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2020年8月の記事一覧

悠々として急げ。Festina lente.

 先日、『悠々として急げ 開高健対談集』(開高健著・日本交通公社刊・1977年初版)を読みました。書店社員から学者、デザイナー、酒造主人、作家など、12人との対談が収録されています。12人目の対談相手は作家の開高健(タカシ)です。開高健(ケン)が健(タカシ)と対談するという趣向になっています。
 第1回の対談の前書きに「悠々として急げ」の由来が書かれています。「ある王様の治政の座右の銘だったと伝え

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ダンス・ダンス・ダンス Dance dance dance

 村上春樹さんのファン(村上主義者)としては『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』は好きな作品群です。その先にあるのが『ダンス・ダンス・ダンス』です。未読の方のために多くは語りませんが、単独で読んでも充分興味深い作品です。
 個人的には、主人公の「僕」と同じようなライター稼業をしていた、当時の私にとっては「文化的な雪かき」という意味合いは他人事ではありませんでした。全体の印象

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練馬ナンバーの黒塗りのタクシーの運転手の正体とは? What is the true identity of a black taxi driver with a Nerima license plate?

 村上春樹さんの初期の短編集に『カンガルー日和』(刊・単行本=平凡社 文庫本=講談社/絵・佐々木マキ)があります。どの短編も春樹ワールドが楽しめますが、今回は「タクシーに乗った吸血鬼」を取り上げます。
 渋滞した道路上でタクシーの車内に閉じ込められる僕と運転手の会話で構成される短編です。私は単行本(1983年)で読み、後に文庫本(1986年)で読んでいます。単行本で読んだ時は大学生で、文庫本で読ん

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「語ることができないことについては、沈黙するしかない」が、語るべきことは語ろう。We have no choice but to silence what we cannot say. But we will tell you what to say.

 先日『世界は贈与でできている』(近内悠太著・ニューズピックス刊)を読了しました。教育者で哲学研究者(専門はウィトゲンシュタイン哲学)である著者のデビュー作です。副題は「資本主義の『すきま』を埋める倫理学」となっています。
 私自身がベーシンク・インカムや利他主義などに興味があり、さらに「贈与」「倫理学」「ウィトゲンシュタイン哲学」というキーワードに引かれたので、この本を読んでみることにしました。

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1961年6月25日、日曜日。Sunday, June 25, 1961.

 ビル・エヴァンスは私の好きなジャズ・ピアニストの一人です。私にジャズを教えてくれた大人たちのほとんどは、もっとハードで哲学的なジャズが好みであったようで、エヴァンスに対しては、ただのBGMだとか、家具みたいな音楽だとか、とにかく甘いだとか、どちらかといえば否定的でした。
 実際に自分で聴き始めてみて、数十年経ちますが、家具のように、ただそこにある、甘いBGMであるにしても、それも一つのジャズであ

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納屋は焼かれたのか? Was the barn burned?

 ときどき読み返す大切な本が私にはあります。その中の一冊が『螢・納屋を焼く・その他の短編』(村上春樹著・新潮社刊)です。
 収録作品の「螢」は、のちのベストセラー「ノルウェイの森」の原型で、哀愁溢れる短編です。最後の螢が消えていくシーンは、夏の終わりであり、青春の背中を見送るような心持ちになります。
 一方、収録作品の「納屋を焼く」は、かなり奇妙な短編です。この短編集の中では、この作品が最も好きで

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生と死をめぐる対話。A dialogue about life and death.

 以前私は『死を生きた人びと』(小堀鷗一郎著・みすず書房刊)を紹介する記事の中で、以下のように予告していました。
【小堀さんの新刊『死を受け入れること---生と死をめぐる対話----』(小堀鷗一郎著/養老孟司著・祥伝社刊)も読んでみようと思っています(養老さんとの対談ですから興味津々)。読後には、また記事を書きます。】
 本日、ついさっき『死を受け入れること---生と死をめぐる対話----』を読了

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