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ビットコインはFOMC後にETFから過去最大の流出、軟調地合い続く ビットコイン・デイリーレポート2024.12.23(2024. 12.20-22)

株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室
暗号資産グループ

市況概況(ビットコイン)
 20日のビットコインはほぼ横ばい。BTCUSDは東京時間帯では前日までの下落が一巡し95,620~98,310ドルのレンジ内で膠着。米連邦公開市場委員会(FOMC)やパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見で2025年以降の利下げペースの鈍化が示唆されたことや、パウエル議長がビットコイン準備金に対して否定的な発言を行ったことが引き続き上値を抑えた。また、日本時間午後に出揃った19日の米国のスポットビットコインの上場投資信託(ETF)のキャッシュフローが上場来最大の流出額を記録したこともネガティブ要因として捉えられた。尚、19日のスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはマイナス6億7999万ドルとなり、流入は15営業日連続で途切れた。
 その後、欧州時間帯に入ると一時92,200ドル付近まで下落した。2014年に流出事件を起こして破綻したマウント・ゴックス社(Mt社)の一部送金が日本時間20日15:00ごろに確認されているものの、それ以外に新たな目立った材料はなく、95,500ドル割れでデリバティブ・ロングポジションのストップロスを誘発したテクニカル要因での一時的な下落と見られる。暗号資産デリバティブデータ分析プラットフォームCoinGlassによると、日本時間20日17:00以降ビットコイン先物ロングポジションの清算が急増しており、同21:00までの4時間でロングポジションの清算は9833万ドルに達した。また、オンチェーンインテリジェンスプロバイダーであるアーカム・インテリジェンス(Arkham)によると、Mt社のウオレットからタグ付けのなされていない未知のアドレスへビットコイン約719BTCが送金された。同社は10月10日に公表した「弁済期限日の変更に関するお知らせ」で弁済期限を2024年10月31日から2025年の10月31日に延期して以降、正式な弁済再開のプレスリリースは発表していない。ただ、直近では弁済再開へ向けた準備と見られる同社内ウオレット間で送金が複数確認されており、今回の送金も同様に社内間での送金の可能性が高い。
 欧州時間帯の一時的な下落後は米国時間帯にかけて反発し、終盤には東京時間帯の膠着レンジへと回帰した。外国為替市場でドルが下落したことがドル建てで取引されるBTCUSDの支援要因となったほか、11月の米個人消費支出(PCE)が市場予想を下回ったことを受け米国の利下げペース鈍化に対する過度な警戒感が後退したことも買い戻される要因となった。
 尚、米商務省が発表した11月のPCEデフレーターは、前年同月比2.4%上昇となり、前月の2.3%から伸びが加速したものの、市場予想の2.5%上昇に届かなかった。前月比では0.1%上昇となり、前月の0.2%上昇から伸びが鈍化したほか、市場予想の0.2%上昇を下回った。また、FRBが注視する食品とエネルギーを除くコアPCEデフレーターは前年同月比2.8%上昇となり、前月(2.8%上昇)と同じ伸びとなったが、市場予想の2.9%上昇を下回った。前月比は0.1%上昇となり、前月の0.3%上昇から伸びが鈍化し、同じく市場予想の0.2%上昇を下回った。

 米商品先物取引委員会(CFTC)がNYクローズ後に発表したCommitments of Traders (COT) Reportsによると、12月17日時点の非商業筋(ファンド、機関投資家など投機筋)のシカゴマーカンタイル取引所(CME)ビットコイン先物のネットポジションは720枚の売り越しとなり、前週の1,595枚の売り越しから875枚売り越しポジションが縮小した。投機筋はやや売り越しポジションとなっているものの、売り買いはほぼ拮抗状態が続いている。

参照1 10分の1サイズのMICROビットコイン取組明細

参照2 100分の1サイズのNanoビットコイン取組明細

 21日取引では99,550ドル付近まで強含む場面も見られたが、ほぼ前日と同水準の97,500ドル付近での推移となった。日本時間午後に出揃った20日のスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローは2営業日連続の流出となり、流出額は2億7693万ドルとなった。一方で週次のトータルキャッシュフローはプラス4億4925万ドルとなり、流入は3週間連続となった。

 22日の取では米国時間帯に入って下落した。全般的に売買が低迷するなかポジション調整的な売りに押され終盤には94,460ドル付近まで下落した。FOMC後の下落は一巡しつつあるものの、欧米のクリスマス休暇を控え安値を積極的に拾う動きは見られず上値の重さが目立つ展開となった。

※日本時間12月23日午前6:00現在のドミナンスは58.931%。

 20日のBTCJPYは続落。東京時間帯序盤は1530万円付近の狭いレンジ内で方向感を探る展開が続いていたが、欧州時間帯ではBTCUSDに連動して一時1448万円付近まで下落した。その後、米国時間帯には1500万円台を回復し、膠着レンジへ回帰したものの、外国為替市場で円が対ドルで上昇したことが圧迫要因となり、前日比プラス圏には届かなかった。

