トランプ次期大統領の発言を受けたドルの上昇は一時的、円は円買いが継続FX・デイリーレポート2024.11.27(2024.11.26)
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市場調査室
外国為替グループ
26日の外国為替市場では日本時間早朝にドルが急伸した。トランプ次期大統領がメキシコとカナダからの輸入品に対し25%の関税を課すと突然発言し、カナダドルやメキシコペソを筆頭に欧州通貨やオーストラリアドルが急落し、ドルインデックス(DXY)は一時107.51付近まで上昇した。ただ、その後は市場が落ち着きを取り戻すなかで週末に財政規律を重視するスコット・ベッセント氏が財務長官に指名されたことが緩衝材となり、インフレ再燃や財政拡大に対する過度な警戒感が徐々に後退し、ドル売りが先行する展開となった。欧州時間帯には一時106.59付近まで下落したものの、米国時間帯には欧州通貨の下落を受けて107台を回復する場面も見られた。ただ、終盤の取引では11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公開されると106.88付近まで下落した。議事要旨によると大半の委員が「時間をかけてより中立的な政策スタンスへと緩やかに利下げを行うことが適切である」との認識を持つことが示された。
また、この日は複数の住宅関連統計が発表されたがまちまちの内容となり、市場への影響は限定的だった。米連邦住宅金融庁(FHFA)が26日発表した9月の米住宅価格指数は季節調整済みで前月比0.7%上昇となり、前月の0.4%上昇から伸びが加速し、市場予想の0.4%上昇を上回った。前月比は0.3%上昇から0.4%上昇へ上方修正された。前年同月比では4.4%上昇となり、前月の4.4%から変わらずとなった。一方で米商務省が26日発表した10月の新築一戸建て住宅販売戸数は季節調整済み年率換算で前月比17.3%減の61万戸となり、市場予想の73万戸を大幅に下回った。米南部を襲ったハリケーンの影響で販売が低迷し、2022年11月以来の低水準となった。
ドル円(USD/JPY)は日本時間早朝のトランプ発言の影響も少なく、全般的に円買いが優勢となり、米国時間帯には153円を割り込む場面も見られた。また、終盤の取引ではFOMC議事録で段階的な利下げが支持されていることが円買いを支援する要因になった。
ユーロドル(EURUSD)は日本時間早朝のトランプ発言を受けて1.0424ドル付近まで下落したものの、その後はドルの下落を受けて徐々に買い戻され欧州時間帯には1.0545ドルまで上昇した。米国時間帯は全般的にドル主導の展開となり、1.0458ドル付近まで軟化する場面も見られたが、終盤には1.0488ドル付近まで再度上昇するなどレンジ内での動きとなった。
この日、ドイツのIFO経済研究所が発表した調査によると11月のドイツ企業の輸出期待指数は10月のマイナス6.5ポイントからマイナス5.9ポイントに上昇し、改善の傾向が見られた。尚、上昇は6ヵ月ぶり。
ポンドドル(GBP)は日本時間帯早朝のドル高を受け1.2506ドル付近まで下落したものの、その後は買い戻されるなど上下に振れる展開となったが、NYクローズの時点では前日とほぼ同水準の1.2556ドル付近での推移となっており、全般的は方向感に欠ける展開となった。
(当レポート1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)
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