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ドル反発、米大統領選、FOMC通過で再びドルが優勢も週末を控え上値は限定された FX・デイリーレポート2024.11.11(2024.11.08)

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外国為替グループ

市況概況
 8日の外国為替市場ではドルが主要通貨に対し上昇した。前日は米大統領選でのトランプ氏の勝利を受けたドル買いが一巡するなか米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え利益確定の売りやポジション調整の売りに押され軟化していたものの、FOMCの利下げ決定が既に市場に織り込まれており、結果として無風通過となったことでFOMC後の取引ではドルインデックス(DXY)は104.35付近で膠着した展開となった。その流れを引き継ぐなか8日の日本時間帯から欧州時間帯にかけては若干レンジを切り下げたものの104.50付近で方向感を探る展開が続いた。その後、米国時間帯に入るとトランプ氏による政策面での先行き不透明感が警戒されるなか歳出拡大によるインフレ懸念を背景としたドル買いが再び優勢となり上昇に転じた。また、米ミシガン大学が発表した11月の消費者信頼感指数・速報値が前月から上昇し市場予想を上回ったことも受け上昇幅を拡大すると、終盤には105.21付近まで上昇した。ただ、週末を控え6日に付けた高値105.44を試す動きまでは見られず、NYクローズにかけてはやや軟化して取引を終えた。
 尚、市場では引き続き12月のFOMCで25bpの利下げが決定されるとの見通しが大勢を占めているが、シカゴマーカンタイル取引所(CME)が30日物フェデラル・ファンド・レート(FF)金利先物から算出する金利見通し(FedWatch )によると、その確率は徐々に低下しつつある。今月1日の米雇用統計では非農業部門雇用省数が想定を上回る落ち込みとなったものの、米南部に上陸したハリケーンやボーイングの大型ストライキが影響した一時的なものと見られることや、直近の比較的良好な経済指標を受け米国の景気に対する過度な警戒感が後退したことが利下げ見通し確率を押し下げていると見られる。また、米大統領の予測サイトでのトランプ氏の支持率とFedWatchには連動性も見られ、同氏の支持率上昇とともに12月の利下げ見送り確率も上昇している。トランプ氏の支持率上昇を受け同氏が大統領に就任することによって引き起こされるインフレやドル高に対する警戒感が強まっていったことが影響したと見られる。その大統領選ではトランプ氏が勝利しており、就任前に開催される12月のFOMCではパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長以下メンバーは非常に悩ましい判断を迫られることになるだろう。一方でトランプ氏が前回大統領在任中にはパウエル議長に対し、再三にわたって利下げ要請を行っている。尚、11月8日NYクローズ時点の12月FOMCでの25bpの利下げ(425-450)確率は64.6%で前日の66.5%から低下した。また、利下げが見送られる(450-475)確率は35.3%で前日の31.0%から上昇した。

 この日、米ミシガン大学が8日に発表した11月の消費者信頼感指数・速報値は73.0となり、前月の確定値70.5から今年4月以来の高水準となったほか、市場予想の71.0を上回った。一方で、1年先の期待インフレ率は2.6%で、前月の2.7%から小幅に低下し2020年12月以来の低水準となったほか、市場予想の2.7%を下回った。5年先の期待インフレ率は3.1%となり、前月の3.0%から若干上昇し、市場予想の3.0%を上回った。

 ドル円(USD/JPY)は政府高官からの相次ぐ円安牽制発言を背景とした介入警戒感から円が買い戻され、欧州時間帯には152.14円付近まで円高が進んだ。この日は、加藤財務大臣が午前中の記者会見で、「投機的な動向も含め、市場の動向を極めて高い緊張感をもって注視する」と述べ、「行きすぎた動きに対しては適切な対応を取りたい」との考えを示した。また、10月31日の日銀金融政策決定会合後の会見で植田日銀総裁がこれまで繰り返し発言してきた政策変更を見極めるうえで「時間的余裕がある」との表現を今後は使わないと述べ、金融政策スタンスがややタカ派寄りに傾いていると市場に捉えられたことも引き続き円買いを支援する要因になった。ただ、米国時間帯では円買いの動きも一巡し、ドルの上昇に対する耐性を示しつつも上値は重く、終始152円台中盤で膠着した展開となった。
 尚、財務省が8日発表した「外国為替平衡操作の実施状況(令和6年7月~令和6年9月)」(日次ベース)によると、同省は7月11日に3兆1678億円、12日に2兆3670億円のドル売り・円買い介入を実施した。これに先立って7月31日に同省が発表した月次ベースの「外国為替平衡操作の実施状況 (令和6年6月27日~令和6年7月29日)」では同期間内に5兆5348億円の介入を実施したことが明らかになっていた。
 一方、米商品先物取引委員会が発表したCommitments of Traders (COT) Reportsによると、シカゴマーカンタイル取引所(CME)円先物の非商業筋(投機筋、主にファンド)の11月5日時点のネットポジションは44,167枚の売り越しとなり、前週の24,817枚の売り越しから19,350枚売り越し幅が拡大した。投機筋は再び先物市場では円売りポジションへと傾斜してきている模様。

 ユーロドル(EURUSD)は反落。ドル高主導でユーロ売りが優勢となり、米国時間帯には一時1.0688ドルまで下落した。ユーロ圏の経済指標は比較的良好な結果が続いていたが、米国との相対的な比較やトランプ大統領就任後のドル高への警戒感がユーロを圧迫した。また、この日は対円でも下落した。

 ユーロ円(EUR/JPY)は円への介入警戒感を背景に日本時間帯から円買い・ユーロ売りが優勢となり、先月28日からの膠着レンジ(164.95~166.10円)を割り込むと、米国時間帯には163.22円まで下落した。

 ボンドドル(GBPUSD)は反落した。ドル高主導でポンド売りが優勢となり、米国時間帯には一時1.2882ドル付近まで下落した。ただ、米大統領選投開票日に付けた安値1.2835ドルを試す動きは見られず、終盤はドル高一服を受けて1.29ドル台を回復した。前日にイングランド銀行(BOE)は金融政策委員会(MPC)で政策金利を5.00%から4.75%への引き下げを決定したが、政策金利の引き下げが既に市場に織り込まれていたことや声明文で「中期的にインフレが2%の目標に持続的に回帰するリスクが解消されるまで、金融政策は引き続き十分な期間、引き締めを続ける必要がある」とし、「インフレ持続のリスクを引き続き注意深く監視し、会合ごとに金融政策の引き締めの適切な程度を決定する」としたことで、今後の利下げペースが比較的緩やかになるとの思惑が引き続き下支え要因になったと見られる。

(当レポート1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)

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