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【2019年12月13日掲載】データセンター運用エンジニアには若手が少ない問題

データセンター運用管理部門である「データセンター統括グループ」に所属しています、大塚舜佑です。

先日、社内のLT大会で登壇した内容「データセンターの運用エンジニア(以下 データセンターエンジニアと呼ぶ)について」を、LT時より深堀りして記載致します。

1. データセンターの認知度

私はJDCC(日本データセンター協会)会員企業の若手メンバーが集まる組織、JDCC Future Centerの活動に参加しています。
JDCC Future Center内で各企業よく話題に挙がる事で、データセンターエンジニアになりたくて入社してくる新卒社員がまるでいない、があります。
これはつまり、毎年新卒社員はデータセンターに対する理解が薄いまま、各企業で配属されたデータセンターに関わる部署でキャリアを積み、ある程度知識と経験が積まれた時「気づいたらデータセンターに関わって〜年経ちました」と、どこかのLTで自己紹介している事が殆どという事です。

世の中には、プログラマーになって皆がワクワクする様なアプリを作りたい!や、大学時代、あるいはもっと前から切磋琢磨する方がいるのにも関わらず、それがデータセンターとなると途端に人口が少なくなり「存在は知ってます」、挙句は「データセンター?」となってしまうのです。

例えばインターネットの掲示板で、以下の様な会話を目にした事がありました。
掲示板にはGoogleのデータセンター内の写真が貼られていて、その規模の大きさが謳われています。
しかし、対するコメントでは「Googleはクラウドを知らないのか?クラウドに預ければこの規模の設備を作る必要はない。」とありました。まったくもって笑えないジョークだと思う一方で、もしかしたら世の中のデータセンターに対する認知度はその程度ではないだろうかと、一介のファシリティエンジニアとしては頭を抱える思いになりました。

また、データセンターへの注目度に関しては書籍の出版数にも現れており、例えばプログラミング学習を支える書籍やプログラミングとタイトルの付いた書籍は30,000冊以上ある事に比べ、それがデータセンターともなれば冊数は途端に減り、1,000冊程度となってしまうのです。
※冊数:単純検索における数字ですので、正確な数字ではありません。

そして、データセンター関連の書籍には、例えば「はじめてのデータセンター運用」の様な、まったくの初心者向きに書かれた書籍はほぼありません。そのため、例えば知識ゼロの新卒社員からしてみれば、データセンターに関するアレコレは、配属後しばらくは見えないままとなってしまいます。
また、データセンターにおける様々な知識を身に着ける一つとして、書籍以外には外部活動を通じて他企業の方々と交流するという方法がありますが「知識が浅いまま活動に参加していいのか?」「役職者が参加しているイメージだけど…」というように、人によっては敷居が高いと感じてしまう事もあると思います。

2. データセンターで働くということ

上記は、データセンターがセキュリティ上の理由で場所や構造などを大々的に公表できない閉鎖された業界である、という事が原因の一つだと思います。
それゆえ、そこで働くデータセンターエンジニアの仕事内容への認知が少なく、新卒社員の立場だと「データセンター運用/設計系の部署に配属されたら一体どんな仕事をするんだ?」という不安で、敷居が高く感るのではないでしょうか。
ちなみに、ドラマや映画でちらっと映るデータセンターは、薄暗い部屋の中で、サーバの各LEDがチカチカとカッコイイ「サイバーサイバーした空間」でありますが、あの様なデータセンターは作業がし辛い理由からほぼありません(例外あり)。ですから正直、データセンターで働く=カッコいい近未来空間で働ける、ではありません。

データセンターで働くデータセンターエンジニアのカッコよさは、データセンターという空間の見た目ではありません。例えばわかりやすい所で、通信、電源ケーブルの適切な余長を確保した上で「ビシっと」調達・敷設出来た時、それがカッコ良いのです。
すなわち、データセンターの仕事においてカッコ良いと評価される時とは、プロフェッショナルな技術によってデータセンターを利用するお客様へ、無駄なく当たり前に機器の安定稼働を提供出来た時、という事になります。

3. データセンター市場の増加と若手データセンターエンジニア

今後、データセンター市場は更に伸びていくとされています。
インターネットの情報量が膨大になっていく中で、データセンター内に設置する機器は今よりも更に高負荷になっていき、今後のデータセンターは建物をはじめ電気・空調等 設備的にも高スペック化・多様化が求められていきます。
しかしながら、データセンターの需要が伸び、データセンター設備要求が様々である事にも関わらず、IT人材白書2018には国内のデータセンターエンジニアが増えていない事が示されていて、データセンター設備需要とデータセンターを運用する知見のある人材(データセンターエンジニア)需要間にギャップが生じています。
また、新しくデータセンターエンジニアになる若手が少なく、現在活躍されているデータセンターエンジニアの方達の年齢層が上がってきているとも言えます。

4. おわりに

こういった状況でもデータセンターの需要は拡大していきます。
だからこそ、本業界は積極的に若いデータセンターエンジニアを育て、若手自身も今後のデータセンター業界、すなわちITインフラを支える人材になるという意識を持つ事が重要になります。更に、若手がデータセンター業界の中心で本業界を盛り上げる事が出来れば、それは業界認知(=データセンターエンジニアの増加)を上げる一歩になると思うのです。

(おわり)

ブロードバンドタワーのエンジニアブログ『 Tower of Engineers 』で公開されていた記事をnoteに再投稿させていただきました。

過去(2019年12月13日掲載)のものではありますが、皆様に再び楽しんでいただけると嬉しいです。これからも、価値ある記事や興味深い内容を、noteでシェアさせていただく予定です。どうぞ楽しみにお待ちください。


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