サマータイム Summertime
ジャズの夏といえば、ボサノバでしょうか。私はゲッツ&ジルベルトを、夏にはよく聴きます。しかし今日は、あえてボサノバではなくて「サマータイム」を聴いてみましょう。
ご存知のように、この曲はガーシュウィンがオペラ『ポーギーとベス』のために作曲したアリアです(作詞はヘイワード)。
ビリーが歌ってヒットしてからジャズの定番になり、その後、数多くのジャズミュージシャンがカバーします。コルトレーンの録音が有名で傑作ですが、ビル・エバンス好きの私は『ハウ・マイ・ハート・シングス!』に収録されている「サマータイム」を聴きます。
イントロはチャックの気怠い感じのベースで、私は海の静かな波をイメージします。そこにポールのドラムが絡んできますが、それはまるで波に揺れる小さな船のよう。そしてビルのピアノが、軽快にメロディーを運んでいきます。全体としては、昼下がりの海辺の町のイメージですが、ビルのピアノは海辺を歩く異邦人を感じさせます。異邦人がちょっと立ち寄っただけ、というような……。そういう重くない感じが割と好きです。
追伸
オペラ『ポーギーとベス』には詳しくありませんので、誰かに教えていただけると助かります。ボーカル曲として(詞を読みながら)聴くと、夏の倦怠感が、ぐったりするほど伝わってきます。それは背景にある黒人の暮らしが過酷であり、出口のないものである、ということなのでしょう。それはそれとして「サマータイム」は、夏を代表する素敵な一曲だと思います。
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