ロシアのウクライナ侵略のシナリオ分析 2022年2月26日
ロシアのウクライナ侵攻は、全て事前のシナリオ通りに進んでいます。
この投稿は2月14日のものです。
これは当てずっぽうでもなんでもなく、ロシアの軍事演習、或いは実際にウクライナに対して過去に行われたことをまとめただけのものです。
そして、現代の戦争では「演習したことしかしない」というのが鉄則のようです。
トライアスロンでも練習したことしか試合当日でできないように、
北京オリンピックのスノーボードのハーフパイプやフィギュアスケートでも練習したこと以上のことはできないように、
現代戦で勝つためにはシナリオを持って、演習し、勝ちパターンとなる戦略を構築する。
それが軍事演習であり、その延長が実戦なのです。
そして2月24日に実際にプーチン大統領はウクライナに侵攻し、軍事施設などにミサイル攻撃を仕掛けました。
当然ながら開戦初日からキエフにも攻撃を仕掛けました。
セオリー通り、夜明け前に空軍施設、管制施設、港湾施設、武器庫、弾薬庫、レーダー施設をできるだけ空爆。
夜明けと共に地上部隊を国境と上空から投入し、道路や橋梁、軍司令部を落とす。
黎明作戦の教科書通りに、当たり前のことを当たり前にしてきたのだ。
昨日までの私の見立てとしては、ゼレンスキーは早々にポーランドとかに亡命するんだろう、どうせ元コメディアンのヘタレだしなぁ、というものでしたが、それはとんでもない思い違いでした。
いや、ちょっと待ってくれ、それしたらプーチンがガチでキレるやつやぞ?
これまではプロレスで、政府主要施設への攻撃はなかったが、もうそれも今日か明日にはどうなるかわからないぞ!
お前のつまらない愛国心のためにウクライナ人が何人死ぬと思っているのだ?
決してロシア贔屓でない、プーチン擁護ではない。
俺が言いたいのは世の中には関わってはいけない人がいる。
プロレスでは気がすまない人がいる。
怒らせてはいけない人がいることだ。
それがプーチンなのだ。
兆候としてロシアは核攻撃の準備に入った。
下記の動画はICBMの輸送の動画だ。
ICBMとは大陸弾道ミサイルのことで、射程1万km程度まで届く核ミサイル(戦略核)だ。
これはウクライナに撃つものではない。
ウクライナに撃つのは短射程(500km未満)の核ミサイル(戦術核)だ。
ではなぜICBMが登場するのか?
それは米軍への牽制である。
これはらロシアがウクライナに核を打ち込むが、米軍が来たらICBM撃つぞという警告である。あえて見せびらかすようにICBMを運んでいるのだ。
これは米国のインテリジェンス部隊も見逃さす、
すかさずゼレンスキーに「やはく逃げろ、降伏しろ」と警告したのだ。
しかしゼレンスキーは戦う意思表示を見せる。
戦況は非常に厄介な状況になってしまった。
キエフにて武装した市民が集まっている。
彼らは決死の覚悟で防衛戦をしている。
ロシア軍もどんどんキエフ周辺を固めてきており、
そしてキエフでの地上戦はどんどん激化している。
ここまでが日本時間 2022年2月26日12:00時点の状況である。
今後、この戦争がどのような展開を見せるのか、シナリオ分析してみた。
ロシアの核戦略は「被ダメージを避けながら核戦争に持ち込む」というものだ。
それはウクライナ(後のロシア領を想定)のダメージを最小限にするために、ロシア軍のダメージを最小限にするために、ロシア内で起こる反プーチン勢力の高まりを最小限にするために、核を使うシナリオも想定されるということだ。
そしてNATO軍の核による攻撃を避けるためのICBMや爆撃機での核威圧。
「エスカレーション抑止」論
ロシアの軍事戦略は公開されている。
これはNATOへの牽制であるが、逆にロシアは本当にこの通り戦争を進めないとナメられるというわけだ。
要するに、最初は軍事演習やサイバー攻撃をして、それが小競り合いになり、いつの間まにか大規模戦争になり、それがやがて核保有国通しの核攻撃とその報復の応酬にエスカレーションするというものだ。
これを抑止するのが「エスカレーション抑止」である。
特に2月26日時点のウクライナは過度な損害の惹起の段階に突入しており、特に局地紛争のフェーズに突入したと見ていい。
・一般任務戦力の行動
・敵領域内の目標に対する複数の精密誘導兵器を用いた攻撃
・核使用の脅し
・敵の戦略核戦力の戦闘ポテンシャ ルを減少させないがロシアのそれを増大させるような目標に対するPGMその他を用いた損害惹起
