ごんぎつね

ごんぎつねってありますよね。

イタズラ狐のごんと必中の火縄銃使い兵十との間に繰り広げられる哀しきラブロマンスなわけですが、あのオチってモヤモヤしませんか?

というのも、劇中でごんがしたことってイタズラと貢物であって、殺されるほど悪いことはしてないんです。

それどころかイタズラに罪悪感を感じ、その贖罪をしている最中にドンされ死んでしまいます。
こんな……こんなのあんまりじゃないか……

それによくよく考えてみると、ごんが罪悪感を感じた原因すら、本当は存在していなかった可能性があるのです。

と言うのも、ごんの罪悪感は兵十が獲っているうなぎを逃すというイタズラをした後、兵十の母が死んだことで「死にかけの母に食べさせてあげるためのうなぎを逃してしまった」と思ったことにより生まれています。

兵十の母が死んだことで、なんとなくごんが悪い気がしてますがコレ、母、うなぎ食えてる可能性ありますよね?

ごんがうなぎを逃したとき、兵十はまだ漁を終えていません。
一方ごんは兵十にバレたことで、うなぎの首絞めプレイを受けながらさっさとその場を立ち去っています。

つまり、ごんが立ち去った後兵十が再びうなぎを捕まえていてもおかしくはないのです。

つまり兵十の母は

「最後にうなぎが食べられて良かったよ……すごく美味しかった……ありがとうねェ……
兵十や。あたしはあと何日ももたないだろう。でもね、兵十、あんたなら大丈夫。
あんたはもう立派に、一人前の男になった……
天国のおっとうがねぇ……あんたに重なるようだよ……
だからね、兵十。あたしが居なくなってもくよくよするんじゃあないよ。
貧乏暮らしで大変だったろうけども、あたしが居なくなりゃあ、少しは楽になるんだ。
だから真面目に働いて、遊んで、それから良い嫁さんを見つけて、幸せな家族になりなよ。
それじゃあ、おやすみ、兵十……」

おっかぁあああ!

と死んでいったとしてもおかしくはないのです。

あぁ!ごんがかわいそうになってきた!
こんなの、ただの後味最悪アンジャッシュじゃないか!!!

これを回避する方法は……一つしかない。
ごんの死を妥当なものに変えてやるのだ!

ーーーーー悪童狐GON、爆誕。

悪童GONの始まりは盗みからだったーーー

森の虫を戦わせる遊びReal MUSHI-KINGに興じていたGONはあまりに熱中しすぎたことで参加料を払えなくなっていた。

「ちょっ!ハマりすぎて金が無くなっちまったし……仕方ねぇ、こりゃあ母ちゃんの財布からちょろまかしてやるしかねェぜ!」

その晩GONは母の財布から万券をパクった。
「ウッヒョォ〜!これで100回はやれるぜ!」
簡単に万券を手に入れてしまったGONは、盗みの快感を覚えた。

それから数年、GONの母は幾度となく説教をしていたが、遂に悪行を止めることはできなかった。
そう、GONは体がデカくなり、とってもVIOLENCEになっていたのだ。

洞穴の中でナイフをペロペロしているGONに耐えかね、母は実家に帰った。
独り身になったGONはより一層手がつけられなくなっていった。

人里に降りては金を盗み、家に火をつけた。
そうして人が逃げ惑う中、コサックダンスなどを披露した。

人々はGONを悪き神として恐れるようになった。

そんなある日GONが川辺を歩いていると、老婆と青年を見つけた。
青年は名を兵十と言い、母の好物であるうなぎを獲っていた。

老婆は兵十の母で、川辺の丸太に腰掛けにこやかに兵十がうなぎを獲るのを見守っていた。
齢七十。四十で生まれた兵十は未だ可愛くて仕方がないのだ。

そんな睦まじい親子の姿を見てGONはムズリとした。

「こいつを壊しちまったら、どんだけ気持ちエェねんな?なぁ?」

思ったら動いてしまうのがGONである。

草葉の陰に潜み老婆に駆け寄ると、近くにあったびくの中からうなぎを1匹ムンズと掴み首に巻きつける。それから頭と尾を引いて

ン"ン"ン"ーーーーーッッッ!!!!!!

目ん玉弾けんばかりの鬼気迫る形相で老婆の前に飛び出した。

ア"ア"ア"ア"ア"ア"ァァァァッッッ!!!!!!!

老婆はひっくり返り死んでしまった。
異変に気付いた兵十はおっかぁ、と叫びながら老婆の元へと駆け寄る。

兵十が母を抱きかかえる横でGONはうなぎをビヨンビヨン。

「見て見て、太すぎひもQ」

そう言いながら立ち去っていった。

その晩、GONは夢を見た。
神様に会う夢だった。
神様はこう言った。

「おまっ、やばすぎっ笑。死んだら地獄行きな笑」

"ワラ"って何だろう、とGONは思ったが、それより地獄行きは嫌だったのでどうすれば天国に行けるのかを尋ねた。

「そしたら500回、兵十のところに詫びの品を届けな笑。でも兵十にバレたらやり直しね笑」

しゃーねーと思ったGONはそれから毎日詫びの品を兵十の元に届け始めた。

雨の日と風の日はちょっと休んだし、結構飽きてきて二ヶ月くらい休んだこともあったが、とうとう499回目の詫びといった時だった。

夜中の放火ついでに兵十の家に寄ると兵十は家の外に出て物置きで縄をなっていた。

兵十にバレるとヤバいので、GONは裏口から回ることにした。
しかし体のデカいGONは裏口の鴨居に頭をぶつけてしまった。

GON!というデカい音に兵十が気が付かないわけはなかった。

そして兵十は思い出す。
アイツはーーーおっかぁの仇ッッッ!!!
それから兵十は迷わなかった。

物置から取り出したのは"兵十の火縄銃"。
一子相伝、"兵十"の名とともに受け継がれるこの火縄銃は、主の命を削る魔銃。

その弾丸は呪いを纏った必殺の弾丸だ。

弾を込め狙いを定める。

「さらばだ悪神GON……おっかぁの仇ッッッ!」

兵十は引鉄を引いた。

ドン

呪いと憎しみを込めた弾丸は、GONの眉間に突き刺さった。

「あっぽぅ〜」

GONは死んだ。

「やったよおっかぁ!悪神GONは死んだ!」

放火騒ぎも治り、村に平和が戻った。
兵十は英雄となったのだ。

コレです。

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