ビットコインは反発し10万ドル台回復もその後は膠着、リップルは上昇再開か ビットコイン・デイリーレポート2024.12.09(2024. 12.06-08)
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市況概況(ビットコイン)
6日のビットコインは上昇。BTCUSDは前日に節目の10万ドルを突破し史上最高値を更新したが、その後は利益確定の売りに押され失速した。この日は日本時間早朝にデリバティブロング・ポジションの大規模ロスカットが発生し、一時91,160ドル付近まで急落した。ただ、下落は一時的で直後には97,000ドル台を回復した。暗号資産デリバティブデータ分析プラットフォームCoinGlassによると、日本時間6日午前7時からのわずか1時間でビットコイン先物のロングポジションの清算は3億544万3000ドルに達した。節目の10万ドル達成で利益確定の売りが膨らむなか、NYクローズ後の最も取引が薄い時間帯で新規の買い注文が少なく、ロスカットトリガーが連続して発動したと見られるが、フラッシュクラッシュを引き起こす何らかの仕掛け的な動きがあった可能性も否定できない。
ただ、その後は堅調に推移した。トランプ次期政権による規制緩和や支援策への期待感のほか、米国のスポットビットコイン上場投資信託(ETF)へ資金流入が続いていることが支援要因になった。尚、トランプ次期大統領は日本時間6日午前にホワイトハウスに新設する人工知能(AI)・暗号資産責任者にデービッド・サックス氏を起用すると自身が運営するTruthSocialで発表した。同氏はYammerの創設者であり、米電子決済大手PayPalでCOOを務めていた。また、日本時間午後に出揃ったスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはプラス7億6666万ドルとなり、6営業日連続での流入となった。
一方で、2014年に流出事件を起こして破綻したマウント・ゴックス社のウオレットから新たに日本時間6日の夕方に未知のアドレスへの送金が確認された。前日には同社内のウオレット間でビットコインの移動が確認されており、弁済再開への警戒感が強まっていたが、この日の送金先については現在までタグ付けがなされていない。オンチェーンインテリジェンスプロバイダーであるアーカム・インテリジェンス(Arkham)によると、マウント・ゴックス社は日本時間6日17:00ごろ3,619BTCを未知のアドレス(1MAXy6MQ)へ送金した。尚、同社からは10月10日の「弁済期限日の変更に関するお知らせ」以降、弁済再開の公式リリースはない。
欧州時間帯から米国時間帯序盤にかけては米雇用統計の発表を控え伸び悩む場面も見られたが、雇用統計発表直後から上昇が再開した。注目されていた米雇用統計は非農業部門雇用者数が市場予想を上回って増加したものの、失業率はわずかに悪化した。市場では今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが見送られるような内容ではないと受け止められ、利下げを見込んだ買いが先行する展開となり、再び節目の10万ドルを突破し一時102,077ドル付近まで上昇した。終盤は利益確定の売りに押され上昇幅を縮小したものの、節目の10万ドル台を維持した。
この日、米労働省が発表した11月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比22万7000人増となり、市場予想の20万人増を上回った。また、10月の雇用者数は前月比1万2000人増から同3万6000人増に上方修正された。尚、前月の雇用統計では雇用者数の伸びが極端に落ち込んでいたが、ハリケーンやボーイングのストライキによる一時的なものと受け止めらており、今月の雇用者数の伸びはそれを裏付ける内容となった。また、平均時給は前月比0.4%増となり、前月から伸びは変わらなかったものの、市場予想の0.3%を上回る伸びとなった。前年同月比では4.0%増となり、前月の4.0%増から変化はなかった。一方で失業率は前月の4.1%から4.2%に上昇し、市場予想の4.1%を上回ってわずかに悪化した。
米商品先物取引委員会(CFTC)がNYクローズ後に発表したCommitments of Traders (COT) Reportsによると、12月3日時点の非商業筋(ファンド、機関投資家など投機筋)のシカゴマーカンタイル取引所(CME)ビットコイン先物のネットポジションは1595枚の売り越しとなり、前週の1196枚の売り越しから399枚売り越しが増加した。
10分の1サイズのMICROビットコイン先物も同様に290枚売り越しポジションが増加した。
