Happy Holidays! イギリスホリデイ広告事例
いよいよ2023年も残すところ1ヶ月。
現在、プライベートとリサーチも兼ねてロンドンに来ています。
ちょうどブラックフライデーの前日にロンドンに到着し、人の多さに圧倒されながら百貨店、路面店、スーパーなどのリアル店舗での買い物体験での日本との違いを色々実感したり、ピカデリーサーカスにあるヨーロッパ最大のデジタルビルボードを見てきました。
ということで、今回は毎年注目されているイギリスのホリデイCMとピカデリーサーカースのデジタルビルボードに登場していたAIを使ったコカコーラの広告についてご紹介したいと思います!
ジョン・ルイス 「Snapper: The Perfect Tree」
ホリデイ広告で毎年注目される広告の一つと言えば、イギリスの百貨店のジョン・ルイス。
ジョン・ルイスのホリデイ広告は心温まるストーリーだけでなく、広告の中に隠されたメッセージが含まれていることも人気の理由の一つです。
今年のJOHN LEWISのクリスマスのテーマは、「家族と進化する伝統(伝統への脱却)」。
伝統や形式に捉われず、伝統とは進化していくものであり、大切なことは愛する人達と喜びを見つける事こそ[完璧なクリスマス]であるとジョン・ルイスのカスタマーディレクターのシャーロット・ロック氏は語っています。
ストーリー概要
CMではクリスマスマーケットでクリスマスツリー用の種を見つけた少年がおばあちゃんにお願いをし種を買って帰ります。
一粒の種が入った箱には「あなたの完璧なクリスマスツリーを育てよう」と書かれており、もみの木が育つと思いきや食中植物が育ちます。
スナッパーと名付けられた食中植物は見た目は獰猛に見えますが、少年の友となりクリスマスの飾り付けなどを行い、家の中に新しい風を吹き込みます。
ただ、成長し過ぎてしまうことでリビングから裏庭に移動させられてしまい・・・。ストーリーの続きは是非CMをご覧ください!
CMの最後は「LET YOUR TRADITIONS GROW / 伝統を育んでいこう 」というメッセージが流れ、古い習慣や伝統に捉われず、家族のあり方や祝福の仕方など、様々な形があることを伝えています。
そしてロンドンにあるジョン・ルイスではCMに登場していた食中植物のスナッパー君がどどーん!とお目見えしていました。
ウィンドウにはCMの映像が流れていて、売り場ではぬいぐるみと絵本も販売を行なっていました。
ちなみにこの愛くるしい食中植物スナッパー君は、1986年のアメリカ英語「リトルショップ・オブ・ホラーズ」の映画に登場する食虫植物にとてもよく似ており、映画のファンの間では話題になっています。
Coca-Cola 「AIで作るChristmas Greetings」
湾曲した巨大なデジタルビルボードで有名なロンドンのピカデリーサーカス広場ではCoca-Cola、GUCCI、SAMSUNGなどのブランドの広告が流れていました。
特に今年らしいホリデイ広告だったのがCoca-Cola。
「Create Christmas Greetings with the Real Magic of AI(Real MagicのAIでクリスマスグリーティングスを作ろう)」というコピーが流れた後、AIで作られたクリスマスカードとQRコードが表示されていました。
コカコーラ 「Create Real Magic」
2021年9月に発表されたブランドプラットフォーム「Real Magic」ですが、今年の3月にAIアートを制作できる「Create Real Magic」を新たに発表しています。
3月はデジタルクリエイターを対象にしたアートコンテストを開催し、選ばれた30名のクリエイターはNYのタイムズスクエアとロンドンのピカデリーサーカスにあるデジタルビルボードにCreate Real Magicを使って制作したAIアートが紹介されました。
そして第二弾のCreate Real Magicはホリデイシーズンにちなんでクリスマスカードを制作することが出来、実際に体験してみました!
Coca-Cola
Create Real Magic
https://www.createrealmagic.com/
Create Real Magicでのクリスマスカードの作り方
まずはクリスマスカードに取り入れたいスタイル、アイテムやモチーフ、シーンなどを選択。
具体的にどんなカードを作りたいか決まっている場合は、Type a promptの入力欄にどんなカードを作りたいかテキスト入力することもできます。
反対にどんなカードにしたいか決まっていない場合はSuprise meボタンを押すとAIがテーマをアレンジしてくれます。
作りたいクリスマスカードのテーマが定まり、Create Magicボタンを押すとAIがクリスマスグリーティングカードを制作してくれます。
上の画像は実際に私が作ったクリスマスカード。
イメージに合わなかった場合は同じテーマで再度作り直すことも可能です。
カードのイラストが決定したら最後はカードの下部に添えたいメッセージを作成し、背景色や文字の色、画像全体のフレームを選んで調整することが出来ます。
また、Create Real Magicでは画像を生成するDALL-Eだけでなく、テキストを生成するGPT-4の機能を組み込まれているので、添えるメッセージに対して提案もしてくれます。
仕上がった後は、画像のダウンロード、SNSでのシェアが可能な他、他の人が作ったクリスマスカードを閲覧したり、いいね!をすることが出来、AIを使ったなんとも今年らしいホリディキャンペーンです。
マーケティングキャンペーンでAIを積極的に取り入れるコカコーラ
その他にもコカコーラは今年3月にAIとVFXを使用して制作したCM「Masterpiece」を公開し、9月にはAIと共同開発で3000年の未来の味をイメージした限定商品を発売し、AIを使ったキャンペーンを多く打ち出しています。
MasterpieceのCMではAIを使うことで世界的に有名な芸術家11名の作品を繋げることができたと話しており、AIの技術の高さを実感できる作品ですが、メイキング映像を見るとAIだけではなく人間によるクリエイティビティや技術の大きさも感じられます。
Coca-Cola 「Masterpiece」
Coca-Cola 「Masterpiece」メイキング
AIが人間のクリエイティブを超えるのか
AIが人間のクリエイティブな仕事を奪ってしまうかといった論争はよく繰り広げられていますが、共感、親近感、細かいニュアンスなどは人間にはあってAIに欠けているものだと思うので、AIによって最初から最後まで完結された作品が人間によって作られた作品よりも勝ることはないと思っています。
そして、ちょうどこのブログを執筆中にAIを脅威に感じるかフランス人にも聞かれ、私なりの見解を話しましたが「それは今であって、未来はわからないよね。」と言われ、最新のAI事情について話が続き、、議論が大好きなフランス人のAIに関するトークは終わりがエンドレスだなと思いました。。
執筆:高嶋 くらら