見出し画像

ビットコイン・デイリーレポート2024.7.3(2024.7.2)金融市場のリスク選考ムードも反応薄

株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室
暗号資産グループ


市況概況(ビットコイン)
 2日のビットコインは反落。BTCUSDはアジア時間帯から軟調。前日の急伸を受けた高値修正の動きが優先された。この日は日経平均株価が今年4月以来の40,000円台に到達するなど、アジア時間帯はリスク選考ムードが広がっていたが、外国為替市場でのドル高が圧迫要因となり、暗号資産全般にリスク選考ムードに対する反応は見られなかった。ただ、米国で上場されているスポットビットコイン上場投資信託(ETF)の1日のトータルキャッシュフロー推計値がプラス1億2945万ドルとなり、5営業日連続でプラスを記録したことが下支え要因になったとみられる。

1日のスポットビットコインETFのトータルキャッシュフロー推計値はプラス1億2945万ドル(プラスは5営業日連続)

 一方で、欧州時間帯以降は米国の利下げ観測を背景にドルが下落したものの、ドイツ政府が保有するビットコインを取引所へ送金したことが嫌気され、米国時間帯には61,780ドル付近まで下落した。オンチェーンインテリジェンスプロバイダーであるアーカム・インテリジェンス(Arkham)によると2日、ドイツの政府機関・連邦刑事警察庁(BKA)は犯罪収益として押収したビットコインを月曜日に続き複数の取引所へ送金した。BKAは100BTCをCoinbaseに、150BTCをBitstamp、32.74BTCをKrakenに送金した。同時に特定されていないアドレス(139PoPE1b・・・)へ550BTCが送金された。また、数時間後には361.877BTCをFlow Tradersへ、138.14BTCを特定されていないアドレス(139PoPE1b・・・)へ送金が確認された。尚、BKAが前日に送金したビットコインは合計で1500BTC。先月からBKAの売却が続いており、現在BKAの所有するウォレットには43,549BTCが保管されている。一方、前日にイーサリアムの送金が確認されていた米国政府のウォレットにこの日は動きがなかった。注目されていた欧州中央銀行主催のカンファレンスで、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は「米国はディスインフレへ戻りつつある」という認識を示し、「われわれが現在確認している水準が基調的なインフレの実状を正確に示しているかどうか確認したい」と述べた。また、「インフレが2%に向けて持続的に低下しているという一層の確信を持ちたい」とし、「物価安定と雇用の最大化という2つの責務に対するリスクはかなり均衡しつつある」と述べた。これらの発言を受けて市場では、利下げに対する時期や明確な道筋については語られなかったものの、利下げについて一歩踏み込んだ発言として受けとめられ、米株式市場は利下げ期待から主要3指数が揃って上昇、外国為替市場ではドルが下落するなど、リスク選考ムードが強まった。ただ、ビットコインはドイツや米国政府の売却懸念、休眠していた複数のクジラのウォレットが今年に入って活動を再開していることが確認されており、それらの保有する大量のビットコインの売却が懸念されるなか、市場ムードに相反する動きとなった。尚、パウエル議長の発言を受けてCMEグループがフェデラル・ファンド(FF)金利先物の価格データを基に算出するFedWatchによると、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での5.00-5.25bpsへの利下げ確率は前日の59.8%から63.4%に上昇した。

※当資料は情報提供を目的としており、お取引を促すものではなく、また将来を約束するものではございません。