グリッター爆弾の話。
件のウィルス騒動で外出が非常にし辛くなった昨今、バーバラは衝動とそのあんまりな結果に震えている。
【スノードームが作りたいんじゃ】
芸大卒なので言わずもがな工作お絵描き手仕事が大好物。故に暇さえあればお絵描きは止まらないし家に篭ろうものなら嬉々として粘土をこねまくる、大人ってこうだっけとたまに思うけれどそんな事をしながらも大人になったもんで大人は大人なりに我が道を行く事にした。
幼い頃からキラキラが大好きである。
女の子ゆえにとかではなく恐らくDNAにそう刻まれているか呪われたレベルでキラキラが好き。スパンコールやらビーズやら、とにかく小さくてキラキラするものにときめきを隠せないまま大人になったもので気付けばそのような細々としたもので大きな引き出しが埋まってしまうくらいにそんなものばかり集めている。
それに加え、先日出会ってしまった。
滅茶苦茶不細工なペンギンのスノードームに。
ペンギンが好き、と言う話は長くなるので暇があれば再度なんぼでも話のネタがあるのでまた別につらつら書こうかなと思う。ペンギンに人生を狂わされかけている話すらある。
それはさておき。
先日、わたしのペンギン好きの話を知ってる友人が不意にスノードームを送ってきた。
引越しの為部屋の掃除をしていたらペンギンのグッズが出てきたからあげると、わしはゴミ回収業者か。と多少イラッとしたもののお菓子とともに送られてきたそれを見て頭を抱えた。
何これめっちゃ好き。
ファーストインパクトでそれである、終わったも同然。わかってるなぁわたしの好きなもの。
繊細と雑さを兼ね備えた謎の造形を嗜むのが好きなわたしにとって、動物園や水族館で売っている動物のフィギュアはとてつもなく魅力的で、なおかつそれに透明の球体とキラキラする素材の入ったお水のようなものがくっ付いたスノードームという物体は性癖にダイレクトに突き刺さって尚且つ肉を抉り取るような衝撃すらあった。(クリア素材へのときめきってハンパなくないですか?)
今までの人生で何度も横目に見てきたスノードーム、絶対沼だとわかっていた。だから手を出さなかったのにこんなことあります?
だって買い集め出したらそんなん絶対楽しいし嬉しいし可愛いしときめくし、とメリットが山盛りな反面、際限なくハマった物を集めてしまうわたしにとってスノードームは大敵だったのである。
未来なんて見え透いているのだ、出かける先々で無限に出会うスノードームをかわいい欲しいと言い散らかしては買い、ただでさえ物を置くスペースがない部屋にスノードームがあふれ散らかし、逆に財布が凹んでいく。
収集癖を拗らせた人間の最期などそんな物である。でもいきなり与えられてしまったのだ、性癖のど真ん中にぶっ刺さるスノードームを。
ひとまず自分のものになったペンギンスノードームを一通り愛でる事に成功し、お出掛け先での見ないふりを続ける事数ヶ月、スノードームへの執着は多少落ち着いてきたのだが事件が起きた。
コロ●ナウィルスである。
現在進行形でワールドツアーを繰り広げている問題のウィルスのせいで何となく現場(推し事の)に行く事を後ろめたく思っていた数週間前はまだよかった。(推しが居ないと冗談でなく死ぬわたしはマスクと眼鏡をかけて現場に行っていたので)3月末現在、なんと現場がほとんどない。と言うかおそらく今実施するだろうと言われている数少ないイベントもおそらく今後中止か延期になる事が見え透いてきた。何それ死ぬやん。
最後にライブハウスへ行ったのは1週間前、何を言っているんだと思われるかもしれないが1月のイベントが12本、2月が18本だったわたしにとってライブハウスに1週間行っていないという状態が如何に異常なのかはお察し頂きたい。ちなみに3月はたったの6本。多分このまま終わる。何これ死ぬの?
というわけで1週間イベント現場から干されている今、ストレス発散の矛先は物を作るということに向いていた。
この1か月弱でスケッチブックは2冊埋まり、部屋はすこぶる片付いた。何がなんだかわからないような状態だった(わたしにはかろうじてわかる)パソコンのデスクトップも嘘みたいに片付いて粘土もこねて編み物もした。老後か。
その上親が留守にしていた事もあり、料理にも精を出したのでちょっとした主婦状態だったのだが先日親が帰って来、幾分やる事が減少した。
走っていないとぶっ倒れるという、自転車の様な人間なのでフィギュアの整理をしながら何か作りたいとぼんやり思った。
からの、冒頭の衝動へ至る。(わたしは話が長い)
調べたところ、スノードームはとても簡単に作れるようで気に入った空き瓶があれば難なく好みのスノードームが作れるぞとわたしは湧いた。
デザインを考えながらとりあえず雪でなくキラキラを降らせてえな、という安直な気持ちから某通販サイトで欲しかったパーツ類とグリッター数色まとめてポチッた。キラキラ好きが暴走した結果16カラー。スノードームに入れなくてもなんかに使えるだろうという安直な思考である。しかもコルク栓の瓶に入っていて可愛いかったし安かった。ときめきしかねえ。
いくつかスノードーム案をスケッチブックに書き、ワクワクしてる間に荷物は届いた。
最早題名でネタバレもいいところではあるのだがこのときめきの宝箱の様なお荷物がわたしを地獄へ突き落としたのである。
小さなボックスの上にはおまけの押し花パーツが載っていて人形に使えるやん〜とわたしはやや喜んだ。ちなみに開封はベッドの上。気分はクリスマスプレゼントを開けるキッズですよ。
ネイルパーツやその他ビーズ諸々をニコニコしながら取り出し、最終がグリッター。やったぜ、と思いながらプチプチ袋を持ち上げた瞬間異変に気付いた。
何かめっちゃキラキラしてね?
