ビットコイン、その他暗号資産も米国の関税強化策を受けて急落 ビットコイン・デイリーレポート2025.2.3(2025. 1.31-2.2)
株式会社B.C.Aマネージメント
投資助言部
暗号資産グループ
市況概況(ビットコイン)
31日のビットコインは反落。BTCUSDは日本時間帯から欧州時間帯までは前日の上昇を受け利益確定の売りが優勢となりやや弱含みで推移した。米国時間帯では104,000ドルを下値支持に106,000ドル付近まで上昇する場面も見られたが、ホワイトハウス報道官がカナダとメキシコからの輸入品に対し、2月1日から25%の追加関税を課す方針だと記者会見で言明したことを受け相場が急変した。米国の関税強化策により米経済や世界経済への影響が懸念されるなか米株式市場が下落し、金融市場全般でリスクオフトレードが活発化、BTCUSDも急速に売りが膨らみ反落した。また、この発表を受けてインフレ再燃への警戒感から外国為替市場でドルが上昇したことも圧迫要因となり、終盤には101,550ドル付近まで下落した。この日は、ホワイトハウス報道官の記者会見前にロイター通信がカナダとメキシコへの追加関税は3月1日に延期される見込みだと報じており、両国との交渉に時間的猶予が出来たとして楽観的な見方が広がっていたこともあり、市場の動揺が拡大する要因になった。尚、日本時間午後に出揃った30日のスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはプラス5億8822万ドルとなり、3営業日連続の流入となった。
一方で30日には2014年に流出事件を起こして破綻したマウント・ゴックス社からの送金が確認されている。オンチェーンインテリジェンスプロバイダーであるアーカム・インテリジェンス(Arkham)によると、1月29日に5.814BTCがMt社のウオレットからタグ付けのされていない未知のアドレスへ送金され、翌30日には同アドレスからMtウオレットのアドレスへ4.076BTCが送金された。その後(日本時間30日9:00ごろ)、Mt社のウオレットから別の未知のアドレスへ4.076BTCが再び送金された。現時点で送金先のアドレスは未確認であり、送金量もわずかだがMt社の弁済再開へ向けたテスト送金の可能性がある。尚、現在までMt社から弁済再開の公式な発表はない。
米商品先物取引委員会(CFTC)が1月31日に発表したCommitments of Traders (COT) Reportsによると、1月28日時点の非商業筋(ファンド、機関投資家など投機筋)のシカゴマーカンタイル取引所(CME)ビットコイン先物のネットポジションは1,165枚の買い越しとなり、前週の739枚の買い越しから426枚買い越し幅が拡大した。引き続き投機筋のポジションは拮抗している。
一方、1月28日時点の非商業筋(ファンド、機関投資家など投機筋)のCME MICROビットコイン先物(10分の1サイズ)のネットポジションは4,045枚の売り越しとなり、前週の4,041枚の売り越しからほぼ変わらず。
1日は続落。日本時間帯から米国時間帯中盤までは前日の下落が一服し、101,490~102,720ドルの狭いレンジ内で方向感を探る展開が続いた。その後、トランプ大統領がカナダとメキシコからの輸入品にそれぞれ25%、中国からの輸入品に10%の追加関税を4日から課す大統領令に署名したことが伝わると再び売りが優勢となり、終盤には100,960ドル付近まで下落した。尚、日本時間午後に出揃った31日のスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはプラス3億1856万ドルで4営業日連続の流入となった。また、1月27日からの週のトータルキャッシュフルーはプラス5億5983万ドルで週間での流入は5週連続となった。
2日は続落。前日終盤からの流れが継続するなか日本時間帯序盤に節目の100,000ドルを割り込むと米国時間帯終盤には一時96,830ドル付近まで下落した。トランプ大統領がカナダやメキシコ、中国に対する関税強化の大統領令に署名したことが引き続き圧迫要因となり、デリバティブ市場を中心に売りが先行する展開になった。暗号資産デリバティブデータ分析プラットフォームCoinGlassによると、2日(日本時間3日6:00現在)のビットコイン先物ロングポジションの清算は日曜日の取引にもかかわらず1億1826万4000ドルに達した。1日の大統領令発令後にカナダやメキシコが米国に対し報復関税を課すと発表したことや中国が世界貿易機関(WTO)に提訴することを表明しており、貿易摩擦の深刻化への警戒感が強まるなか、休日も取引可能な暗号資産市場でリスクオフトレードが活発化した。
31日のBTCJPYは反落。日本時間帯から米国時間帯中盤にかけては利益確定の売り押されながらも1600万円台を維持していたが、ホワイトハウス報道官がカナダとメキシコからの輸入品に対し25%の追加関税を課す方針だと表明したことを受けリスクオフトレードが活発化するなか急速に売りが膨らみ反落した。同時に外国為替市場ではドル高が進行し、ドル円は円安に振れたものの、下支え要因とはならず、米国時間帯終盤には節目の1600万円を割り込み1580万円付近まで下落した。
1日から2日の取引は両日ともに続落した。1日にはトランプ大統領がカナダ、メキシコ、中国に対しそれぞれ追加関税を2月4日から課す大統領令に署名し、カナダとメキシコは米国に報復関税を課すと表明、中国はWTOへの提訴を表明した。貿易摩擦拡大への警戒感からリスクオフトレードが活発化するなか終始軟調な展開となり、2日の米国時間帯終盤には1510万円付近まで下落した。
市況概況(イーサリアム)
