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サティのジムノペティを空間オーディオ技術によっての新たな解釈


現在様々な取り組みがされている空間オーディオの技術を使ってクラシック作品を新しい解釈で作り上げました。前回あげたものfull ver.になっています。・

Spatial Audio Eric Satie "Gymnopedie" Full

この作品では、エリック・サティのピアノ曲「ジムノペティ」のフレーズを個別に録音し、アンビソニックス技術を用いて空間的に配置することで、独特の広がりを表現しています。さらに、映像によって音の距離感を視覚化することで、聴覚体験と視覚体験を両立しています。

1. サティの音楽観とジムノペティ

エリック・サティ(1866-1925)は、フランスの作曲家であり、20世紀初頭の音楽界に大きな影響を与えた人物です。彼の音楽は、従来のクラシック音楽の形式や和声にとらわれず、独自の美学を追求したものでした。サティは、簡潔で反復的なメロディー、単純な和声、そして静寂を重視した作風で知られています。彼の音楽は、しばしば「家具の音楽」と形容されます。これは、音楽が家具のように、生活空間を彩るものであるべきだという彼の考え方を反映しています。  
「ジムノペティ」は、サティの最も有名な作品であり、彼の音楽の特徴がよく表れています。 ゆったりとしたテンポ、シンプルなメロディー、そして独特の浮遊感は、聴く人に静寂と瞑想的な雰囲気をもたらします。  


2. アンビソニックス技術による空間表現

アンビソニックスは、音源の方向や距離感、そして音場の空間的な広がりを再現する技術です。 複数のマイクで録音された音源を特殊な処理によって再生することで、聴き手はあたかもその場に居合わせているかのような臨場感を体験できます。  

技術については以下のnoteをご覧ください

制作した意義

現在人との距離というのが極端に見えるように感じます。
距離に限らず、極端なものが良しとされる世界です。
しかし、多くの事象はレイヤーであり、私たちにはそれを正しく認知することは不可能であり、全てを理解することはできません。

音でいうと、距離を持つというのは反射し"劣化"している状態であり、それをよしと思うのは、距離で自らの危険意識を測って進化してきた私たちにとっては受け入れ難いものです。

この作品では、アンビソニックス技術を用いることで、ジムノペティのフレーズが空間の様々な位置から聞こえてくるように配置されています。
意図的に音が劣化している状態です。
ただ、私たちはそれを良いとする音楽も評価してきました。
音を空間的に[配置]することで、音との距離を味わえ、そうした意味で家具の音楽が持つ"気にしないもの"としての音楽から"私との隔たり"といった感覚を表現しています。

明瞭で劣化のない音が”良い"のではなく、距離があり、認識できないことを
"面白い"”豊かである"といった表現です。

聴取側の意識を変えるといったこと、様々な楽しみ方がある、といった
今失われつつあるものを表現してみました。

引き続き作品を制作してまいります。

#アンビソニックス #空間オーディオ #クラシック


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