米雇用統計後の上下動を経てドルは上昇、ドル円は円安が進行し一時153円台を回復、CME円先物の投機筋ネットポジションは円売りへ FX・デイリーレポート2024.11.02(2024.11.01)
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市況概況
1日の外国為替市場では注目されていた米雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回るネガティブサプライズとなったが、ドルの主要通貨に対する下落は一時的で終盤になって反発した。ドルインデックス(DXY)は雇用統計を経て製造業景況感指数の発表後に一時103.67付近まで下落したが、その後は買い戻されNYクローズでは104.319まで上昇した。
この日、米労働省が発表した10月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は季節調整済みで前月比1万2000人増となり、市場予想の11万3000人を大幅に下回った。また、9月の同雇用者数前月比は22万3000人に下方修正された。失業率は4.1%で前月と変わらず、市場予想とも一致した。平均時給は前月比0.4%増となり、市場予想の0.3%増を上回った。9月の平均時給は前月比0.4%増から0.3%増へ下方修正された。ただ、10月の雇用統計には先月に米南部を襲ったハリケーンやボーイングのストライキによるイレギュラーな要因も含まれており、数字的には想定を上回る落ち込みではあったものの、継続してドル売りが加速するほどのインパクトはなく、市場が落ち着きを取り戻してくなかで大統領選後のドル高への警戒感が雇用の落ち込みに対する警戒感を上回ったと見られる。
また、米供給管理協会(ISM)が発表した10月の製造業景況感指数は46.5となり、前月の47.2から低下し、市場予想の47.6を下回った。また、景気判断基準の50を7カ月連続で下回った。
ドル円(USD/JPY)は、前日の日銀総裁会見後の円の買い戻しが一巡し、日本時間帯から欧州時間帯にかけて米雇用統計の発表を控え、ポジション調整的な円売りに押され152.80円付近まで円安が進んだ。その後、米雇用統計やISM製造業景況感指数を受けドルが下落したことで151.80円付近まで円高が進んだものの、ドルが反発すると再び円売りが優勢となり一時153円台まで上昇した。終盤からNYクローズにかけてはその動きも一巡し152.90円付近で方向感を探る展開となった。
尚、米商品先物委員会(CFTC)が発表したCommitments of Traders (COT) Reportsによると、シカゴマーカンタイル取引所(CME)の円先物取引で非商業筋(投機筋、主にファンド)の10月29日時点のネットポジションは10月22日時点の12,771枚の買い越しから24,817枚の売り越しに転じた。
ユーロドル(EURUSD)は反落。前日までの上昇が一巡し、ドルの上昇を受け売りが優勢となった。米雇用統計発表後はドルの下落を受け一時1.0905ドルまで上昇し、前日の高値を上抜く場面も見られたが、その後はドル高を受けて失速し、NYクローズでは1.0834ドルまで下落した。ユーロはドイツ統計上がリセッション入りを回避するなど今週発表されたユーロ圏の経済指標を受け過度な景気減速懸念が和らぎ買い戻しが続いていたが、この日はドル高主導での売りが優勢になった。
ボンドドル(GBPUSD)は反発。予算案での大幅増税案を嫌気した売りが一巡し買い戻しが優勢になった。この日発表された英国の経済指標は冴えない内容だったものの、特に反応は見られず、雇用統計後のドル安を受け一時1.2980ドル付近まで上昇した。終盤はドルの反発を受け軟化したものの、下落は1.2913ドル付近までで前日比でプラス圏を維持した。
英住宅金融大手ネーションワイドが1日発表した10月の国内住宅価格(HPI)は前月比0.1%上昇となり、前月の0.6%上昇から伸びが鈍化し市場予想の0.3%上昇も下回った。また、前年同月比では2.4%上昇となり、9月の3.2%から鈍化し市場予想の2.8%上昇を下回った。ただ、ネーションワイドのリポートでは、住宅市場は依然として底堅く、緩やかな金利低下に伴い活動が拡大するだろうとの見通しを示した。
S&Pグローバルが発表した10月の英国の製造業購買担当者景気指数(PMI)確定値は速報値の50.3から下方修正され49.9となり、景気判断基準の50を割り込んだほか、前月の51.5から低下し市場予想の50.3を下回った。
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