【2021年3月15日掲載】続・PowerScale F200が届きました (ラックマウント編)
テクニカルセールスGの大本です。久しぶりの投稿になります。
以前の弊社 blogでご紹介したPowerScaleの新機種について、本日はラック搭載にまつわるお話をさせていただきます。
・前回の記事はこちら。
[Isilon] DELL EMC PowerScale F200が届きました
Isilonは昨年、PowerScaleという、DELLの代名詞とも言える「Power」を冠する名称に変わりましたが、ハードウェアのモデル世代管理としては元のIsilonのモデル世代番号をそのまま引き継いでおります。
また、ご紹介するF200,F600という機種の方向性として、既存の第6世代(※Generation 6。Gen6と略されたりもします。)の機種の世代交代を促す更新機種、というわけではなく、機能をブラッシュアップしつつも、既存と違った層の顧客の需要をカバーする機種、というイメージに近い機種になります。このような背景もあってか、今回のblogでご紹介するF200とF600という機種は、PowerScale「第6.5世代」と呼ばれる位置付けとなっているようです。(DELLのストレージコミュニティでもF200/F600の世代番号について記事がありましたので参考情報としてご紹介します。)
解決済み: Powerscale F200,F600について – Dell Community
今回のblogのお題は、この第6.5世代をご紹介するにあたり、既存の第6世代と比較して、こんなにラック搭載が楽になったよ、というラックマウントの視点をベースにお話ししていこうと思います。
第6世代の登場とラック搭載
まず第6.5世代と比較するために第6世代のIsilonのハードウェアを紹介させてください。
Isilon第6世代と呼ばれる機種は、ハードウェアの進化とHDD1本あたりの容量の大容量化に伴い、大容量ストレージシステムを4Uに集約することを実現したモデルになります。
具体的にはその前の第5世代では大容量ストレージタイプのNLシリーズが4Uサイズで1コンピュートノードの機器だったのですが、そのNLシリーズ機種のストレージ容量を維持しつつ、同じ4Uサイズの中に4つのコンピュートノードの格納を実現したので、従来第5世代で16U分使っていたストレージシステムが4Uのサイズの中に集約されたことになります。
いや~、変態ですね。(最高の誉め言葉)
こういう無理目な省スペース化要求を実現するために、その時に利用可能な技術と考え得る工夫を尽くした感のあるハード、もう大好きです。
電源の冗長化に至っては隣のノード(ノード1とノード2、ノード3とノード4のペア)と共通基盤にすることで省スペース化しつつも電源冗長を実現したアイデアとか、このハードを設計した人に対する尊敬の念が尽きません。
さて、そんな第6世代のハードウェアはこのようにラックのU数としては1/4に省スペース化したのですが、機器の高さを抑えた分、どうしても奥行きが長くなりました。
一方、日本のデータセンタは狭い国土というお国柄もあってか、データセンタのラックの奥行きサイズは、近年では110cmを越えるラックが増えてきましたが、つい数年前までは100cm さらに古くは90cmといった奥行きサイズが標準的でした。
奥行きが長くなった第6世代のIsilonは、奥行きの長さがマウント用レールだけで約90cm。マウント用レールはラック内部の支柱に取り付けますので、このレール取り付けの時点で奥行き90cmのラックであれば、背面の扉から飛び出してしまう長さで、ラック拡張が必要になりますし、奥行き100cmのラックでも機器設置できるかどうかは現地のラック調査を綿密にさせていただく必要があります。前方の支柱位置によっては、奥行き100cmラックだと載せるのは相当シビアな調整が必要になります。
(なお、ここらへんに関しては丁寧な現地調査によって、100cmラックに載せられる(扉がちゃんと閉まる)ところまで持っていくのが弊社のストレージ構築チームの腕の見せ所の一つでもあります。)
第6.5世代のラック搭載
