ビットコイン・デイリーレポート2024.8.20(2024.8.19)
ビットコイン、イーサリアムともに反落、米民主党の新たな政策綱領案に暗号資産関連が含まれず
株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室
暗号資産グループ
市況概況(ビットコイン)
19日のビットコインは反落。BTCUSDは週末から日曜日にかけた上昇が一巡し、アジア時間帯序盤に下落した。20日に開幕する米民主党大会を前に19日に新たに公表された政策綱領案に暗号資産関連が含まれず、暗号資産支持者らの失望売りを誘った。その後は58,300ドルを下値支持に一旦下げ止まったものの、欧州時間帯に入ると再び下落し、一時57,880ドル付近まで下落した。米国時間帯は米主要3指数が揃って上昇するなどリスクオンムードを背景に下落幅を縮小したものの、前日比でプラス圏は回復出来ず、現在は59,100ドル付近で取引されている。また、米国の一部メディアが、ハリス副大統領が大統領選に勝利した場合、米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー委員長を財務長官に指名する可能性があると報じたことも上値を圧迫した模様。ただ、情報源が匿名ということもあり、情報としての確度は低いと思われる。尚、同委員長は暗号資産懐疑派として暗号資産や関連企業への強制措置を行っており、業界からは「暗号資産の敵」と評判を得ており、SECでの任期は2026年まで残っている。一方、トランプ氏は先月の暗号資産関連イベントで、ゲイリー・ゲンスラー委員長に対し「大統領に就任した場合、初日に更迭する」と述べている。
金融市場全般では今月初めの米雇用統計の悪化をきっかけに強まった米経済に対する過度な警戒感が後退するなか、リスクオントレードが活発化しているが、暗号資産市場全体の反応は鈍い。特に永久先物市場では資金調達率のマイナスが複数回発生しており、先物市場を中心に売り圧力が強まっていると見られる。米大統領選からのバイデン大統領の撤退を経て民主党が新たな候補者としてハリス副大統領を指名したことで、暗号資産への明確な支持を表明しているトランプ氏との支持率が拮抗。ビットコインを中心にいわゆる「ほぼトラ」時に積み上がったロングポジションの清算が続いているほか、先物市場ではハリス副大統領の支持率上昇とともに短期売買を前提としたショートポジションが膨らんでいると見られる。そして、20日に開幕する米民主党大会では、日曜日に公開された民主党の政策綱領案が承認される見通しであり、両候補の支持率拮抗、もしくはハリス副大統領の支持率がトランプ氏を上回る状況が続くようなら、ビットコインを含め暗号資産全般の上値を圧迫する要因になる可能性が高い。尚、暗号資産デリバティブ・プラットフォームのCoinglassによると19日の永久先物市場では8時間ごとの資金調達率加重平均が一時マイナス0.0029まで拡大している。
16日のBTCJPYは反落。アジア時間帯序盤からBTCUSDの下落を受け軟調に推移した。また、外国為替市場での円高も圧迫要因となり下げ幅を拡大すると、欧州時間帯には一時848万円付近まで下落した。この日のドル円は東京時間帯に148円台から145円台前半まで急激に円高が進んだ。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を中心に米雇用統計に関する出所不明な不確定情報が拡散されていたが、それとは関係なく週末から日曜日にかけて複数の米連邦準備理事会(FRB)高官らが9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを容認する発言をしており、東京市場オープンとともに日米金利差縮小を前提とした円買い・ドル売りが先行したと見られる。一方、米国時間帯は米株の上昇を背景としたリスクオントレードやドル円が146円台を回復したことで下落幅を縮小する展開となり、現在は870万円付近で取引されている。
市況概況(イーサリアム)
19日のイーサリアムは反落。ETHUSDは前日までの上昇が一巡し、アジア時間帯序盤から軟調に推移すると、米国時間帯には一時2570ドル付近まで下落した。ビットコイン同様に20日に開幕する米民主党大会を前に19日に新たに公表された政策綱領案に暗号資産関連が含まれず、暗号資産支持者らの失望売りを誘った。ただ、その後は米株式市場の上昇を受けたリスクオンムードからNYクローズにかけて下落幅を縮小し、現在は2620ドル付近で取引されている。
ETHJPYもETHUSDと同様の動きとなったが、外国為替市場での円高が下押し圧力として加わり、一時376,410円付近まで下落した。終盤は安値修正から380,000円台を回復したが、ETHUSDに比べ上値がやや重い。円高への警戒感が引き続き燻っている模様。
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