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山口俊投手をデータで分析

 新型コロナウイルスの影響で遅れたメジャーリーグ(MLB)の開幕からもうすぐ1か月を経過しようとしています。この記事では今シーズンから、トロント・ブルージェイズに移籍した山口俊投手をデータで分析します。

 NPB時代の山口投手は長いイニングを投げる本格派の投手でした。今シーズンは試合数の縮小や調整期間が短かったこともあり、リリーフとして起用されています。ベイスターズ時代にはクローザーを務めていたおり、山口投手には決して不慣れなポジションではないでしょう。

 しかしながら、MLB初登板、続いて2登板目には制球に苦しむ様子が見られました。昨シーズンは、170投球イニングで60四球、9イニングあたりでは3.18個の四球であり、それほど制球に難のある投手ではありませんでしたが、2イニングで3四球を出し、6失点(自責点4)4を喫しました。その後、8月4日に2/3イニングを1四球無失点に抑えた後、中7日で登板した8月12日は一転して、2 1/3イニングを無四球、無失点の好投を見せ、復調をアピールしました。では7日間でなにが変わったのか、ベースボールサーヴァント( https://baseballsavant.mlb.com/ )から取得したデータをもとにまとめました。

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  見比べると一目瞭然です。4日までは速球と変化球でリリースの高さが全く違っています。 4シームは高い地点でリリースしているのに対し、スライダーや、チェンジアップ(baseball savantによるとチェンジアップになっていますが、おそらくNPB時代に投げていたスプリットと同球種であると考えます。)といった変化球は低い地点でリリースしています。打者にとっては、手からボールが離れた直後から球種が判別できたのではないかとおもわれます。一方で、12日以降の投球では球種ごとのバラつきが見られなくなっています。また、水平方向を見ても、変化球が多少三塁側でリリースしてされていますが、幅が狭く、球種4の差も小さくなっています。登板間隔の開いた期間の前後で大きく傾向が変わったことを考えると、今年は調整期間が短かったこともあり、MLBの滑りやすいとされるボールや高いマウンドへの対応が上手くいかなかったのかもしません。しかし、7日登板がなかった間に調整を行い、対応に成功したのではないでしょうか。

 今シーズンは特殊な形での開催となり、先発投手として登板することは難しくなったかもしれません。しかし、リリーフ投手としての活躍に期待できるスタートになりました。

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