この動画は正に精密誘導兵器を用いた攻撃である。
ミサイルはビルに直撃したが、ビルは倒壊せずに残っているしレベルの攻撃である。
これが大型のPGMになると、本当に洒落にならない破壊力がある。
実際にロシアはシリアのアレッポでKAB-500S PGMを撃ちまくっている。
それで空いた穴がこれだ。
このような穴の写真や動画がTwitterで現地人から投稿し始めたらいよいよロシアも本気になってきたと言えるだろう。
流石にその前にウクライナは降伏すると思うのが私の見立てであるが、
それの読みが外れたときに本当の悲劇が訪れる。
現状の局地紛争が長引けば、今度は地域戦争に発展することになる。
この段階になると、ロシアもガチで火力が高い兵器をどんどん投入して更に圧力をかけるのだ。
地域戦争
・多数のPGMを用いた敵の目標に対する攻撃
・敵部隊に対する単発または複数の戦術核兵器の使用
・戦略核兵器または戦術核兵器のデモンスト レーション的な使用
・単発の核攻撃につながることを確信させる行動
そしてそれの延長にあるガチの核戦争の回避を想定したのが「エスカレーション抑止のためのエスカレーション」である。
これは、どうせこのまま行くと核戦争になるので、その前にかなり早い段階で限定的な小規模な核攻撃をするというものである。
そうした方が、両方へのダメージ合計値が小さくなると試算される場合、早期の限定的核攻撃はそれなりに合理的といえる。
ましてやロシアはウクライナを侵略した後に、統治をしなければならない。しかし戦争終了後もゲリラ戦やテロなどで統治が進まなくなる事例はたくさんあり、ロシアもチェチェン問題などで20年ぐらい?て手こずった歴史がある。
そこでロシアは今回こそは限定的な核使用をする可能性がある。
「見せつける」ための核使用から、実際にある程度の損害を与えてウクライナを降伏させることを含む。
核攻撃にも複数グレードがあり、核部隊のウクライナ展開、或いはロシア国内での演習などの威嚇目的もあれば、特定の目標を限定攻撃(核または劣化ウラン弾などの非核攻撃)もある。
現時点ではICBMを見せつける段階まで行っている。
更にはチェルノブイリ原発で廃棄物質の貯蔵庫施設を爆破した。
これは明確に核利用の第1弾に入ってしまったことを意味する。
そして第2弾は、「適度な損害の惹起」である。
ロシアが核を使用する意思決定は下記の核使用基準に則り判断される。
今のウクライナ情勢が上記に相当するかどうかは不明だが、プーチンは「ウクライナは核開発を秘密裏に行っている」と述べている。
この証拠は終戦後にいくらでも捏ち上げることが可能だ。
またウクライナでは原子力発電所の開発もあり、それを無理やり核開発だとして言い切ることもプーチンならば可能なのである。
ウクライナの核開発の証拠は後から作ればいいし、ロシアの核使用の基準もあるという状況だ。
更にロシアは限定的核攻撃を本当にする可能性があることが国際社会ではバレバレなので、2017年には在独米軍がロシアの限定核攻撃を受けたという想定の図上演習も行われたようだ。
更に米国の核開発の偉いさんのHans Kristensen氏もロシアの核戦略については、”He’s willing to do really not very rational things.”(彼はあまり合理的ではないことでも進んでやるんだよ)と呆れたコメントを出している。
Russia’s roughly 6,000 warheads make it the country with the largest nuclear arsenal. Kristensen said most of those warheads are in reserves, with only about 1,600 deployed as land, sea, and air-based weapons, such as missiles in silos or bombs dropped by planes. (When the USSR fell apart at the end of the Cold War, there were nuclear weapons left behind on Ukrainian soil, but Ukraine returned them to Russia.)
