とうちこ奇談〜遊戯〜
小児の遊びの代名詞ともいえる鬼ごっこやかくれんぼに欠かせないとうちこ遊びというものがある。いわゆる当てもの遊びというもので、遊戯のオニ決めによく用いられている。
木の枝を十分にしならせてから両手で揉み回し、周りの「とうちろろん!」という掛け声で手を投げ放し、落ちた枝の向いた方の者をオニと決める。
「とうちこ」という言葉から何か滑稽な意味を持つと思われる人もいるであろうが、実際は決してそうではなかった。
正月の三が日に小枝を編み綱にしてグリグリと揉みまわし、
「とうちこさんの方へ面向ける
面の目かくして
面向ける」
と歌い、今年のとうちこ様の奉る方角を決めたという話が残っている。子供のような占いだが、とにかくこれには欠片の戯れの心持ちは伴わうことはないそうである。
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