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ビットコイン・デイリーレポート2024.9.4(2024. 9.3)

リスク回避先行、ISM製造業景況感指数を受け下落幅拡大

株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室
暗号資産グループ

市況概況(ビットコイン)
 3日のビットコインは反落。BTCUSDは前日の流れを引き継ぐなかアジア時間帯には一時59,860ドル付近まで上昇した。3連休明けのシカゴマーカンタイル取引所(CME)の時間外取引が日本時間早朝にオープンし、一時的に買い戻し圧力が強まったと見られる。一方、その後は軟調な展開となった。米国の重要経済指標の発表を複数控えポジション調整絡みの売りに徐々に値を下げる展開になった。米国時間帯は米供給管理協会(ISM)が発表した8月の製造業景況感指数が市場予想を下回ったことを受け、米株式市場を中心に金融市場全般でリスク回避の動きが先行する展開となり、BTCUSDも下げ幅を拡大すると一時57,600ドル付近まで下落した。米国時間帯中盤以降は売りが一巡し下げ止まったものの、明確な支援材料がないなかで戻りは鈍く、現在は58,000ドル付近で取引されている。

 尚、ISMが発表した8月の製造業景況感指数は47.2となり、前月の46.8から上昇したものの、市場予想の47.5を下回り、拡大・縮小の分岐点となる50も5カ月連続で下回った。また、先行指標として注視される新規受注も44.6となり、前月の47.4から低下した。結果として市場予想を若干下回る程度の結果であったが、米株式市場は主要3指数が揃って大幅に下落した。レイバー・デーを含む3連休明けから米国市場では8月中の休暇から多くの市場参加者が戻り、週末に米雇用統計を控え利益確定及びポジション調整の売り圧力が強まったと見られる。また、8月のISM製造業景況感指数は大幅利下げを容認する内容とまではいかなかったものの、米株式市場が過剰に反応したこともあり、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での50bpの利下げ確率が上昇した。CMEが30日物フェデラル・ファンド(FF)金利先物から算出するFedWatch ツールよると、9月FOMCでの50bpの利下げ確率は前月30日の30%から39%へ上昇し、25bpの利下げ確率は70%から61%へと低下した。

 一方、暗号資産市場では株式市場同様に季節性不確定要因として9月に下落というアノマリーがある。BTCUSDのみのデータを抽出してみると、2023年9月の月間騰落率はプラスで終えたものの、2017年から2022年まで6年連続で騰落率がマイナスとなっている。明確な根拠がない季節性のアノマリーではあるが、当面は市場参加者にとって心理的上値圧迫要因として意識される可能性もありそうだ。

※30日のUSスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはマイナス1億7567万ドル(4営業日連続の流出)。9月3日のキャッシュフローは日本時間午後に出揃う予定。
※日本時間9月4日AM6:00現在のドミナンスは57.565%。

 3日のBTCJPYは反落。アジア時間帯に879万円付近まで上昇したものの、その後はBTCUSDの下落や外国為替市場での円高進行を受け反落した。米国時間帯序盤には下げ幅を拡大し一時839万円付近まで下落した。中盤以降は下げ止まったものの、戻りは鈍く、現在も845万円付近で取引されている。この日の外国為替市場では米ISMが発表した8月の製造業景況感指数が市場予想を下回ったことを受け日米金利差縮小を前提とした対ドルでの円買いが進み一時145.12円付近まで円高が進んだ。

市況概況(イーサリアム)
 3日のイーサリアムは反落。ETHUSDはアジア時間帯序盤から軟調に推移した。複数の米経済指標の発表を控え、デリバティブのロングポジションを中心に売り圧力が強まった。米国時間帯には米ISMが発表した8月の製造業景況感指数が市場予想を下回ったことを受けリスク回避の動きが先行する展開となり一時2443ドル付近まで下落した。終盤は売りが一巡し下げ止まったものの、戻りは限定された。尚、暗号資産デリバティブデータ分析プラットフォームCoinGlassによると、3日のETHデリバティブ・ロングポジションの清算は2230万ドルとなり、ショートポジションの清算345万ドルを大きく上回った。また、引き続き米国の上場投資信託(ETF)からの資金流出が続いていることや、大型アップデートによる焼却(バーン)量の減少を背景とした需給の緩みが引き続き上値を圧迫している模様。

※30日のUSスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローは0。上場9銘柄はいずれも0。9月3日のキャッシュフローは日本時間午後に出揃う予定。

 3日のETHJPYは反落。ETHUSDに連動して下落するなか外国為替市場での円高進行が圧迫要因となり、米国時間帯には356,250円付近まで下落した。終盤は下げ止まったものの、現在もほぼこの日の安値圏で取引されている。

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