嫌ーな予感と共にその他の購入品を置いたベッドを見ると妙にキラキラしとる。商品じゃなくベッドが。
まさかと思いながらグリッターが入っているプチプチをそっとめくると地獄はそこにあった。
「何てこった」
アメリカのドラマで耳が腐るほど聞いた台詞をおもわず言ってしまうレベルである。
グリッターの蓋、空いてますよ。
やめろやもう、やめてくれやもう。
おそらく5/16。なぜならコルクの蓋を5つ確認したので。
一旦落ち着こう、と思った瞬間なんかキラキラがファッと舞った。まあわたしの鼻息だったんですが。
わたし、バーバラ佐藤。今ダンボール箱に撒き散らかしたグリッターをひとまず見なかった事にして部屋の隅に置いています。色々あるけど、ひとまず元気です。
先日魔女の宅急便を観てひどくセンチメンタルな気分になったのでそんな事を思いながらひとまず箱の中の大惨事は見なかった事にしました。
なんてことはできるわけなくひとまず発送元の業者に画像添付の上連絡するととんでもなく申し訳ない事をしたので金は返すとの連絡が電話できた。あまりの腰の低さになんだか申し訳ない気持ちにすらなった。(業者に悪意などがないのは明白だったし、自分が同業故に今後繰り返す事がないようにしてほしいとの報告のつもりだった。加えて申し訳ない気持ちになったのは商品を処分してくれとの旨を伝えられたからだ。)返金してくれるなら返送しよか?と伝えたがお手数ですが処分をお願いしますとの旨だった。
呑気に優しすぎんか?と思ったものの数分後業者の平謝りの理由を身をもって体験することになる。
箱の中にこんもり散らばったグリッターは正直ゴミ箱にダイレクトインしてしまえばなかったことになる。だがわたしはもったいない精神が凄まじい女である。どうにか回収し、瓶に収める方法をググろうとした。
検索ワード
グリッター 撒き散らかした
この検索で自分の置かれた状況の悲惨さを知る。
何故なら対処法がなかった。
唯一出てきた記事をみて絶望した。
【嫌いな奴にグリッター爆弾を送ろう!】
お察し頂けたであろうか。キラキラ可愛いグリッターは掻き集めるどころか、救いようがないレベルで回収が困難で、かのGoogle先生ですら対処法を存じ上げなかった。その上陰湿な嫌がらせ案として暗躍する様な代物だったのである。
ベッドの上がキラキラしている、その上カーペットにも撒き散らしてしまった。現実に直面したわたしはやっとそこで業者の平謝りの理由に合点した。こりゃだめだ。言うなればわたしは自分で自分にグリッター爆弾を送りつけてしまったのだ。なんてこったよ。そんなことある?あるんだなぁ。そりゃ返送不要だよこれ爆弾だもん間違いなく。明けた瞬間玉手箱だわ。
たまにネイルに使うビジューやパーツをひっくり返してしまう事がある。あれは中々地獄で、悟りを開いた様な気分でピンセットでそいつらを掻き集める。でもこれはレベチだ。最早粉だもん。
わたしは学んだ、グリッターは一定の封じ込められた場所でキラキラしている分には可愛いけれど何かの間違いで撒き散らしてしまうと地獄であると。
掃除機は絶対ダメだとなんとなく思ったのでベッドと床にコロコロを掛けた。奴らはそんなものでは消え去らなかったし手にもやたら付いて洗っても全部は取れなかった。ガムテープを手に巻き該当箇所を叩くと少数を残して多少取れた。でもまだ残党がいる。そして箱の中にもこんもり。
夜が明けたらスライムを作ることにした。パソコンのキーボードの埃を取る時に大活躍したからだ。作るのが面倒だったらおもちゃ屋さんで買ってこようと思う、最近流行ってるし。
皆さんもネットでグリッターを買う時や送る際にはぜひ気をつけていただきたい。特に海外製の安いやつ。(そこそこのサイトやショップで買うと大体容器には小さなシールやらテープやらが飛散防止に付いているのだが今回に限ってはそれがなかった)全くひどい話である。
以上、グリッター爆弾の話でした。
(尚、がめつい私は箱の中のグリッターの再回収と使用用途についてのライフハックを模索しているので成功してもしなくてもグリッター爆弾のその後についてまた気が向いたらnote記事にするかと思います。)
長々とお読みいただきありがとうございました。
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