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ビットコイン・デイリーレポート2024.9.17(2024. 9.13-16)週末上昇も、週開けに反落。FOMCでの利下げ実施が確実視されるなか、50bpの利下げ確率が上昇

株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室
暗号資産グループ

市況概況(ビットコイン)
 13日のビットコインは続伸。BTCUSDはアジア時間帯から米国時間帯序盤まで57,680~58,500ドルのレンジ内で方向感を探る展開が続いた。日本時間午後に出揃った米国のスポットビットコイン上場投資信託(ETF)の12日のトータルキャッシュフローがプラス3902万ドルとなり、前日の流出から流入に転じたことや外国為替市場でのドル安が支援要因になった。一方、テクニカル的には58,500ドルが上値抵抗として意識されており、レンジ上限付近では引き続き売り圧力が強く上値を圧迫された。その後、米株式市場がオープンすると、米株主要3指数は揃って下落して始まったものの、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利下げ観測を背景に上昇に転じたことを受け、金融市場全般でリスクオントレードが先行する展開となった。BTCUSDもロンドンフィックス通過後に目先の抵抗となっていた58,500ドルを突破すると、デリバティブ系ショートポジションのストップロスを巻き込みながら節目の60,000ドル台を回復し、NYクローズにかけては60,670ドル付近まで上昇した。尚、暗号資産デリバティブデータ分析プラットフォームCoinGlassによると、13日のBTCデリバティブ・ショート・ポジションの清算は4836万ドルに達した。同日のロングポジションの清算は500万ドルだった。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とフィナンシャル・タイムズ(FT)の両メディアが米連邦準備理事会(FRB)当局者の話として、9月のFOMCでフェデラル・ファンド(FF)金利の50bpの利下げも検討していると報じたことを受け、今会合での25bpの利下げを見込んでいた市場は大幅利下げの可能性も考慮したポジションへの調整を急速に迫られた。この報道自体は日本時間帯の早い段階で既に報じられ、シカゴマーカンタイル取引所(CME)が30日物FF金利先物から算出するFOMCでの金利見通し(FedWatch )で50bpへの利下げ確率が急上昇していた。ただ、同時に外国為替市場では大幅利下げ観測を受けてドルが下落し、対ドルで円高が進んだことを受け、日本株が軒並み下落しており、リスクオントレードが活発化することはなかった。また、同様にシンガポールで開催された「金融の未来フォーラム」で、ダドリー前ニューヨーク連邦銀行総裁が「FRBが実際に実施するかどうかは別だが、50bpの引き下げを支持する強い論拠はあると思う」とし、「問題はなぜ(利下げを)始めないのかいうことだ」と述べていたが、アジア時間帯に目立った動きは見られなかった。一方、米国時間帯はFOMCでの大幅利下げ観測に対し、米株式市場が素直に反応した。CMEのFedWatchでは13日NYクローズ時点で9月のFOMCで50bpの利下げが実施される確率は50%まで上昇した。また。この日はビットコインの保有を経営戦略の柱として推進している米企業のMicroStrategy Incorporatedが追加でビットコインを購入したと発表した。米証券取引委員会(SEC)へ提出書類(FORM 8-K)によると、MicroStrategy Incorporated は、2024 年 8 月 6 日から 2024 年 9 月 12 日までの期間中に、約 18,300BTCを約 11 億 1,000 万ドルの現金で取得したと発表した。平均価格は 1 BTCあたり約 60,408 ドル。尚、FORM 8-Kは、米国における株式公開企業が米国証券取引委員会(SEC)への提出が義務付けられている財務状況や株価に影響を与える可能性のある重要事項に関する報告書式のことであり、事象の発生から1カ月以内の提出が義務付けられている。
 14~15日のBTCUSDは59,500~60,500ドルのレンジ内で膠着し方向感を探る展開となった。前日の上昇が一巡したほか、土日の取引で市場参加者が少なく、積極的な売買が見送られた。尚、14日の日本時間午後に出揃った米国のスポットビットコイン上場投資信託(ETF)の13日のトータルキャッシュフローはプラス2億6307万ドルとなり、2営業連続での流入となったが、目立った反応は見られなかった。週間ベースではプラス4億380万ドルとなり、3週間ぶりの流入となった。

※13日のUSスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはプラス2億6307万ドル。
※9日の週のUSスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはプラス4億380万ドル。
※米商品先物取引委員会(CFTC)が13日NYクローズ後に発表した取引明細。

