
ドルは反落、ドル円は円の買い戻しから151円台中盤まで下落 FX・デイリーレポート2024.10.25(2024.10.24)
株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室
外国為替グループ

市況概況
24日の外国為替市場でドルは主要通貨に対し下落した。この日は明確なドル売り材料は見られなかったものの、急ピッチで進んだドル高に対し、翌月の米雇用統計、米大統領選など重要イベントを控え、ポジション調整的なドル売りが先行した。ドルインデックス(DXY)は日本時間帯から軟調に推移し、NYクローズにかけて104.02付近まで下落した。また、この日発表された米新規失業保険申請件数は10月の雇用統計調査期間と重なっており注目されていたが、申請件数は前週から減少したものの、継続受給件数が前月から増加しており、内容的にはまちまちとなったことで市場への影響は見られなかった。一方でS&Pグローバルが発表した10月の米総合購買担当者景気指数(PMI)は前月から上昇し、米新築一戸建て住宅販売戸数も前月から市場予想を上回って増加するなど、米国の利下げペースが緩やかになるとの観測を後押しする内容となっている。
尚、この日発表された米経済指標は以下の通り。
米労働省が発表した10月19日までの1週間の新規失業保険申請件数は季節調整済みで22万7000件となり、前週から1万5000件減少し、市場予想の24万2000件を大幅に下回った。一方、10月12日までの1週間の継続受給件数は季節調整済みで189万7000件となり、前週から2万8000件増加し、2021年11月以来の高水準となった。
S&Pグローバルが発表した10月の米総合PMI速報値は54.3となり、前月の54.0から上昇し、市場予想の53.8を上回った。サービス業PMIは55.3となり、前月の55.2から上昇した。また、製造業PMIは47.8となり、引き続き景気判断基準の50を下回ったものの、前月の47.3から上昇した。
米商務省が発表した9月の新築一戸建て住宅販売戸数は季節調整済み年率換算で73万8000戸となり、前月の70万9000戸から増加し、市場予想の72万件を大幅に上回った。

ドル円(USDJPY)はドル安主導で円高進み、米国時間帯終盤には151.56円付近まで下落した。ドル高を主導してきた米国債利回りが低下し日米金利差拡大懸念が後退したことや、重要イベントを控え円売りポジションの巻き戻しが進んだ。特に衆議院総選挙では一部報道で連立与党の過半数割れも指摘されており、先行き不透明感から円ポジションの中立化も進んでいると見られる。また、この日はG20財務相・中央銀行総裁会議がワシントンで開催されており、日本からは加藤財務大臣、植田日銀総裁らが出席した。そのワシントンで加藤財務大臣は記者団に対し、「足元で一方的かつ急速な動きがみられる。投機的な動向を含め、緊張感をさらに高めて注視したい」と述べ、急激な円安に対してけん制する発言を行っており、円が買い戻される要因の一つになった。また、日銀の植田総裁は会議後の記者会見でこれまでと同様に「為替の円安に伴う物価情勢への分析に時間的余裕がある」とし、金融政策の変更について改めて慎重な姿勢を示した。

ユーロドル(EURUSD)は反発。この日S&Pグローバルが発表したPMI速報値は冴えない内容となったものの、ドルの下落主導で反発し、米国時間帯終盤には1.0830ドル付近まで上昇した。ただ、ユーロ圏経済は確実に減速傾向を示しており、欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーからは段階的な利下げを継続することが望ましなどの発言が相次いでおり、この反発も安値修正の範囲内の動きに留まる可能性が高いと見られている。尚、この日もECB理事会のメンバーであるホルツマン・オーストリア中銀総裁やバスレ・スロベニア中銀総裁が利下げ継続を容認する発言をしている。一方で同じくECB理事会のメンバーのナーゲル独連邦銀行総裁は「9月のインフレ率は低水準となったが、ECBは性急にインフレ対策を終了すべきではなく、今後発表されるデータを注視すべき」とし、慎重な姿勢を示した。
この日発表されたユーロ圏の主なPMIは以下の通り。
S&Pグローバルが発表した10月のドイツのHCOB総合PM)速報値は48.4となり、前月の47.5から上昇し市場予想の47.6を上回った。引き続き景気判断基準の50を下回っているものの、10月のサービス業PMIは前月の50.6から51.4へ、製造業PMIも前月の40.6から42.6へそれぞれ上昇した。
同じく10月のフランスのHCOB総合PMI速報値は47.3となり、前月の48.6から低下し、9カ月ぶりの低水準まで落ち込んだほか市場予想の49.0を大幅に下回った。また、10月のサービス業PMIは48.3となり、前月の49.6から低下し、製造業PMIも44.5となり、前月の44.6から低下した。
10月のユーロ圏HCOB総合PMI速報値は49.7となり、前月の49.6からわずかに上昇したものの、市場予想の49.8を下回った。サービス業PMIは51.2となり、引き続き景気判断基準の50を上回ったが、前月の51.4から低下した。製造業PMIは45.9となり、前月の45.0から上昇した。

ボンドドル(GBPUSD)は反発。ドルの下落主導で買い戻しが優勢となり、一時は1.2988ドル付近まで上昇した。米国時間帯以降は節目の1.30ドルを手前に伸び悩んだものの、前日の下落を相殺しプラス圏を維持した。一方でこの日S&Pグローバルが発表した10月の英国の総合PMI速報値は51.7となり、前月の52.6から低下し、11カ月ぶりの低水準まで落ち込んだほか、市場予想の52.6を大幅に下回った。サービス業PMIは51.8となり、前月の52.4から低下した。また、製造業PMIは50.3となり、前月の51.5から大幅に低下した。
(当レポート1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)
※当社の提供する情報及びレポートは、著作権法により保護された著作物です。著作権は株式会社B.C.Aマネージメントにあります。内容の一部、またはすべてを複製、流用および転載、転売することを禁じます。
※当資料は情報提供を目的としており、お取引を促すものではなく、また将来を約束するものでもございません。売買等のご判断はお客様ご自身でお願い致します。
いいなと思ったら応援しよう!
