大和田俊之のコーディネイトによって、 2016年から18年にかけて東京・渋谷で開催されました。

登壇したのは、すぐれた耳とシャープな視点を持って音楽に取り組んでいる 音楽プロデューサー(冨田ラボ)、ジャズ作・編曲家(挾間美帆)、 音楽学者(南田勝也、増田聡、細馬宏通、永冨真梨、輪島裕介、大和田俊之)、 ライター/ジャーナリスト/評論家(柳楽光隆、渡辺志保)の実力派10人。

最新型のジャズ、アメリカのヒップホップ、ロック、ポップス、 さらにはカントリーから東アジア圏のポップスまで、 いまポピュラー音楽を語るとき、どんな言葉が可能なのか── 音楽体験への新しい扉をひらく10の講座へようこそ!

01 大和田俊之「テクノロジーとアメリカ音楽|アフロフューチャリズム、ゲーム音楽、YMO」

02 柳樂光隆「オルタナティヴなジャズ史の試み|メルドー、グラスパー以後を聴く」

03 南田勝也「世代から見る「ロック」の五〇年|ベビーブーマー、X世代、ミレニアルズ、そしてZ世代へ」

04 冨田ラボ(冨田恵一)「?録音された音楽?を聴くことの意味|アル・ジャロウ、 スティーリー・ダン、EW&F、マイケル・ジャクソンを題材に」

05 渡辺志保「ヒップホップ・シーンの裏側|ネット、ゴシップ、セレブ・カルチャー」

06 挾間美帆「ラージ・アンサンブルの歴史と新展開|作・編曲家の視点から」

07 増田聡「音楽にとってパクリとはなにか|?模倣/カヴァー/オリジナル」

08 細馬宏通「デヴィッド・ボウイの「Away」感覚|〈スターマン〉〈ライフ・オン・マーズ〉?を読み解く」

09 永冨真梨「カントリー・ミュージックの新潮流と多様性|ステレオタイプを越えて」

10 輪島裕介「環太平洋・アジアから日本ポピュラー音楽史を見る|演歌、カタコト歌謡、 ドドンパから〈プラスティック・ラヴ〉まで」

帯(裏側)より

本文中、牧村氏の文章は巻末の「私のスコラ──あとがきに代えて」のみ、 しかも3ページです(P.340-342)。

ここから、固有名詞を多く含む前半の、 昭和音楽大学の教え子リストの含まれる段落を採ったのがX01、 そしてこの本全体のコーディネーターとなる大和田俊之教授との 出会いに関するエピソードともいえる箇所がX02です。

X02は、牧村氏→小沼氏という敬意の矢印が「アメリカ音楽史」(講談社) によって小沼氏→大和田氏、となり、そこから著者の大和田氏→牧村氏、 とじゃんけんの三すくみのような構図になる流れが短いながらも面白く、 何度も読み返したくなる素晴らしいエピソードです。

楽器を弾ける人や歌える人、あるいは作詞家や作曲家はいわば 「音楽そのもの」「音楽を生み出す人」「音楽と一体化した存在」であるのに対して、 音楽を聴く人、音楽について読み、書き、論じる人というのはどこかで一歩、 音楽から引き離された地位に立たされています。それどころか、批評行為そのものが疎まれてさえいる昨今ですが、 上記のように音楽を研究し、音楽に関する書物を介して、 敬意でつながった美しい関係を結ぶこともできるのです。


また、Ⅹ02で牧村さんのツイートにいきなり自分の名前を発見して「わわ!!」と驚く部分は 自分にも同様の経験があり、他人事とは思えませんでした。


「発言集成」内の関連項目としては、以下の二つが挙げられます。

N 「adawho?」  2011年11月  大和田俊之人文科学研究会

U 「慶應義塾大学アート・センター/Booklet26 mandala musica」  2018年3月  KUAC


Nは大和田教授のゼミ生による雑誌、Uは同じ慶応大学の粂川教授が編集されている、 音楽に関する対談・鼎談をまとめたブックレットです。

粂川教授には特別ゼミとして「フリッパーズギター研究会」 という名目で2019年に講義をさせていただきました。

「言葉(主に歌詞)」(中村四郎)と「音」(吉田仁)に関する二回を二ヶ月続けてです。 言葉についての回の採録は「ベレー帽とカメラと引用」03号に掲載しています。


ちなみに私が持っている本にはサインがあって、輪島教授は分かるのですがその上は……、おそらく最後は「之」だと思うのですが自信がありません。

「之」らしき「乙」「Z」のような流れ


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