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ビットコイン・デイリーレポート2024.9.9(2024. 9.6-8)

米雇用統計発表直後の乱高下を経て、リスク回避の売りに下落


株式会社B.C.Aマネージメント
市場調査室
暗号資産グループ

市況概況(ビットコイン)
 6日のビットコインは反落。BTCUSDは米雇用統計の発表を控え見送りムードが強く、アジア時間帯から欧州時間帯までは55,630~56,900ドルのレンジ内で方向感を探る展開が続いた。日本時間午後には米国のスポットビットコイン上場投資信託(ETF)のキャッシュフローが出揃い7営業日連続で流出となったことが確認されると、一時的に55,350ドル付近まで軟化する場面も見られたが、積極的に売る動きは見られず、その後は膠着レンジへと回帰した。尚、5日のUSスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはマイナス2億1115万ドルとなった。米国時間帯には米労働省が発表した8月の雇用統計で非農業部門雇用者数(Non-Farm Payrol、NFP)の伸びが市場予想を大幅に下回ったことを受け、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で50bpの大幅利下げが実施される可能性が意識される展開となり、外国為替市場ではドルが主要通貨に対し幅広く売られ、ドルは全面安となった。BTCUSDもFOMCでの大幅利下げ期待やドル安を支援要因に買いが先行する展開となり、雇用統計発表直後には57,000ドル付近まで上昇した。ただ、米国株式市場がオープンすると金融市場のムードが一変した。雇用統計発表直後はNFPが市場予想を大幅に下回ったことが市場の混乱を招いたものの、米連邦準備理事会(FRB)がNFP以外にも注視する失業率が前月から低下したことや平均時給の伸びが市場予想を上回ったことが見直され、米株式市場のオープン後にはFRBが50bpの大幅利下げを実施する可能性は低いとの見方が広がった。これを受けて米株式市場は主要3指数が揃って下落し、大幅利下げを織り込む動きからリスクオフトレードへとマーケット環境が急激に変化するなか、BTCUSDもリスク回避の売りが先行する展開となり下げに転じた。その後はほぼ一本調子で下げ幅を拡大し、終盤には一時52,640ドル付近まで下落した。暗号資産デリバティブデータ分析プラットフォームCoinGlassによると、この日の下落により、6日のビットコインのデリバティブ取引では8461万ドルのロングポジションが清算された。また、暗号資産全般も下落しており、暗号資産デリバティブ取引全体では2億2116万ドルのロングポジションが清算されたという。
 この日はシカゴマーカンタイル取引所(CME)が30日物フェデラル・ファンド(FF)金利先物から算出する米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利見通し(FedWatch )も激しく変動した。雇用統計発表直後には9月のFOMCで50bpの利下げが実施される確率は60%付近まで上昇したが、米株式市場のオープンとともに低下し、NYクローズの時点では30%まで低下した。一方、25bpの利下げが実施される確率は一時40%付近まで低下していたが、NYクローズの時点では70%まで上昇した。

 尚、米労働省が発表した8月の雇用統計によると、NFPは前月比14万2000人増となり、市場予想の16万人増を大幅に下回った。また、7月の雇用者数は下方改定され前月比は11万4000人増から8万9000人増へ修正された。一方、失業率は4.2%となり、前月の4.3%から低下し、市場予想の4.2%と一致した。平均時給は前月比0.4%増となり、市場予想の0.3%増を上回った。

 7日の取引では前日の下落が一巡するなか安値修正の動きとなった。日本時間午後に出揃った6日のUSスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはマイナス1億6997万ドルとなり、8営業日連続で流出となったが、土曜日の取引で市場参加者が少なかったこともあり、特に反応は見られなかった。尚、週ベース(この週は4営業日)では7億618万ドルが流出した。その後、米国時間帯には54,880ドル付近まで上昇する場面も見られたが、終盤にかけて失速し前日比プラス圏を維持したものの53,900ドル付近まで下落した。

※6日のUSスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはマイナス1億6997万ドル(8営業日連続の流出)。
※3日からの週(この週は4営業日)のUSスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはマイナス7億618万ドル。

 8日の取引では日曜日で市場参加者が少なく安値修正の動きも一巡。米国時間帯には53,700ドル付近まで下落する場面も見られたが、終盤になって54,000ドル台を回復し前日とほぼ同水準で方向感を欠く展開となった。

