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日銀金融政策決定会合、植田総裁会見経て円は全面安、ポンドもMPCを経て急落 FX・デイリーレポート2024.12.20(2024.12.19)

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市場調査室
外国為替グループ

 19日の外国為替市場では円が主要通貨に対し急落した。ドル円(USD/JPY)は前日未明の米連邦公開市場委員会(FOMC)、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長会見を経て154円台まで円安が進行した流れを引き継ぐなか、日銀が政策金利の据え置きを決定したことを受け日本時間帯午後には155円台まで円安が進んだ。その後、植田総裁が会見で次回利上げに慎重な姿勢を示したことを受け、円ロングのストップを巻き込みながら急速に円売りが膨らむと段階的に水準を切り上げ、米国時間帯には157.80円付近まで円安が進んだ。また、この日発表された複数の米経済指標が米経済の底堅さを改めて示す内容となり、FRBのタカ派的な政策スタンスを後押しするとして受け止められたこともドル買い・円売りを促す要因になった。
 この日、日銀は金融政策決定会合で無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を0.25%程度で据え置くことを決定した。また、発表文のなかの今後の見通しなど前回発表された経済見通しからの変更はなかった。一方で非伝統的金融政策についての結果と検証として「金融政策の多角的レビュー」が発表された。会合後の会見では、植田総裁は利上げの判断について「もう1ノッチ(段階)欲しい」と述べ、「賃金の上昇率やトランプ次期政権の政策について影響を見極めたい」とし、利上げに慎重な姿勢を示した。

 ドルインデックス(DXY)は続伸。日本時間帯から欧州時間帯にかけてはFOMC後の急伸が一巡し、107.83~108.11付近で方向感を探る展開が続いた。その後、米国時間帯に入ると良好な米経済指標を受けて再びドル買いが優勢となり、108.45付近まで上昇した。引き続き米国の利下げペースが鈍化するとの見方からドル買いが継続している。
 米商務省が19日に発表した第3四半期の国内総生産(GDP)確定値は年率換算で前期比3.1%増と改定値の2.8%増から上方修正され、市場予想の2.8%増を上回った。

 米労働省が19日発表した12月14日までの1週間の新規失業保険申請件数は季節調整済みで22万件となり、前週から2万2000件減少し、市場予想の23万件を下回った。

 全米リアルター協会(NAR)が19日に発表した11月の米中古住宅販売戸数は季節調整済み年率換算で415万戸となり、前月の396万戸から増加し、市場予想の407万戸を上回った。前月比では4.8%増となった。
 
 一方で、米フィラデルフィア地区連銀が19日に発表した12月の製造業景況指数はマイナス16.4となり、前月のマイナス5.5から低下し、市場予想の3.0を大幅に下回った。 

 ユーロドル(EURUSD)は前日のNYクローズに比べ小反発。FOMC後の急落が一巡するなか欧州時間帯序盤にかけて買い戻され1.0420ドル付近まで上昇する場面も見られたが、ドルが反発すると徐々に軟化し、この日上昇分をほぼ失った。金融当局による政策スタンスの差を背景とした欧米の金利差拡大懸念が引き続きユーロの上値を圧迫した。

 ポンドドドル(GBPUSD)は続落。FOMC後の急落一巡後はイングランド銀行(BOE)が政策金利を据え置くとの見方から買い戻され、欧州時間帯には一時1.2666ドル付近まで上昇した。ただ、その後金融政策委員会(MPC)では政策金利を4.75%に据え置くことが決定したものの、MPCメンバー9名のうち3名が据え置きに反対し、25bpの利下げを主張したことが明らかになると、ポンド売りが優勢となり反落した。また、MPC後の会見でベイリー総裁が、経済の不確実性が高まっていることを理由に利下げの時期について明言は避けたものの、「段階的なアプローチを続ける必要がある」との認識を示したこともポンド売りを促す要因になった。米国時間帯にはドルの上昇も圧迫要因となり、終盤にはFOMC後の安値を割り込み1.2500ドル付近まで下落した。

(当レポート1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)

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