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私の音楽のルーツ「ジャズ」への想い

タイトルにある通り私、宇津木紘一の音楽のルーツは「ジャズ」です。

実際にはジャズに出会う前も音楽をしていましたが、今の活動の礎になっているのは間違いなくジャズです。
クラシック的な曲を作っていたり、ミックスをしているとき、コンピューターミュージックをやっているとき、いつも私の中のどこかにジャズがいます。

ジャズにしっかりと向き合うことになったのは、19歳のときジャズサックスの師匠の高橋厚雄氏に弟子入りしたときからです。
当時の私のサックスの実力は、全く音すら出ず楽器の吹き方から一から始めるという状況でした。

それまでの自分のジャズの印象は「大人の音楽」「複雑な音楽」「Barで流れるオシャレな音楽」というものでした。
しかし、高橋厚雄氏から様々な教えをいただく中でジャズへの考えが大きく変わっていきました。こんなに熱く、生き様が表れ、興奮する音楽なのかと。

私はジャズにのめり込みました。
私が学生だった当時はインターネットがそこまで普及されておらず音源の入手方法はCDショップや近くの図書館で借り、それをひたすらMDにして集めていくということでした。
御多分に洩れず、渡辺貞夫氏やCannonball Adderley、Hank Mobley等のアドリブを「耳コピ」しそれを演奏し続けました。

高橋厚雄氏のボウヤとして様々なライブ現場に連れて行っていただき、ライブの最後に演奏させていただくという日々を過ごしました。その現場で大先輩方々から「ジャズとは」「音楽とは」と熱いお話をさせていただいたのは今でも自分の宝物です。

正直、ジャズというのはややこしい音楽です。
ジャズを演奏するために様々な能力を身に付ければなりませんでした。
音楽理論、イヤートレーニング、周りの音を聴き反応すること等、時間は掛かりましたが、研究しているときは音楽の本質に少しずつ近づいていくことへの喜びに溢れていました。

高橋厚雄氏から教わったことの一番は「リスペクト」ということ。
今私は、UN.aやいろいろな現場で様々なジャンルの音楽をしていますが、この「リスペクト」の気持ちのおかげで幅を広げていくことができたんだなと実感しています。

音楽をしたり聞いたりすることは「楽しい」という感情が一番先に感じる意見は多いと思います、もちろんその感情は私もありますが「楽しい」以外の素晴らしさをジャズをきっかけに感じ取れるようになったのは大きな財産です。

「音楽 = 楽しい」
これだけでは音楽にのめり込むことは私はできませんでした。
John ColtraneのAscensionやDerek Bailey等のフリージャズは、現代音楽への興味を、
Pat MethenyによってのSteve ReichのElectric Counterpointから、ミニマルミュージックへの興味をもたらしてくれ、
これらにより自分の潜在意識へのアプローチや数学的な思考から、響きへの衝動や苦しさ、テクノロジーへの興味に繋がっていきました。

音楽はノスタルジーと戦っていかなければならないと私は感じています。
「この曲を聴くと学生時代のことを思い出す」とか「この曲を聴くとあの人のことを思い出す」とか「この曲を聴くとあの時代は楽しかったなあ」とか。

もちろん、そのことを否定するつもりは全くありません。
しかし、音楽家は今の音楽が素晴らしいと示していかなければ音楽の未来は無いと思います。
「こうすると売れるよ」とか、そういうこと以外に目を向けなければ音楽はどんどん衰退の一途を辿ってしまうのではと思います。

そのためには「歴史」「古典」を知らなくてはいけないと感じます。そう、高橋厚雄氏から学んだ「リスペクト」の精神。
だから私の心にはいつも「ジャズ」があるんです。

先日、日本を代表するジャズベーシスト安ヵ川大樹氏と、横浜のI'm homeにてジャズスタンダード曲をサックスとベースのデュオで演奏させていただき、いろいろなお話をさせていただきました。

安ヵ川氏も「リスペクト」ということを大事におっしゃっていました。
安ヵ川氏は高橋氏のことをご存知で、そのことについてたくさんお話をしてくださり、自分の歴史のなかに「ジャズ」が大きく関係しているということを強く感じました。

ジャズが私に与えてくれたもの、高橋厚雄氏が私に残してくださったもの、
これらを胸にこれからも「リスペクト」をし続けて最高の音楽を作り出していきたいと思います。

そして、近々にBBMより大きな嬉しいニュースをお届けできると思います。
ぜひお楽しみにしていてください。

長文、乱文失礼いたしました。

UN.a 宇津木紘一




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