12人の怒れる男 12 ANGRY MEN

 今日、久々に『12人の怒れる男 12 ANGRY MEN』を観ました(図書館でDVDを借りて)。さすがに映画館では観ていません(日本での封切は1959年)。私が最初に観たのは10代ですが、映画館ならリバイバル、TVならEテレ(昔の教育テレビ)だということになります。映画館かTVかは、記憶は確かではありませんが、馴染みのない陪審制でありながら、その息詰まる展開にドキドキしたこと思い出します。

 この映画は、ある犯罪が有罪なのか無罪なのかを、12人の陪審員で決める過程を描いたものです。判決は有罪でも無罪でも、陪審員の全員一致が条件です。ここからはネタバレです。観ていない人はここでstop!

 最初は11対1で有罪でしたが、最後は0対12の無罪になります。11対1の、1がヘンリー・フォンダ演じる陪審員8番です。彼が、残り全員を説得していきます(陪審員3番と4番も重要な役どころです)。12人の陪審員は多様性に溢れています。広告代理店に勤める男、野球(ナイター)を観に行きたい男、老人(老婆)の気持ちがわかる男、司会進行(フットボール・コーチ)の男、などなど。12人の独断や偏見、思惑や駆け引きが交錯し、そこに、12人の育った環境や歴史も、現在の職業や家族関係も関わってきます。12人の思想や心情も、映画の進行とともに浮き彫りにされます。12人の男たちが怒りながら議論を戦わせます。有罪なら死刑ですから白熱するのも当たり前ですが、でも本当に判決のことを考えているのか。判決そっちのけで(自分のために)議論しているような感じもあります。
 観ていない人は、ぜひ観てください。派手なドンパチやカーアクションやCGがなくても、脚本だけで面白い映画がつくれることを証明しています。また単純に面白いというだけでなく、1950年代当時のアメリカ社会の抱える問題を垣間見ることができます。さらに自分が、日本で裁判員に選出されたときの準備にもなるかもしれません(ただし陪審員と裁判員は違います。イコールではありませんが、予習にはなりそうです)。

追伸

 当時の時代背景や陪審員制についてはよく知りませんが、この12人のメンバーには黒人も女性もいません。仮に、黒人や女性いたらが、判決はともかく、映画の内容は少し変わっていたかもしれません。
 今回再度見直してみて、たとえばアナザーストーリーとして、後日「実は犯人は有罪でした」から始まるヘンリー・フォンダ演じる陪審員8番の苦悩を見てみたいという気持ちになりました。陪審員制の怖さは、まさに、そこにあります(O.J.シンプソンの事件を例に引くまでもなく)。
 19990年代に三谷幸喜作『12人の優しい日本人』も観ましたが、それはそれで面白かったですが、本家を超えることは難しいかもしれませんね(若かりし頃のトヨエツを見ることができます)。

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