BTCUSD、BTCJPYともに反落、PPIの上昇やパウエルFRB議長の発言を受けて米利下げ観測が後退 ビットコイン・デイリーレポート2024.11.15(2024. 11.14)
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市況概況(ビットコイン)
14日のビットコインは反落。BTCUSDは日本時間帯から欧州時間帯にかけては、前日終盤の下落が一巡し88,600ドルを下値支持にやや強含みで推移した。引き続き暗号資産への支持を表明している次期トランプ政権に対する期待感や上場投資信託(ETF)への資金流入が支援要因になった。ただ、全般的には最高値更新が続くなか利益確定の売り圧力も強く、ここ数日に比べ上値の重さも目立った。この日の日本時間午後に出揃った13日の米国のスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはプラス5億1010万ドルとなり、6営業日連続での流入となった。大規模な資金流入が続いており、米大統領選の投開票日5日の翌日以降の流入額は47億3303万ドルに達した。
一方、欧州時間帯にはブータン政府によるバイナンスへの送金が確認された。オンチェーンインテリジェンスプロバイダーであるアーカム・インテリジェンス(Arkham)によると、ブータン政府は367.263BTCを米国の暗号資産取引所バイナンスへ送金した。ブータン政府は豊富な電力(主に水力発電)を利用し国家事業としてマイニングを行っており、Bitcoin Treasuriesのデータによるとブータン政府のビットコイン保有残高は、米国、中国、英国、ウクライナに次いで、現在5番目となっている
米国時間帯では米生産者物価指数(PPI)の発表直後に91,780ドルまで上昇する場面も見られたが、PPIの伸びが前月から加速したことや同時に発表された新規失業保険申請件数が前週から減少したことを受け、米国の利下げペースが緩やかになるとの思惑から売りが優勢となり反落した。
米労働省が14日発表した10月の生産者物価指数(PPI)は季節調整済みで前年同月比2.4%上昇し、前月の1.9%上昇から伸びが加速し、市場予想の2.3上昇を上回った。前月比は0.2%上昇となり、市場予想の0.2%上昇と一致したが、前月の0.1%上昇を上回った。また、食品とエネルギー部門を除いたコアPPIは前年同月比で3.1%上昇となり、前月の3.0%上昇から伸びが加速し、市場予想の3.0%上昇を上回った。前月比は0.3%上昇で前月の0.2%上昇を上回る伸びとなった。
また、米労働省が同時に発表した11月9日までの1週間の新規失業保険申請件数は季節調整済みで21万7000件となり、前週から4000件減少し市場予想の22万3000件を下回った。
米PPI発表後の売りが一巡すると一旦買い戻される場面も見られたが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がダラスで開催されたイベントでの講演で「米経済はFRBに金利引き下げを急ぐ必要があるというシグナルを送っていない」と述べたことを受け、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げが見送られる可能性が意識される展開となり、再び売りが優勢となるなか取引終盤には87,000ドル付近まで下落した。この日の一連の動きを受けてシカゴマーカンタイル取引所(CME)が30日物(フェデラル・ファンド・レート)FF金利先物から算出する金利見通し(FedWatch )では、12月のFOMCで25bpの利下げが決定される確率は前日の82.5%から60.6%(日本時間15日午前7時時点)に低下した。一方で現状維持の確率は17.5%から39.4%(同)へと上昇した。
14日のBTCJPYは反落。日本時間帯はBTCUSDの上昇や外国為替市場で対ドルでの円下落を受け堅調に推移し、欧州時間帯には1420万円付近まで上昇した。ただ、米国時間帯に入ると米PPIの上昇や失業保険申請件数の減少を受け米国の利下げペースが緩やかになるとの思惑から売りが優勢となり反落した。その後はパウエルFRB議長が講演で「利下げを急ぐ必要はない」との認識を示したことで、米国時間帯終盤には1364万円付近まで下落した。一方でドル高を背景としたドル円の上昇が引き続き下値を支えた。
市況概況(イーサリアム)
14日のイーサリムは続落。ETHUSDは日本時間帯序盤に前日の下落を受けた安値修正から3240ドル付近まで強含む場面も見られたが、その後は利益確定の売りに押され終始軟調に推移し、米国時間帯には3060ドル付近まで下落した。直近の上昇を受け利益確定の売りが出やすい環境にあるなか、米国の利下げペースが緩やかになるとの見通しを受け暗号資産全般が下落していることが圧迫要因になった。一方でこの日もETFへの資金流入は続いた。日本時間午後に出揃った13日の米スポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはプラス1億4688万ドルとなり、6営業日連続での流入となった。
ETHJPYは続落。ETHUSDの動きに連動する展開となり、直近の上昇を受けた利益確定の売りが続き、米国時間帯には一時478,500円まで下落した。ただ、外国為替市場では円が対ドルで引き続き下落しており、下値を支える要因となった。
(当レポートのBTC、ETHなど1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)
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