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主要通貨に対しドルが上昇、インフレ再燃懸念や地政学リスクがドル買い支援 FX・デイリーレポート2024.11.21(2024.11.20)

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市場調査室
外国為替グループ

市況概況
  20日の外国為替市場ではドルが主要通貨に対し上昇した。トランプ次期政権の政策によるインフレ再燃懸念を背景に12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げが見送られるとの思惑やウクライナ情勢の緊迫化によるリスク回避の逃避先としてドル買いが先行した。ドルインデックス(DXY)は日本時間帯序盤から堅調に推移すると、米国時間帯には一時106.92まで上昇した。シカゴマーカンタイル取引所(CME)が30日物(フェデラル・ファンド・レート)FF金利先物から算出する金利見通し(FedWatch )によると、12月のFOMCで25bpの利下げが決定される確率は前日の58.9%から53.9%へ低下し、利下げが見送られる確率は41.1%から46.1%へ上昇した。

 ドル円(USD/JPY)は日本時間帯序盤から円売りが優勢となり、米国時間帯には一時155.88円まで上昇した。財務省が発表した10月の貿易統計(速報、通関ベース)で貿易収支が4612億円の赤字となり、市場予想の360億円の赤字を上回ったほか、4カ月連続で赤字となったことが円売りを誘う要因になった。また、12月のFOMCで利下げが見送られるとの思惑から、先行きの日米金利差拡大が意識されたことも円が売られる要因になった。

 ユーロドル(EURUSD)は下落した。ウクライナ情勢の緊迫を受けて地政学リスクが高まったことやドルの上昇を受けユーロ売りが優勢となり、米国時間帯には一時1.0509ドルまで下落した。一方で欧州時間帯には下げ渋る場面も見られた。この日、欧州中央銀行(ECB)が発表したデータによると、第3四半期のユーロ圏の妥結賃金の伸びは前年同期比で5.42%上昇となり、第2四半期の3.54%から伸びが加速した。賃金の伸びが再び加速したことを受け、ECBが利下げについて慎重にならさる得ないとの観測が浮上した。ただ、全般的なユーロ売りの流れを覆すほどではなく、米国時間帯に入ると下落が再開した。

 ボンドドル(GBPUSD)は下落した。日本時間帯から欧州時間帯にかけてはイングランド銀行(BOE)の利下げペースが鈍化するとの思惑を背景に買い戻しが優勢となり堅調に推移した。欧州時間帯には英国立統計局(ONS)が発表した10月の消費者物価指数(CPI)の伸びが市場予想を上回って上昇したことを受け一時1.2714ドル付近まで上昇した。ただ、直後から戻り売られる展開となり反落した。ウクライナ情勢の緊張の高まりを背景としたリスクオフトレードやドル高を受け、米国時間帯中盤には1.2630ドル付近まで下落した。終盤の取引ではドル高一服を受けて下げ止まったものの、戻りは限定された。
 ONSが20日発表した10月のCPIは前年同月比で2.3%上昇となり、前月の1.7%上昇から伸びが加速し、市場予想の2.2%上昇を上回った。BOEが目標とする2.0%を再び上回った。前月比では0.6%上昇で市場予想の0.5%上昇を上回る伸びとなった。前月は0.0%だった。また、コアCPI(エネルギー、食品、アルコール、タバコを除く)は前年同月比3.3%上昇となり、前月の3.2%上昇から伸びが加速し、市場予想の3.1%を上回った。前月比は0.4%上昇で前月は0.3%の上昇だった。モノの価格は前年同月比マイナス0.3%と前月のマイナス1.4%から低下幅を縮小したものの、7カ月連続でマイナスとなった。一方サービス価格が全体を押し上げた。前年同月比は5.0%の上昇となり、前月の4.9%上昇から伸びが加速した。

(当レポート1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)

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