ファンド・マネージャーの視点を学ぶ:「長期、中期、短期的観点から見る市場の軌跡」
株式市場を長期、中期、短期という時間軸を区切りとしてみることで今後の市場予測に役立てるというねらいのもと、リーマン・ショック時の2008年から現在までを三分割して相場の特性を解説します。
株式市場を見る際、長期的視点、中期的視点、短期的視点といった時間軸を区切りとすることがあります。要は過去、現在の市場を理解することで今後の市場予測に役立てるための作業です。ここでは現在から2008年まで遡り長期の一区切りとします。
さらにその期間を三分割し、それそれを中期とします。
この中期を仕切るものは株価のレンジです。具体的には日経平均で10000円~15000円(Ⅰ),15000円から20000円(Ⅱ)、20000円~25000円(Ⅲ)とします。
Ⅰ 急落、底バイそして回復
(日経平均10000円~15000円)
具体的に2008年から2013年秋までの期間です。2008年から下降線をたどりますが、リーマン・ショックにより急落、一瞬7000円レベルまで到達します、その後回復しますが10000円前後に終始、最終的に2013年にようやく15000円へと戻します。外国人投資家の底値買い(BPS)継続、後半は円高から円安へとなり業績急回復による株価の急上昇、アベノミックス相場のスタート、本格的展開の初期段階です。
Ⅱ ニューヨーク市場との連動進む
(日経平均15000円~20000円)
アベノミクス相場が継続、2015年7月一瞬20000円を突き破りますが、その時点がピークとなり一年の調整期に入ります。2016年6月安値、1万5530円をつけます。その後戻しの動きに入り、一年後の2017年の年央に20000円に到達します。円安継続、外国人投資家は基本的に日本株を減少させる動きを継続。
Ⅲ ニューヨーク市場と東京市場のかい離拡大
(日経平均20000円~25000円)
トランプ大統領誕生後の日米株価は連動制はあるものの、日米の両指数が20000を超えた頃からかい離が確実に開いています。このかい離拡大傾向は順張りの外国人投資家、逆張りの日本人投資家という投資行動の違いが一つの答えとなっているようです。
このような相場付きは11月の米大統領選まで継続するように思え、さらに、日本人投資家は株価の大台変わりを一つの拠り所とする習性があるようです。こうしてみると日経平均で20000円底値、25000円天井のイメージに向き合う相場が今秋まで継続するように思えます。
講師:若林利明
フィデリティ投信など大手機関投資家で30年以上にわたって日本株運用を担当したファンド・マネージャー。折々の相場環境に即した日本株投資のカン所を解説します。
*当講座は個人向け投資学習サイト、「資産運用のブティック街」の「応用講座」に掲載中の講座の抄訳です。詳しくは当サイトをご参照ください。
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