 16日は反落。BTCUSDはアジア時間帯序盤から軟調に推移した。9月のFOMCでの50bpの利下げが実施される確率は上昇したものの、トランプ前大統領の暗殺未遂事件による米大統領選の先行き不透明感や節目の60,000ドル台回復を受けて売りが優勢の展開となった。欧州時間帯は下げ渋る場面も見られたが、米国時間帯では米株式市場がまちまちの動きとなり、リスクオントレードが一服したことを受け下げ幅を拡大すると57,500ドル付近まで下落した。終盤は下落が一巡し、57,000ドル台後半での推移となっているものの、週末の上昇分をほぼ失った。17~18日にFOMCを控え、今会合での利下げの実施は確実視されているが、利下げ幅についての不透明感から利益確定の売りやポジション調整の売り圧力が強まったと見られる。尚、CMEのFedWatchでは日本時間17日6:00の時点で50bpの利下げが実施される確率は67%まで上昇した。一方、25bpの利下げが実施される確率は33%まで低下している。ただ、FF金利先物、FedWatchともに激しく変動しており、FOMC終了後までは不安定な相場環境が続くと見られる。

※日本時間9月17日AM6:00現在のドミナンスは57.866%。

 13日のBTCJPYは続伸。アジア時間帯は急浮上した米国の大幅利下げ観測を背景に外国為替市場で円高が進行したことを受けやや弱含みでの推移となっていたが、米国時間帯に入ると、米株式市場の上昇を受けロンドンフィックス通過後に反発し、米国時間帯終盤には850万円付近まで上昇した。
 14~15日のBTCJPYは838万円付近まで一時的に下落する場面も見られたが、813~852万円のレンジ内でほぼ膠着。土日の取引で市場参加者が少なく、様子見姿勢が強まった。
 16日のBTCJPYは反落。BTCUSDの下落や外国為替市場での円高が進行を受け、米国時間帯には809万円付近まで下落した。終盤は下げ渋ったものの、週末の上昇分を失い、810万円付近で方向感を探る展開となっている。また、この日は対ドルで円が一時139円台半ばまで上昇した。足元では日米金利差縮小を背景に円買い圧力が強まっており、引き続き円高による下振れが警戒される展開となっている。

市況概況(イーサリアム)
 13日のイーサリアムは続伸。ETHUSDはアジア時間帯から欧州時間帯は2360ドル付近で方向感を探る展開となっていたが、米国時間帯中盤以降にFOMCでの大幅利下げ観測を背景に米株式市場が上昇すると、終盤には2470ドル付近まで上昇した。
 14~16日は一時的に2384ドルまで下落する場面も見られたが、2410~2435ドルのレンジ内で膠着が続いた。ただ、米国時間帯中盤になると徐々に軟化すると2350ドル付近まで下落し、週末の上昇分をほぼ失った。特に目立った材料は見られなかったが、暗号資産への支持を表明しているトランプ氏への暗殺未遂事件で米大統領選の先行き不透明感が強まったことが圧迫要因になった模様。

※13日のUSスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはプラス152万ドル。
※転換型のGrayscale のETHEのキャッシュフローはマイナス736万ドル。

 16日のETHUSDは続落。前日終盤の流れを引き継ぎ一時2258ドルまで下落した。その後は安値修正から2340ドル付近まで上昇する場面も見られたものの、明確な支援材料がなく、欧州時間帯以降は2270~2315ドルのレンジ内で方向感を探る展開となった。引き続きETFの低迷や大型アップデートによる需給の緩みが意識されており、下振れしやすい相場環境が続いている。尚、ETHドミナンスも低下傾向が続いており、日本時間9月17日AM6:00現在のドミナンスは14%を割り込み13.891%まで低下している。

※日本時間9月17日AM6:00現在のドミナンスは13.891%。

 13日のETHJPYは続伸。ETHUSD 同様に米国時間帯に入って上昇した。外国為替市場での円高進行に上値を圧迫されながらも、FOMCでの大幅利下げ観測を背景にリスクオントレードが先行するなか、終盤には一時348,000円付近まで上昇した。
 14-15日の取引では340,000円付近で膠着状態が続いていたが、米国時間帯中盤になってETHUSDが徐々に軟化すると連動して下げ始め、終盤には330,000円付近まで下落した。
 16日のETHJPYは続落。前日の流れを引き継ぐとアジア時間帯には一時317,000円付近まで下落した。その後、下落は一巡したものの、戻りは鈍く319,000~325,500円のレンジ内で方向感を探る展開となっている。

(当レポートのBTC、ETHなど1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)

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