そして、今回ご紹介する第6.5世代のハードウェアですが、サイズは1Uサイズでよりコンパクトになり、かつDELLサーバのハードウェアと共通化した部分が多く、標準的なDELLの1Uサーバと同じ感覚で機器設置が可能になりました。
機器の奥行きは前面支柱への据え付け位置から計測して77cm。DELLの1Uサーバ機器に標準付属のケーブル管理アームを使わなければ、90cmラックにも問題なく収まる長さになっています。
マウントレールもDELLユーザにはお馴染みのツールレスで取り付けられるものですので、これまでのように専門の知識や設置のための調整が無くとも簡単に据え付けられます。
(ある意味、我々構築チームのいわゆる”見せ場”が減ってしまう、ということでもありますが。笑)
また、第6世代は16U分のストレージを4Uに集約した分、1機器あたりの重量も約110kgと大変重くなっていたのですが、
(段ボールだと底が抜けてしまう重量物なので第6世代は木製パレットによる梱包になりました。ちなみにこのパレットだけで10kg以上あります。)
それに比べて第6.5世代は1Uサイズの機種になりますので、20kg弱と一般的な1Uサーバとほぼ変わらない重量になり、本体もラック搭載に人手を多くかけることなく、搭載できるようになっております。また、納品時にはラックや床の耐荷重をお客様に確認しつつ導入しておりますが、110kgの搭載と20kgの搭載とで比較すると当然ながら導入ハードルは低くなりました。(第6世代では、耐荷重制限でNG、新規ラックを追加契約されているお客様もいて心苦しい気持ちにもなりました。)
F200の電流値
さて、第6.5世代のPowerScale、メーカ公式サイトにもデータシートはありますが、電流値については240V換算で記載されており、ちょっと分かりにくい。ということで、実際のところを計ってみました。起動時の突入電流が一番実測値としては高くなるかと思いましたので、こちらを計測した結果が以下の画像です。
ちなみに第6世代のH500も同様の手法で計測してみました。
第6世代は前述のとおり、ノード2台で電源を共有化している都合上、電源を投入すると2台のノードが同時起動することになります。このため一概に第6.5世代と比較は難しいかと思いますが、1ノード当たりの数値は、この数値の実質1/2だと考えていただければと思います。
もちろん第6世代と第6.5世代とのディスクの搭載数の差にも大きく左右されておりますが、第6.5世代は比較してなかなかエコな消費電力であることが垣間見えます。ちなみに、第5世代であるNL410の起動時の突入電流は1ノードでピーク1100W前後出ていましたので、世代を追うごとに消費電力も抑えられた設計になってきていることがわかります。
さて、ここまで第6世代と第6.5世代のハードウェア面をラックマウントに関わる視点から比較してきました。その他にも比較する要素は色々あるのですが、第6.5世代のF200は
・ラックマウント作業は第6世代と比較しても容易。
・重量も軽くなったのでラックや床の耐荷重制限を気にしなくても済む
(もちろん既に大量に搭載されているラックに載せる際には注意が必要ですが)
・消費電力も抑え気味。
という点、その他にも、
・最小構成だと第5世代までと同様に3ノード構成スタートが可能で、1ノードずつの増設が可能。
(第6世代は4ノード構成スタートが最小構成で、2ノードずつの増設が必要)
・1ノード当たりの容量は少なめだが、これまでのPowerScaleの容量ではオーバースペックだった顧客層へのスケールアウトNASのエントリーモデルとして成立しうる。
・All Flash構成のため、超高速なストレージに対するご要望にもお応えできる。
という点が強みになるかと思います。
All Flashな構成という点では、第6世代でもF800という機種はありますが、コストの観点からF800よりも少ない容量でF800と同様に超高速なストレージを求める声に応えられる機種になります。
もちろん、これまでの第6世代についても引き続き販売されていきます。ストレージアプライアンスとして大容量と省スペース化を両立させた第6世代と、この第6.5世代とで、お客様のご要望や訴求ポイントに合わせたご提案をさせていただきます。
ストレージについて更改のご検討の際にはぜひ弊社営業にご相談ください。