ビットコイン・デイリーレポート2024.9.13(2024. 9.12)米経済指標はまちまち、BTCは上昇も58,500ドルの抵抗が重い
株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室
暗号資産グループ
市況概況(ビットコイン)
12日のビットコインは上昇。BTCUSDはアジア時間帯に58,500ドル付近まで上昇したが、その後は伸び悩む展開となった。日本時間午後に出揃った米国のスポットビットコイン上場投資信託(ETF)の11日のトータルキャッシュフローがマイナス4396万ドルとなり、2営業日ぶりに流出となったことや、米大統領選の先行き不透明感が上値を圧迫した。前日の米大統領選テレビ討論会後には、暗号資産への支持を明確に表明しているトランプ氏の支持率が低下し、ハリス氏の支持率が上昇した。ただ、リアルタイムで支持率が反映される分散型予測市場プラットフォームPolymarketでは両候補者の支持率は拮抗しており、11月の大統領選へ向けて予測が非常に困難な状況となっている。尚、この日トランプ氏は自身がかかわる暗号資産プロジェクト「World Liberty Financial」を立ち上げたことをソーシャルネットワークサービス(SNS)のXに投稿した。同氏は投稿した動画で「「9月16日午後8時(米東部標準時)、Twitter SpacesでWorld Liberty Financialの立ち上げライブに参加しよう」、「私たちは暗号資産の未来を受け入れ、時代遅れの大手銀行を置き去りにしよう」と述べた。また、同プロジェクトは分散型金融プラットフォームAaveとイーサリアムブロックチェーン上に構築され、「クレジットアカウントシステム」を中心に据えるとしている。一方、ホワイトペーパーはまだ検討段階にあるという。
欧州時間帯以降も方向感を探る展開が続いた。欧州中央銀行(ECB)は理事会で政策金利を現行の4.25%から3.65%への引き下げを決定したが、引き下げ幅が市場予想と一致したこともあり、金融市場への影響はほとんど見られなかった。また、米国時間帯には米卸売物価指数や新規失業保険申請件数などが発表されたが、まちまちの内容となり、発表直後に多少の上下動はあったものの、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での25bpの利下げ見通しに変化を与えるものではなく、市場への影響も限定的だった。一方で米株式市場は米国の利下げサイクル入りへの期待感や米経済のソフトランディング見通しを背景にリスクオントレードが先行する展開となり、主要3指数が揃って上昇した。また、外国為替市場では主要通貨に対しドルが幅広く売られ、ドルインデックス(DXY)は101.23付近まで下落した。この日、国際通貨基金(IMF)のコザック報道官は、「米国の金融政策について、物価上昇リスクが和らいだことから、米連邦準備理事会(FRB)が来週の会合で利下げサイクルを開始するのが適切になる」との考えを示しており、ドル売りを促す一因となったと見られる。BTCUSDもリスクオンムードが広がるなかドル安を受けてNYクローズにかけて上値を試す展開が続いていたが、新たな押し上げ要因が見当たらず、結果として58,500ドルの抵抗を上抜くことは出来なかった。
尚、米労働省が発表した9月7日までの1週間の新規失業保険申請件数は季節調整済みで前週比2000件増の23万件となり、市場予想の23万件と一致した。4週平均は前週の23万250件から23万750件へと増加しており、低下傾向にあったトレンドに若干の変化が生じていることは先行きの懸念材料になる可能性もあり得る。
また、米労働省が発表した8月の卸売物価指数(PPI)は季節調整済みで前月比0.2%上昇し、市場予想の0.1%を上回った。前年同月比では1.7%の上昇となり、前月の2.1%上昇から鈍化し、市場予想の1.8%上昇を下回った。食品とエネルギー、貿易サービス部門を除いたコア指数は前月比0.3%上昇し、市場予想の0.2%上昇を上回った。前年同月比は前月と同じ2.4%上昇となり、市場予想の2.5%上昇を下回った。
12日のBTCJPYは上昇。アジア時間帯に前日終盤の流れを引き継ぎ836万円付近まで上昇したが、その後は815~835万円のレンジ内で方向感を探る展開となった。この日発表された米経済指標はまちまちとなり、市場の方向性を決定付けるものではなかったものの、外国為替市場ではドル安が進み、円も対ドルで上昇したことが上値を圧迫した。米国時間帯終盤にはやや軟化したものの、この日のレンジ内に留まっており、現在は825万円付近で取引されている。
市況概況(イーサリアム)
12日のイーサリアムは小反発。ETHUSDは安値修正の動きからアジア時間帯序盤に2396ドル付近まで上昇したが、節目の2400ドルには届かずに反落した。日本時間午後に出揃った11日の米国のスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローがマイナス54万ドルとなり、再び流出に転じたことや需給の緩みに対する警戒感が引き続き上値を圧迫し、米国時間帯には一時2322ドル付近まで下落した。ただ、米国時間帯終盤は米株式市場の上昇や外国為替市場でのドル安を支援要因に2360ドル付近まで上昇しプラス圏を回復した。
12日のETHJPYは小反発。ETHUSD 同様にアジア時間帯に341,500円まで上昇したが、その後はETHUSD の失速を受けて330,000円付近まで下落した。米国時間帯終盤にはリスクオントレードが先行するなか335,000円付近まで上昇し、プラス圏を回復したが、外国為替市場での円高進行が上値を圧迫し、前日とほぼ同水準で伸び悩む展開となった。
(当レポートのBTC、ETHなど1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)
※当社の提供する情報及びレポートは、著作権法により保護された著作物です。著作権は株式会社B.C.Aマネージメントにあります。内容の一部、またはすべてを複製、流用および転載、転売することを禁じます。
※当資料は情報提供を目的としており、お取引を促すものではなく、また将来を約束するものでもございません。売買等のご判断はお客様ご自身でお願い致します。