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ビットコイン・デイリーレポート2024.7.19(2024.7.18)ビットコインは下落 ドル高、トランプ・トレードのネガティブ要因が意識される

株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室
暗号資産グループ


市況概況(ビットコイン)
 18日のBTCUSDはアジア時間帯から欧州時間帯にかけて65,130ドルを上値抵抗に64,000ドル台で方向感を探る展開が続いた。前週末のトランプ前大統領暗殺未遂事件を経て同氏の大統領選での優位性が伝わるなか「ほぼトラ」を背景とした「トランプ・トレード」が一巡、利益確定の売りに上値の重い展開が続いた。一方、米国で上場されているスポットビットコイン上場投資信託(ETF)のトータルキャッシュフロー推計値はプラス5334万ドルとなり、9営業日連続でプラスを記録し、これが下支え要因になった。また、ドイツの政府機関・連邦刑事警察庁(BKA)は16日、公式に「2024年6月19日から2024年7月12日の間に約49,858ビットコインの売却を組織的に実行した」と発表し、警戒されていた大量保有者の売却懸念の一つが払拭されたことも支援要因になった。ただ、17日、18日と新たな動きはなかったものの、引き続き2014年に破綻したマウント・ゴックス社の弁済開始による債権者の売却が懸念されている。

※17日のUSスポットビットコインETFのトータルキャッシュフロー推計値はプラス5334万ドル。(プラスは9営業日連続)

 米国時間帯に入ると、ドル安修正の動きからドルが反発したことを受け下げに転じ一時63,240ドル付近まで下落した。NYクローズにかけては売りが一巡し下落幅をやや縮小したものの、前日比マイナス圏で推移している。この日、米フィラデルフィア地区連銀が発表した7月の製造業業況指数は13.9と6月の1.3から上昇し、市場予想の2.9を上回り、4月以来の高水準となったことや国際通貨基金(IMF)が18日、米連邦準備理事会(FRB)は「2024年後半」まで利下げすべきでないとしたほか、米政府は連邦債務の増加を抑制するために増税が必要との見解を示したことを受けドルが反発した。また、「ほぼトラ」のネガティブな部分、「アメリカ・ファースト」による米中貿易摩擦拡大のほか欧州や日本など友好国とされる国との新たな貿易摩擦への懸念が意識され、米株式市場で主要3指数が揃って下落したこともドルの上昇要因になったとみられる。暗号資産業界では、トランプ前大統領が大統領就任後、暗号資産否定派として知られる米金融大手JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)を財務長官に起用することを検討していると報じられていることもネガティブな要因として捉えられている模様。
 BTCJPYは、基本トレンドはBTCUSDとは変わらないものの、先週末の日銀介入以降ドル円の影響が強まっている。16日のトランプ前大統領の「円は安すぎる」発言に続き、17日は河野デジタル相の「政策金利を引き上げるよう日銀に求めた」との発言を受け円が急伸、155円台前半まで円高が進んだことで上値は抑制された。一方、昨日は円高修正の動きを受け157円台を回復、その結果BTCJPYは18日の下落局面で前日の安値を割り込むことは回避された。政府筋による中央銀行への圧力はその独立性を保つ意味であってはならないことではあるが、こうした発言には市場も反応せざるを得ず、引き続きBTCJPYの取引ではドル円の動きに注視する必要があるだろう。

※18日のドミナンスは55.024%。

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