米大統領就任式後の失望売りが一巡、暗号資産全般が安値修正から反発、SECは暗号資産タスクフォースの立ち上げを発表 ビットコイン・デイリーレポート2025.1.22(2025. 1.21)
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市況概況(ビットコイン)
21日のビットコインは反発。BTCUSDは前日の大統領就任式前にトランプ大統領に対する期待感から史上最高値を更新したが、就任式の演説で暗号資産関連への言及がなかったことや関連する大統領令が発令されなかったことを受け、失望売りが広がり下落していた。その流れを引き継ぐなか21日の日本時間帯序盤には一時100,125ドル付近まで下落した。一方で警戒されていた関税強化に対する大統領令への署名が就任初日には見送られ、トランプ大統領が貿易赤字を調査し、是正するよう連邦政府機関に指示したと伝わると徐々に買いが優勢となり上昇に転じた。欧州時間帯や米国時間帯では上昇幅を拡大する展開となり、前日の高値には届かなかったものの、米国時間帯終盤には一時107,000ドル台まで上昇した。企業として世界最大のビットコインを保有するビジネスインテリジェンス企業のMicroStrategy がビットコインの追加購入を発表したことや米証券取引委員会(SEC)が暗号資産の規制を抜本的に見直すタスクフォースを立ち上げたと発表したことが好感された。
MicroStrategy が21日にSECに提出したFORM 8-K書類によると、同社は1月13日から20日までの間に総額11億ドルで11,000BTCを追加で取得した。同社が保有するビットコインは20日時点で461,000BTCまで増加した。尚、同社は今年に入ってから既に1月6日、13日と追加購入を発表しており、昨年の11月から11週連続での追加購入となった。
SECは21日に声明文を公表し、SECのマーク・ウエダ暫定委員長が暗号資産に対する包括的かつ明確な規制枠組みの構築を専門とする暗号資産タスクフォースを立ち上げたと発表した。このタスクフォースはSECの共和党委員で「Crypto Mom」として知られるヘスター・ピアース氏が率いる。また、ウエダ暫定委員長の上級顧問リチャード・ガバート氏と上級政策顧問テイラー・アッシャー氏が、それぞれタスクフォースの首席補佐官と主席政策顧問を務めることも併せて発表した。SECは公表した声明文で「これまでの SEC は、暗号資産を遡及的かつ事後的に規制するために主に執行措置に依存しており、その過程で斬新で未検証の法的解釈を採用することが多かった。その結果、何が合法かという混乱が生じ、イノベーションに敵対し、詐欺を助長する環境が生まれている。SEC はもっと改善できるはずだ」とし、「タスクフォースは、議会が定めた法定枠組みの範囲内で活動し、その枠組みに変更を加える議会への技術支援の提供を行い、商品先物取引委員会(CFTC)を含む連邦政府の省庁や機関、および州および海外のカウンターパートと連携していく」とした。
また、上場投資信託(ETF)関連では17日分の取引詳細が未公表だったARK のARK21Shares Bitcoin ETF(ARKB)のキャッシュフローがプラス9720万ドルと公表された。この結果、17日のスポットビットコインETFのトータルキャッシュフローはプラス10億7641万ドルとなり、3営業日連続の流入となった。尚、10億ドル超えの流入は昨年11月21日以来で上場後3番目に大きい流入額となった。また、13日から始まる週のトータルキャッシュフローはプラス19億6356万ドルとなり、3週連続での流入となった。
21日のBTCJPYは日本時間帯序盤に1564万円付近まで下落して始まったが、その後は米大統領就任式後の失望売りが一巡したことや米国の関税強化が見送られたことを受け買いが優勢となり、前日の高値には届かなかったものの米国時間帯終盤には1660万円付近まで上昇した。
市況概況(イーサリアム)
21日のイーサリアムは小幅に上昇した。ETHUSDは日本時間帯序盤から欧州時間帯序盤にかけて3200ドル台前半で上値の重い展開が続いた。米大統領就任式の演説でトランプ大統領が暗号資産に言及しなかったことや関連する大統領令へ署名しなかったことが圧迫要因になった。一方で、市場への影響は見られなかったが、日本時間帯早朝にトランプ米大統領と関係の深いDeFiプロジェクトのWorld Liberty Financial(WLFI)がトランプ氏の大統領就任を記念して約1億1280万ドル相当のイーサリアムを含む複数の暗号資産を購入したとXを通じて発表した。WLFIがXに投稿した内容によると、内訳はイーサリアム(ETH)、ラップドビットコイン(wBTC)がそれぞれ4700万ドル、アバランチ(Aave)、リンク(LINK)、トロン(TRX)、エセナ(ENA)がそれぞれ470万ドル分購入した。
欧州時間帯以降は就任式後の失望売りが一巡し、徐々に買いが優勢となり、米国時間帯には一時3370ドル付近まで上昇した。ただ、終盤は伸び悩み18日以降のレンジ内での動きに留まっており、現在までのところ新たなトレンドは発生していない。
尚、17日分が未公表だったARKの21Shares Core Ethereum ETF(CETH)のキャッシュフローが0だった為、17日のUSスポットイーサリアムETFのトータルキャッシュフローは暫定値から変わらず、プラス2387万ドルとなり、4営業日連続での流入となった。また、13日から始まる週のキャッシュフローはプラス2億1196万ドルとなり、3週間ぶりの流入となった。
21日のETHJPYは日本時間帯序盤から欧州時間帯序盤にかけて節目の500,000円付近で上値の重い展開が続いていたが、その後はETHUSDに連動して徐々に買いが優勢となり、米国時間帯終盤には524,000円付近まで上昇した。ただ、前日の高値には届かず、小幅な上昇に留まっている。
市況概況(リップル)
21日のリップルは小反発。XRPUSDは大統領就任式後の失望売りを受け節目の3.000ドル割れを試す上値の重い展開が続いていたが、欧州時間帯以降は徐々に買いが優勢となり、米国時間帯には3.2410ドル付近まで上昇した。ただ、トランプ大統領が期待されていた就任初日に暗号資産関連の大統領令への署名がなかったことや、就任演説で暗号資産に言及しなかったことが引き続き上値を圧迫した。一方、SECは暗号資産タスクフォースを立ち上げ、規制の枠組みを抜本的に見直すとの声明を発表したことが下支え要因となっている模様。
21日のXRPJPYは小反発。XRPUSDに連動した動きとなり、欧州時間帯以降に上昇に転じ、米国時間帯には一時節目の500円台を突破した。ただ、全般的には新たな材料待ちのムードが強く上値の重い展開が続いている。
市況概況(ソラナ)
21日のソラナは小反発。SOLUSDは大統領就任式後の失望売りが一巡すると230ドルを下値支持に反発し、米国時間帯には一時260ドル付近まで上昇した。一方、米国の大手暗号資産取引所Coinbaseではソラナの送金に最大10時間程度のタイムラグが発生する障害が発生しており、取引に支障が生じている。Coinbaseはソラナネットワーク上のミームコインの取引が活発したことで自社のネットワークに負荷がかかり、遅れが出ているとし、ソラナネットワークには問題がないと発表している。他の取引所やオンチェーン上の送金には支障が出ていない。
尚、トランプ大統領就任式に販売が開始されたソラナネットワーク上の$TRUMPと$MELANIAは発売直後の高値からともに下落している。
(当レポートのBTC、ETHなど1時間足のチャートは全て日本時間で表記しています)
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