7日から8日の取引は節目の10万ドルを中値にほぼ横ばいでの推移となった。7日の日本時間午後に出揃った6日の米国スポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはプラス3億7658万ドルとなり、7営業日連続での流入となったものの、特に反応は見られなかった。節目の10万ドル突破、米雇用統計を通過し、全般的に見送りムードが強まっている模様。
6日のBTCJPYは1430万円付近まで下落して始まったものの、その後はBTCUSDに連動して堅調に推移した。米雇用統計の発表前後ではドル円が上下に振れたがその影響も少なく、米国時間帯終盤には一時1530万円まで上昇した。
7日から8日の取引では前日からやや水準を切り下げたものの、1500万円付近でほぼ膠着。週末から日曜日の取引で機関投資家を中心に市場参加者が少なく、積極的な売買が見送られた。
市況概況(イーサリアム)
6日のETHUSDは上昇した。日本時間早朝にビットコインの急落に巻き込まれ一時3650ドルまで下落したが、その直後には3800ドル台を回復した。CoinGlassによると、日本時間6日午前7時からの1時間でイーサリアム先物のロングポジションの清算は2641万ドルに達した。ただ、日本時間午後にはETFへ上場来最大規模の流入があったことが好感され3926ドル付近まで上昇した。この日の日本時間午後に出揃ったスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはプラス4億2843万ドルとなり、上場来の1日当たりの流入金額を更新したほか、9営業日連続での流入となった。
欧州時間帯から米国時間帯序盤にかけては米雇用統計の発表を控えポジション調整の売りにやや軟化する場面も見られたが、雇用統計発表後は米国の利下げ観測やトランプ次期政権に対する期待感が引き続き支援要因となり節目の4000ドルを突破すると4087ドル付近まで上昇した。
CFTCがNYクローズ後に発表したCOT Reportsによると、12月3日時点の非商業筋(ファンド、機関投資家など投機筋)のシカゴマーカンタイル取引所(CME)イーサリアム先物のネットポジションは731枚の売り越しとなり、前週の209枚の売り越しから522枚売り越しが増加した。
7日から8日の取引では前日からやや水準を切り下げたものの、節目の4000ドルを中値に見送りムードが強く膠着状態となった。7日の日本時間午後に出揃ったスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはプラス8375万ドルとなり、前日の流入金額からは大幅に減少したものの、流入は10営業日連続となり、上場来最長を更新した。また、週間ベースでは8億3669万ドルの流入となり、1週間当たりの流入額の記録を更新した。
6日のETHJPYは日本時間早朝に558,380円付近まで急落して始まったものの、その後はETHUSDに連動して反発した。欧州時間帯から米国時間帯序盤にかけては590,000円を上値抵抗に伸び悩む場面も見られたが、雇用統計発表後から米国の利下げ観測やトランプ次期政権への期待感から上昇が再開し、米国時間帯終盤には節目の60万円台を突破し613,950円付近まで上昇した。
7日から8日の取引では前日からやや水準を切り下げたものの、下値は堅く節目の60万円付近で横ばいでの推移となった。
6日のXRPUSDは前日と同レンジ内(2.180~2.143ドル)で方向感を探る展開となった。ただ、米雇用統計発表後はレンジ上限を試しており、7日の日本時間早朝には2.400ドルを突破した。その後、2.400ドル付近で伸び悩む場面も見られたが、米国時間帯に入ると上昇が再開し、8日の日本時間早朝には2.623ドル付近まで上昇した。引き続き政権移行によるETFの上場承認期待や、SECがリップル社との訴訟を取り下げるとの見通しが支援要因となった。また、8日の取引では調整場面も見られたが、米国時間帯終盤には日本時間早朝に付けた高値を上抜き2.651ドル付近まで上昇した。尚、THE BLOCKによると、リップル社は年内までにステーブルコインを発行すると発表しているが、同社の最高技術開発責任者のデイビッド・シュワルツ氏は「障害はあるものの、年内に発行されることを期待している」と述べた。
6日のXRPJPYは前日のレンジ内で方向感を探る展開となっていたが、XRPUSD に連動して8日から9日の取引では上昇した。9日の取引では米国時間帯終盤に一時397円付近まで上昇した。
(当レポートのBTC、ETHなど1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)
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