 21~22日の取引では1530万円を上値抵抗に弱含みで推移すると、22日の米国時間帯終盤には一時1482万円付近まで下落した。土日の取引で売買が低迷するなかで、FOMC後の戻りの鈍さが意識されたほか、円への介入警戒感から週末に円が上昇したことが嫌気されている模様。

市況概況(イーサリアム)
 20日のイーサリアムは小反発。ETHUSDは東京時間帯では3360~3465ドルのレンジ内で方向感を探る展開が続いていたが、欧州時間帯に入るとビットコインの下落を受けて暗号資産全般が軟化するなか一時3110ドル付近まで下落した。その後は11月の米PCEの伸びが市場予想を下回ったことを受けて物価上昇に対する警戒感が和らぐとともに、米国の利下げペース鈍化への過度な警戒感も後退し上昇に転じた。米国時間帯終盤には日本時間帯の膠着レンジを上抜き一時3500ドル付近まで上昇した。一方で、この日の日本時間午後に出揃った19日のスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはマイナス6046万ドルとなり、連続流入記録は18営業日で途切れた。18日のFOMC、議長会見でタカ派的なスタンスが示されたことが影響したと見られる。
 CFTCがNYクローズ後に発表したCOT Reportsによると、12月17日時点の非商業筋(ファンド、機関投資家など投機筋)のCMEイーサリアム先物のネットポジションは46枚の売り越しとなり、前週の739枚の売り越しから693枚売り越しポジションが縮小した。投機筋のネットポジションは売り買いが拮抗しているが、ポジションは急増している。

 21日は反落した。東京時間帯は前日の流れを引き継ぐなか3548ドルまで上昇する場面も見られたが、欧州時間帯以降は週末を迎え利益確定やポジション調整の売りに圧迫され徐々に軟化する展開となった。その後、米国時間帯には下げ幅を拡大し3345ドル付近まで下落した、日本時間午後に出揃った20日のスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはマイナス7511万ドルとなり、2営業日連続での流出となった。一方で週次のスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはプラス6273万ドルとなり、流入は4週間間連続となった。ただ、流入額は直近3週間に比べ大幅に減少した。

 22日は小幅続落。欧州時間帯に3400ドル付近まで上昇する場面も見られたが、米国時間帯に入って失速し、終盤には一時3225ドル付近まで下落した。FOMC後の急落が引き続き上値を圧迫していると見られる。

※日本時間12月23日午前6:00現在のドミナンスは12.341%。

 20日のETHJPYは小反発。FOMC後の下落が継続するなか欧州時間帯には一時486,000円付近まで下落した。その後売りが一巡すると、米国時間帯終盤にかけて買い戻され543,000付近まで上昇し、わずかながら前日比でプラス圏を回復した。

 21日~22日は軟調に推移した。21日には一時557,000円付近まで上昇する場面も見られたが、その後は週末を迎えるなかポジション調整などの売りに押され軟調に推移し、22日の米国時間帯終盤には一時505,400円付近まで下落した。

市況概況(リップル)
 20日のリップルは小反発。XRPUSDはFOMC後の下落が継続し、欧州時間帯には節目の2.0000ドルを割り込み一時1.9570ドル付近まで下落した。その後は、米国の過度な利下げペース鈍化に対する警戒感が後退するなか買い戻され上昇に転じると、米国時間帯終盤には一時2.3000ドル台まで上昇した。この日は特に独自の材料は見られず、暗号資産全般の動きに連動する展開となった。また、FOMC後の急落は引き続き上値を圧迫しているものの、米国の政権移行で米証券取引員会(SEC)との訴訟と利下げやETF承認期待が高まるなか最も恩恵を受けると予想されており、高値圏は維持されている。

※日本時間12月23日午前6:00現在のドミナンスは3.940%。

 21日から22日にかけてはレンジ内で膠着した展開となった。21日の欧州時間帯には一時2.3810ドル付近まで上昇する場面も見られたが、週末を迎え積極的な買いは続かず、米国時価帯には膠着レンジへと押し戻された。その後は22日にかけて方向感を探る展開が続いた。

 20日のXRPJPYは欧州時間帯に一時308円付近まで下振れしたものの、その後は買い戻され357円付近まで上昇し、前日比でわずかながらプラス圏を回復した。
 21日~22日の取引はほぼ横ばい。21日の欧州時間帯序盤に374円付近まで上昇する場面も見られたが、その後は買いが続かずレンジを切り下げ340~355円のレンジで方向感を探る展開となった。22日も多少の上下動はあったものの、前日に続き方向感に欠ける展開となった。

(当レポートのBTC、ETHなど1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)

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