※日本時間9月9日AM6:00現在のドミナンスは56.888%。

 6日のBTCJPYは続落。アジア時間帯から欧州時間帯はUSスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローが7営業日連続で流出となったことを受け一時788万円付近まで下落する場面も見られたが、米雇用統計の発表を控え全般的に見送りムードが強く、800万円を中値に方向感を欠く展開が続いた。米国時間帯では雇用統計発表直後に818万円付近まで上昇したものの、米株式市場の下落を受けリスクオフトレードが先行するなかBTCUSDの下落や外国為替市場での円高進行が圧迫要因となり、終盤には節目の800万円を割り込み750万円付近まで下落した。外国為替市場ではドル円が一時的に乱高下した。雇用統計発表直後の数分間では141.90~144.00円のレンジで上下動し、その後もやや不安定な展開となったが、NYクローズにかけては円高が進み、142.27円で取引を終えた。
 7日の取引ではBTCUSDに連動して安値修正の動きとなった。ただ、上値は783万円付近までがいっぱいで、前日比プラス圏は維持しているものの、終盤には768万円付近まで下落した。
 8日の取引では780万円を上値抵抗に前日と同レンジ内でほぼ膠着。日曜日で取引参加者が少なく、見送りムードが強かった。

市況概況(イーサリアム)
 6日のイーサリアムは続落。ETHUSDはアジア時間帯から欧州時間帯にかけては米雇用統計の発表を控え様子見ムードが強く2380ドル付近で膠着状態が続いた。米国時間帯では米雇用統計発表直後に非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想を下回ったことを受けFRBが大幅利下げを行う可能性が意識され2410ドル付近まで上昇する場面も見られた。ただ、その後は失業率の低下や平均時給が前月から増加したことが見直され、FRBが大幅利下げに踏み切る可能性は低いとの見方が広がり、金融市場全般が利下げを織り込む動きからリスクオフトレードへと市場ムードが変化し、米株式市場は主要3指数が揃って下落した。ETHUSDもリスク回避の売りが先行する展開となり下げに転じると、終盤には9月4日に付けた安値2315ドルを割り込み2157ドル付近まで下落した。また、この日はETF関連で動きがあった。ニューヨークを拠点とする投資運用企業VanEckは公式サイト及びソーシャルネットワークサービス(SNS)のXを通じて、イーサリアム先物ETF(EFUT)の上場を廃止し清算する予定であると発表した。同社の発表によるとEFUTは9月16日が最終取引日となり、それまでは売却が可能。16日以降は上場廃止となり、それまでに売却しなかった保有者については清算(9月23日ごろ)後に純資産額に相当する額の現金を証券口座で受けとることになるという。尚、EFUT の純資産額は6日現在で2034万ドル。一方、VanEckはスポットイーサリアムETFのVanEck Ethereum ETF(ETHV)をシカゴ・オプション取引所(CBOE)に上場しており、現在の総資産は5215万ドルとなっている。
 7日は反発。前日の下落が一巡し安値修正との動きとなった。ただ、土曜日で市場参加者が少なく、2300ドル台を回復した後は上値の重い展開が続いた。日本時間午後に出揃った6日のUSスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはマイナス598万ドルとなり、4営業日連続で流出となったものの、前日に急落したこともあり、市場の反応は特に見られなかった。

※6日のUSスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローはマイナス598万ドル。(4営業日連続で流出)
※転換型のGrayscale のETHEのキャッシュフローはマイナス1070万ドル。

 8日の取引では日曜日で市場参加者が少なく安値修正の動きも一巡。米国時間帯には53,700ドル付近まで下落する場面も見られたが、終盤になって54,000ドル台を回復し前日とほぼ同水準で方向感を欠く展開となった。

 6日のETHJPYは米雇用統計を受けたリスク回避の売りが先行し、米国時間帯終盤には306,000円付近まで下落した。また、外国為替市場で円高が進んだことも圧迫要因となった。
 7日は反発。前日までの下落が一巡し安値修正の動きとなり、320,000円台を回復したものの、終盤は330,000円が抵抗となり、上値の重い展開となった。
 8日の取引では320,000円台を割り込む場面も見られたが、終盤にかけて320,000円台を回復し、前日とほぼ同水準で方向感を欠く展開となった。

(当レポートのBTC、ETHなど1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)

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