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ビットコインは続落、FOMC、パウエル議長発言の余波続く ビットコイン・デイリーレポート2024.12.20(2024. 12.19)

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市場調査室
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市況概況(ビットコイン)
 19日のビットコインは続落。BTCUSDは前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で来年以降の利下げペースの鈍化が示されたことやパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が会見で「「ビットコインを保有することは許可されていない。また法律の変更も求めていない」と発言したことが引き続きネガティブ要因として捉えられ軟調な展開となった。一方で日本時間午後から米国時間帯序盤にかけては買い戻され節目の10万ドルを回復する場面も見られた。日本時間午後に出揃った18日の米国のスポットビットコイン上場投資信託(ETF)のトータルキャッシュフローはプラス2億7539万ドルとなり、15営業日連続での流入となったことが下値を支えた。

※18日のUSスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはプラス2億7539万ドル。15営業日連続での流入。

 ただ、その後はこの日発表された米経済指標が改めて米経済の底堅さを示すものとなり、FRBのタカ派的な金融スタンスを後押しする内容と受け止められ、再び節目の10万ドルを割り込み下落した。米国時間帯中盤以降はデリバティブ・ロングポジションの清算を巻き込みながら下げ幅を拡大する展開となり、終盤には一時95,620ドル付近まで下落した。暗号資産デリバティブデータ分析プラットフォームCoinGlassによると、米国時間帯中盤以降にビットコイン先物ロングポジションの清算が増加しており、19日を通して(日本時間20日午前6:00現在)ロングポジションの清算は1億7957万9000ドルに達した。市場ではパウエルFRB議長の会見での発言に対し、トランプ次期大統領が何らかの反応をするとの期待があったものの、現在までこの件に対するコメント等は発信していない。
 一方、企業関連ではMarathon Digital HoldingsとHut 8がビットコインの追加取得を発表した。米国最大規模のマイニング企業であり、Microstrategyに次ぐビットコイン保有企業でもあるMarathon Digital Holdingsは19日、15,574BTCを約15億3000万ドルで取得したと発表した。これにより、同社の保有するビットコインは44,394 BTCとなった。また、同じく米国のマイニング企業HUT8は19日、990BTCを約1億ドルで取得したと発表した。同社の保有するビットコインは現在10,096 BTCとなった。現在はマイニング企業やデジタル関連企業を中心に準備金としてビットコインの取得を戦略的に進める企業は増加しつつあるが、Microstrategyのナスダック総合100への採用が決定したことで、市場では準備金としてビットコインを採用する企業が増加することが期待されている。

 この日は複数の米経済指標が発表された。詳細は以下の通り。
 米商務省が19日に発表した第3四半期の国内総生産(GDP)確定値は年率換算で前期比3.1%増と、改定値の2.8%増から上方修正され、市場予想の2.8%増を上回った。
 米労働省が19日発表した12月14日までの1週間の新規失業保険申請件数は季節調整済みで22万件となり、前週から2万2000件減少し、市場予想の23万件を下回った。
 全米リアルター協会(NAR)が19日に発表した11月の米中古住宅販売戸数は季節調整済み年率換算で415万戸となり、前月の396万戸から増加し、市場予想の407万戸を上回った。前月比では4.8%増となった。
 
 一方で米フィラデルフィア地区連銀が19日に発表した12月の製造業景況指数はマイナス16.4となり、前月のマイナス5.5から低下し、市場予想の3.0を大幅に下回った。

※日本時間12月20日午前6:00現在のドミナンスは58.706%。

 19日のBTCJPYは続落。BTCUSDの下落に連動したものの、外国為替市場での円安進行を支援要因に米国時間帯には1600万円台を回復する場面も見られた。この日のドル円は未明のFOMC、FRB議長会見を経て154円台まで上昇し、日銀の利上げ見送り、植田日銀総裁が利上げに慎重な姿勢を示したことを受け円売りが膨らみ、米国時間帯には157円台後半まで急速に円安が進んだ。結果としてBTCUSDに連動して1500万円付近まで下落したものの、円安が下支え要因となり、1500万円割れを回避するなどBTCUSDに比べ下落幅は限定された。

市況概況(イーサリアム)
 19日のイーサリアムは続落。ETHUSDは暗号資産全般がビットコインの急落に巻き込まれるなか売りが優勢の展開となり軟調に推移した。前日のFOMC後の急落は日本時間帯に一旦落ち着いたものの、米国時間帯に入ると下落が再開し、終盤には一時3325ドルまで下落した。前日のFOMCで来年以降の利下げペースの鈍化が示されたことやパウエルFRB議長がビットコイン準備金について否定的な見解を述べたことが暗号資産全般に影響した。尚、CoinGlassによると、米国時間帯中盤以降、イーサリアム先物ロングポジションの清算が急増しており、19日を通して(日本時間20日午前6:00現在)ロングポジションの清算は1億7550万6000ドルに達した。日足ベースではBTCUSDの下落は現在までのところ調整範囲内の動きに留まっているものの、ETHUSDは12月9日の安値を割り込み、11月上旬からの上昇トレンドがやや崩れかかっている。
 一方でETFへの資金流入は継続した。日本時間午後に出揃った18日の米国のスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはプラス2360万ドルで、流入は18営業日連続となり、最長記録を更新した。

※18日のUSスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはプラス2360万ドル。流入は18営業日連続となり、最長を更新した。
※日本時間12月20日午前6:00現在のドミナンスは12.543%。

 18日のETHJPYは続落。FOMC後の下落は日本時間帯から欧州時間帯序盤にかけて一旦落ち着いたものの、米国時間帯に入って下落が再開した。一方で、この日は外国為替市場で急速に円安が進行したことが下支え要因となった。ただ、米国時間帯ではETHUSDの下落を円安が相殺できず一時523,300円付近まで下落した。

市況概況(リップル)
 18日のリップルは続落。XRPUSDは前日の流れを引き継ぎ日本時間帯に2.1750ドル付近まで下落した。その後は欧州時間帯にかけて買い戻され2.4300ドル付近まで戻す場面も見られたが、米国時間帯に入ると下落が再開し、終盤には2.1585ドル付近まで下落した。前日に続きFOMCで利下げペースの鈍化が示されたことやパウエルFRB議長が会見でビットコイン準備金について否定的な見解を述べたことが暗号資産全般を圧迫する要因になった。一方でリップル社が米ドルに連動するステーブルコインRLUSDの販売を開始したことや、政権移行に伴う恩恵を最も受けるとされていることが引き続き下支え要因となり、暗号資産のなかで下落幅を比較的小さなものに留まった。

※日本時間12月20日午前6:00現在のドミナンスは3.957%。

 18日のXRPJPYはほぼ横ばい。XRPUSDに連動して上下動はあったものの、外国為替市場での円安進行が下落局面での下支え要因となり、結果として前日終盤と同水準に落ち着いた。

(当レポートのBTC、ETHなど1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)

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