The answer, Hare said, will shape how the United States and its NATO allies decide to deploy their forces — conventional and nuclear — around the world. “We’re starting to see large powers begin to sort of entertain the thought of limited tactical nuclear weapons use scenarios, in a way that they didn’t spend very much time thinking about 10 years ago,” said Kristensen. These are the sorts of unlikely scenarios that have been tossed around in war games as contingencies since the Cold War, and could entail strikes on isolated military targets that are far from population centers, for example.
“The theory is very much like it was during the Cold War,” Kristensen explained. “You just sort of have some smaller nukes that you can pop off here and there, to force an adversary to take an off-ramp during a conflict.”
このHans氏の発言からもわかる通り、NATO加盟国では「ロシアの小型核兵器の限定的な使用」を蓋然性のあるシナリオとして組み込んでいるのである。
これはしっかりとプーチンがキチガイであることを前提にしてるのだ。
今回のロシアのウクライナ侵攻でも明確になったように、プーチンとは「NATOの想定していた通りのキチガイ」であったことが証明され、そのプーチンは核を使う意思決定権を持っている。
このようにロシアが紛争終結のための限定的核使用が0%でないことが、NATOも認めているのである。
しかしロシア側も積極的に核使用をしてこない可能性もまたある。
ごく少威力の核攻撃であったとしても、一度核を使うと、NATO側がどう反応するか、ウクライナ内部、NATO軍、ロシア内部の不確実性は大きくなる。
おそらくロシア軍の基本シナリオとしては、今後は非核の長距離精密誘導兵器をたくさん使用し、ウクライナの降伏を促すのだが、
果たして本当にウクライナは降伏するのか、プーチンがそれを悠長に待ってくれるのか、非常に疑問である。
通常のPGM以外にも超音速兵器やレーザー兵器も出してくる可能性もある。
超音速兵器はレーダーでは探知しづらく、マッハ5~マッハ20の高速低空飛行なのでNATOのミサイル迎撃システムでも防ぐことは難しいようだ。
代表例がKinzhal(キンジャール)で、攻撃機に1発だけ装填して、打ち込むというものだ。
おそらく弾頭は非核化されたものを使うだろうが、これを実戦で見せられたNATOはますます弱腰になるしかない。
そしてロシアはそれを読んで意図的に使ってくる。
ウクライナ侵略はロシアにとってNATOへのメッセージでもあるのだ。
俺と喧嘩すると、この弾頭に核を搭載してお前の家にぶち込むぞ!というわけである。
そしてこれを書いているうちに、NATO高官は防空システムの提供も含めた対応を発表してしまった。
NATOの防空システムがウクライナに配備されれば、ロシアとしてもKinzhalを使うしかなくなる。
そしてそれであるなら、ロシアがウクライナで積極的に小型核を使うメリットもたくさんある。
絶対にNATOが来ない状況で、「実戦で核を使った2番目の国」として歴史に名を残し、今後の欧州や米国とのあらゆる交渉を有利に進めることも可能だからだ。
この記事を書いている数時間の間にも、戦況はどんどん悪い方向に、着実に次のフェーズに進もうとしているではないか。
このまま行くと、本当に核戦争不可避で、それもかなり早い段階でそうなるんではないかと危惧しているので状況を注視しながら、書き足して行きます。
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