31日のイーサリアムは小幅続伸。ETHUSDは日本時間帯から欧州時間帯中盤までは3215~3285ドルのレンジ内の狭いレンジ内で方向感を探る展開が続いていたが、27日のDeepSeekショックによる急落以降戻りの鈍さが目立っていたイーサリアムに暗号資産間フローから資金が流入し、米国時間帯中盤には3435ドル付近まで上昇した。また、前日に米証券取引委員会(SEC)がニューヨーク証券取引所傘下のNYSE Arcが提出していたビットコインとイーサリアムの複合型ETF(Bitwise Bitcoin and Ethereum ETF)の申請書を承認したことも支援要因となった模様。ただ、その後は米国の関税強化の方針が発表され金融市場全般でリスクオフトレードが活発化するなか上昇幅を縮小する展開となり3285ドル付近まで下落した。尚、この日の日本時間午後に出揃った30日のスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはプラス6777万ドルとなり、4営業日ぶりの流入となった。
また、CFTCが1月31日に発表したCOT Reportsによると、1月28日時点の非商業筋(ファンド、機関投資家など投機筋)のCMEイーサリアム先物のネットポジションは946枚の買い越しとなり、前週の437枚の買い越しから509枚買い越し幅がわずかに拡大した。引き続き非商業筋のポジションは拮抗しているものの、未決済残玉は増加傾向にある。
1日から2日の取引はともに続落した。米国の関税強化を巡る方針に対し市場の警戒感が増すなか、1日にはトランプ大統領がカナダとメキシコに対しそれぞれ25%、中国には10%の追加関税を課す大統領令に署名したことを受けデリバティブを中心に売りが優勢となり、2日の米国時間帯終盤には一時2890ドル付近まで下落した。CoinGlassによると、2日(日本時間3日6:00現在)のイーサリアム先物ロングポジションの清算は日曜日の取引にもかかわらず1億2410万7000ドルに達し、清算額は同日のビットコインを上回った。尚、1日の日本時間午後に出揃った31日のスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはプラス2777万ドルとなり、2営業日連続で流入となった。一方で27日からの週のトータルキャッシュフローはマイナス4551万ドルで、週間での流出は3週間ぶりとなった。
31日のETHJPYは小幅続伸。ETHUSDに連動して一時532,450円付近まで上昇したが、その後は上昇幅を縮小する展開となり、509,500円付近まで下落した。
1日から2日の取引はともに続落した。米国の関税強化を背景としたリスクオフトレードが継続し、2日の米国時間帯終盤には450,000円付近まで下落した。
市況概況(リップル)
31日のリップルは反落。XRPUSDは日本時間帯から米国時間帯中盤までは3.060ドルを下値支持に下げ渋っていたものの、米国の関税強化の方針発表を受けて金融市場全般でリスクオフトレードが活発化するなか売りが優勢となり、米国時間帯終盤には節目の3.000ドルを割り込み2.9995ドル付近まで下落した。一方で前日までETF上場へ向けた進展が複数伝えられており、この日は極端に売り圧力が強まることはなく下落幅は限定された。
2日から3日の取引では両日ともに続落となった。1日にはトランプ大統領がカナダとメキシコに対しそれぞれ25%、中国には10%の追加関税を課す大統領令に署名し、これに反発するカナダとメキシコが報復関税を課すと表明、中国はWTOへの提訴を発表したことで貿易摩擦拡大への警戒感が強まるなか売りが膨らみ、2日の米国時間帯終盤には2.5000ドル付近まで急落した。
31日のXRPJPYは反落。ほぼ横ばいながら米国時間帯終盤に米国の関税強化に対する警戒感から467.30円付近まで下落した。
1日から2日の取引ではXRPUSDに連動して急落し、2日の米国時間帯終盤には390.70円付近まで下落した。
市況概況(ソラナ)
31日のソラナは反落。SOLUSDはETF上場への期待感が下支え要因となったものの、米国の関税強化方針の発表を受け米国時間帯終盤には230.40ドル付近まで下落した。
1日から2日の取引では両日ともに続落となった。米国の関税強化政策を巡って貿易摩擦拡大への警戒感が強まるなかリスクオフトレードによる売りが先行する展開となり、2日の米国時間帯終盤には195.35ドル付近まで下落した。また、ミームコインが急落しており、ソラナネットワーク上のミームコインの急落がネイティブトークンのソラナを圧迫したことも下落幅が拡大する要因となった。
市況概況(ライトコイン)
31日のライトコイン(Litecoin、LTC)は小反落。LTCUSDはETF上場への期待感を背景に欧州時間帯には135.20ドルまで上昇した。29日にSECがNasdaqから提出されていたCanary's spot Litecoin ETFのForm19b-4を受理し官報に掲載しパブリックコメントの募集を開始したことが引き続き支援要因になった。ただ、米国時間帯終盤になって米国の関税強化策方針が発表されると、金融市場全般のリスクオフトレードに巻き込まれ売りが優勢となり、この日の上昇分を失い125.40ドル付近まで下落した。
1日から2日の取引では両日ともに続落となった。独自の弱材料は見当たらなかったものの、1日にトランプ大統領がカナダとメキシコに対しそれぞれ25%、中国には10%の追加関税を課す大統領令に署名し、これに反発するカナダとメキシコが報復関税を課すと表明、中国はWTOへの提訴を発表したことで貿易摩擦拡大への警戒感が強まるなか売りが優勢となり、2日の米国時間帯終盤には107.20ドル付近まで下落した。
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