【2021年4月26日掲載】データセンタエンジニアがデータセンタ模型を作ってみました。
みなさま、こんにちは。
ブロードバンドタワーの神坂と言います。データセンター技術本部に在籍しており、普段はデータセンタの運用をしております(部門名称が変わりました!)。またこのブログの管理者もやっております。
今回のブログでは製作期間1年を要したデータセンタ模型について、ご紹介させていただきます。製作されたのは、長年ブロードバンドタワーのデータセンタエンジニアとして貢献いただいている内海(うちうみ)さんです。本人の希望により今回は対談形式で進めさせていただきます。
製作のきっかけ
神坂:本題に入る前に簡単に、自己紹介いただけますでしょうか?
内海:ブロードバンドタワーには入社約18年となり、その前は通信工事会社で10年ほど勤務しておりました。
神坂:社内では最古参と言ってもいいぐらいの経歴ですよね。データセンタの運用チームとしては頼ってばかりです。今回の製作のきっかけは、何かあったのでしょうか?
内海:以前からデータセンタの模型があると、色々役立つよね。という話が社内であったのですが、費用や時間・手間などの問題があり、立ち消えていました。
ただ個人的にも一度は作ってみたいと考えていました。ですので、目的としてはデータセンタの設備をわかりやすく伝えて、直接データセンタを見ていない方々にもラック周辺の状況などをお伝えできればと思いました。
神坂:2018年の新センターを開設時に、色々と苦労した部分ですよね。
内海:そうですね。サーバラックのチャンネルベース(架台)をどうやって高さをおさえて作るか何回も試作しましたね。
神坂:製作にはどれくらいの期間がかかりましたか?
内海:構想から簡単に図面を書いて、本格的に製作を開始して、1年弱くらいかかりました。
神坂:では、昨年1年間丸々となりますね。
内海:そうですね。意外と時間がかかりました。
製作のこだわり
神坂:どのように製作を進められたのですか?
内海:実は元々の土台となった模型がありまして、これはとある通信部材メーカ様から不要になったということで頂いたものなのです。それは海外データセンタのモデルとなっていて、これを新大手町サイト仕様に大幅に改造しました。頂いたときに設置されていたラックなどを全て取り外し、新大手町サイトの1列のラック数や列の長さから、各部屋の大きさを決めて構成を考えました。
神坂:それでバランスよく収まっているのですね。出来上がりの模型を見ているだけだと、元々の模型がどこまであったのか全く分かりませんでした。
内海:まずはサーバラック列から配置し、ラックへの電源ルートとなるバスダクト支線、空調用ダクトの製作取付け、各部屋内設備の配置の後、バスダクト幹線と、構内配線ルートのラック上ラダー、通信回線引き込み用のラダーを設置しました。
神坂:急に専門用語が増えましたね。材料はどのようなものを使ったのですか?
内海:バスダクトの支線はヒノキの棒を塗装し、空調用のダクトはアクリル板を加工しました。どれもホームセンターで購入しました。
神坂:製作の中でもこだわったところを教えていただけますか?
内海:そうですね。データセンタですので、冗長構成という点は再現したかったです。例えば、通信ケーブルのルート、異局異経路で構成されたMDF室、ラックまでの電源ルート、非常用発電機、フラッパーゲートですかね。
神坂:当然ながらデータセンタは24時間365日のサービス提供が求められますから、一つのものが壊れても影響がないように構築されてなければいけませんよね。
内海:発電機やUPSはよく聞く話かと思いますが、フラッパーゲートなど運用的な冗長構成も表現したかったです。
神坂:個人的には先ほど説明があったラックの下に設置しているチャンネルベースなど細かいですよね。この辺は内海さんのこだわりがわかる点かと思います。
内海:このセンターではフリーアクセスを設置していないので、コンクリートスラブに直にラックを設置しているのですが、水平レベルの調整やアンカーボルトの位置調整などの問い合わせを受けることも多く、この模型でそのあたりが伝わればと思って細かく作りました。
私物の3Dプリンターを活用
神坂: お客様の持込ラック周りも再現されていて、流石と言えるポイントだと思います。一つ一つのパーツを見ていると、とても既製品とは思えないようなものもあるのですが、それはどのように製作されたのですか?
内海: それは社内で3Dプリンター持っている方がいて、その方に作ってもらいました。
神坂:同じ部門の上田工務店さんですね。仕事の枠を完全に超えて、趣味との境界が怪しいと社内で噂です。
内海: そうですね。模型全体の縮尺1/30を、出来上がりから一部1/70で出力し、作成してもらったなど、上田さんにはお世話になりました。
神坂: 製作が難しかった点はありますか?
内海: 模型では、ケーブルラダーは天井面のアクリルから吊り下げているのですが、床に設置している製作物との干渉を避けるのが大変でした。吊り下げるのでアクリルのふたを外して取り付けるのですが、蓋を戻そうとすると何かとぶつかったり、何度も苦労しました。実際に何度かぶつけて破損して修理してという繰り返しで出来上がりました。
神坂: これは通常のデータセンタ構築にはない悩みですね。ただこのセンターを実際に設計したときにも、天井面設備の取り合いで3D‐CAD上にて何度も干渉し、設計&施工会社の方々が大変苦慮された部分ですよね。改めて関係会社の方々にはお礼を言いたくなります。
内海: 本当ですね。色々ご苦労をおかけしました。
神坂: 今回の模型では約1年かかったということですが、次回作を期待してもよいのでしょうか?
内海: ・・・
神坂: ありがとうございました。次回作も期待しています。
今回ご紹介させていただいた新大手町データセンタの模型については、センター内の休憩スペースに設置させていただいております。ご興味ある方はお手を触れずにご覧いただければと思います。