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米雇用統計を受けたリスクオントレードに暗号資産全般が上昇 ビットコイン・デイリーレポート2024.10.7(2024. 10.4-6)

株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室
暗号資産グループ

市況概況(ビットコイン)
 4日のビットコインは反発。BTCUSDは日本時間帯から欧州時間帯にかけては米雇用統計の発表を控え見送りムードが広がるなか、節目の60,000ドルを下値支持に安値修正の動きが続いた。日本時間午後に出揃った3日の米国のスポットビットコイン上場投資信託(ETF)のトータルキャッシュフローは3営業日連続での流出となったが、積極的な売買が手控えられたことで、特に目立った反応は見られなかった。米国時間帯では米雇用統計が発表され、非農業部門の雇用者数が市場予想を大幅に上回って増加したほか失業率も前月から低下したことを受け、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利下げ観測は後退したものの、米国経済の底堅さが示されたことに素直に反応し、リスクオントレードが先行するなか、NYクローズにかけて62,500ドル付近まで上昇した。ただ、外国為替市場では大幅利下げ観測の後退を受けドルが上昇しており、雇用統計発表直後には60,850ドルまで軟化する場面も見られるなど、全般的には上値に重さが残る印象となった。
 米労働省が発表した9月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は季節調整済みで前月比25万4000人増となり、市場予想の14万人増を大幅に上回った。また、8月の非農業部門雇用者数は前月比14万2000人増から15万9000人増へと上方修正された。失業率は前月の4.2%から4.1%へ低下し、市場予想の4.2%を下回った。平均時給は前月比0.4%増となり、前月の0.5%増からは低下したものの、市場予想の0.3%増を上回り、米労働市場の底堅さが確認される内容となった。

 また、シカゴマーカンタイル取引所(CME)が30日物フィデラル・ファンド・レート(FF金利)先物から算出する金利見通し(FedWatch )は、11月のFOMCで50bpの利下げが実施される確率は前日の32%から0%となり、25bpの利下げが実施される確率は前日の67.9%から97.4%へと上昇した。一方で利下げが見送られる確率も9月17日以来約13営業日ぶりに再浮上し、2.5%となった。これにより、FF金利先物では11月のFOMCでの25bpの利下げ織り込み率は100%から低下した。

 週末5~6日の取引は市場参加者が少なく61,730~62,400ドルのレンジ内で方向感を探る展開となっていたが、6日の米国時間帯には米雇用統計後に付けた高値を上抜き62,976ドル付近まで上昇した。4日の米国のスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローがプラス2558万ドルとなり、4営業日ぶりの流入となったことが下支え要因になったことや米国の賭けサイトが公表している米大統領選の支持率で共和党のトランプ氏が民主党のハリス氏を上回ったことも好感された模様。分散型予測市場プラットフォームPolymarketによると、現在トランプ氏の支持率は50.8%、ハリス氏は48.4%となっている。米国での報道によると、ハリス氏は4日にミシガン州で開催された民主党の選挙集会で、演説原稿を映し出す「プロンプター」の故障が原因で言葉に詰まったと見られ、何度も同じ言葉を繰り返すなど、当初から懸念されていたアドリブの弱さが改めて浮き彫りになった。ただ、その差は非常に僅差であり、ハリス氏も暗号資産関連業界への接近を図っており、トランプ氏の支持率上昇が以前に比べて暗号資産価格の上昇にはつながりにくい状況となっている。一方で、オンチェーンインテリジェンスプロバイダーであるアーカム・インテリジェンスArkhamが5日、ビットコイン創世記のマイナーが358万ドル相当のビットコインを取引所に送金したとXに投稿したことが上値を抑える要因になった。Arkhamによると、このマイナーは2009年から7250万ドル以上のビットコインを保有しており、4日に358万ドル相当のビットコインをKrakenへ送金したという。

※4日のUSスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはプラス2558万ドル。4営業日ぶりの流入。
※9月30日からの週のトータルキャッシュフローはマイナス3億154万ドルとなり、4週ぶりの流出となった。
※日本時間10月7日AM6:00現在のドミナンスは58.076%。

 4日のBTCJPYは続伸。米雇用統計発表後のリスクオントレードや外国為替市場での円安進行が支援要因となり、米国時間帯には931万円付近まで上昇した。この日のドル円は米国の大幅利下げ観測の後退を受けて、ドルショートの買い戻しが進むなか、日米金利差縮小を前提とした円ロングポジションの解消が進み一時149.01円まで円安が進んだ。
 5~6日の取引では前日の上昇が一巡し、919~928万円のレンジ内で方向感を探る展開となっていたが、6日の米国時間帯にはBTCUSDの上昇を受けて4日の高値を上抜き一時936万円まで上昇する場面も見られるなど、若干取引レンジを切り上げた。

市況概況(イーサリアム)
 4日のイーサリアムは反発。ETHUSDは、日本時間帯序盤から安値修正が継続し緩やかに上昇した。米雇用統計の発表直後には外国為替市場でのドル高を受けて2359ドル付近まで軟化する場面も見られたが、フィキシング通過を経てドル高が一服すると米経済の底堅さを背景としたリスクオントレードにより上昇が再開し、一時は2455ドル付近まで上昇した。終盤は上昇が一巡し伸び悩んだものの、利益確定の売りを吸収しつつ節目の2400ドル台を維持した。
 5~6日の取引では市場参加者が少なく積極的な売買が見送られるなか2430ドルを上値抵抗に伸び悩む展開が続いた。5日の米国時間帯にはビットコインの上昇を受け2458ドル付近まで上昇する場面も見られるなど、若干ながら取引レンジを切り上げた。尚、4日のUSスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはプラス739万ドルとなったが、特に市場の反応は見られなかった。イーサリアムETFについては、市場の期待に反し低迷が続いており、日々公開されるキャッシュフローについての反応は鈍いものとなっている。

※4日のUSスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはプラス739万ドル。
※9月30日からの週のトータルキャッシュフローはマイナス3069万ドル。
※日本時間10月7日AM6:00現在のドミナンスは13.781%。

 4日のETHJPYはETHUSD上昇や外国為替市場での円安が支援要因となり、一時は364,120円付近まで上昇した。終盤は円安一服や週末を控え利益確定の売りに押され、伸び悩む展開になったものの、前日から大きくレンジを切り上げた。
 5~6日の取引では356,000~361,600円のレンジ内で方向感を欠く展開が続いていたが、米国時間帯に入ってETHUSDの上昇を受け365,870円付近まで上昇するなど取引レンジをわずかに切り上げた。

(当レポートのBTC、ETHなど1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)

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