スーパーボウル2023! 前編
今年もやってきましたスーパーボウル!
スーパーボウルとは、NFL(ナショナルフットボールリーグ)の優勝決定戦のことでアメリカ最大級のスポーツイベントになります。
今年はチーフスVSイーグルスで接戦の末、チーフスが勝利しました。
また、試合と同じく盛り上がるのがハーフタイムショーでの音楽パフォーマンス。
今年はリアーナが2018年のグラミー賞を最後に約5年ぶりにステージに登場!
ふっくらしたお腹を見せ、第2子妊娠を発表したことが大きな話題を呼びました。
他にも、リアーナが自身の化粧品ブランド「FENTY BEAUTY」のパウダーを取り出し、ステージ上でメイク直しをするPRパフォーマンス*や、手話通訳者が音楽に合わせて踊りながら手話をした様子がSNSやネットで盛り上がりを見せました。
*Cosmetic BusinessによるとTV中継直後のFENTY BEAUTYのGoogle検索は883%上昇。
視聴者数が低迷していたスーパーボウルでしたが、今年はSNSでいち早く投稿したくなる出来事が多く、今年の視聴者数は歴代2位の推定1億1306万人に到達しました。
世界一高い広告枠と言われるスーパーボウルでの広告
スーパーボウルでの広告は世界一高い広告枠とも言われ、今年は昨年の最高額を超え30秒の広告枠は700万ドル!
日本円にして約9億円5000万円。
*1ドル 136円換算
広告費の高さと同時に円安を再実感する数字です。。
視聴者数も広告費も全てが億単位のスーパーボウルですが、注目すべきポイントは放映権を獲得した各年の企業のライナップとCM内容。
その年に参加した企業やCMの内容を通して時代の傾向を見ることができます。
さて、今年はどんな広告だったか?
今年話題になったニュースと特徴を前編と後編に分けて紹介したいと思います!
【スーパーボウル 2023年ニュース 前編】
・AB InBev(アンハイザー ブッシュ インベブ)が33年の独占契約を終了
バドワイザーやコロナビールのブランドを持つAB InBevはスーパーボウルと全国放送の独占契約をしていた33年の契約を終了。
NFLは新たに別のアルコールブランドとの独占契約はせず、さまざまなアルコールブランドが広告を出すことができ、ハイネケン、モルソン・クアーズ、レミー・マーティンなどが参加しました。
また、もう一つのニュースとしてはアメリカの4州でスポーツ博打が合法化になったことでスポーツ博打への人気が上昇したことです。
アメリカのTV局のCNBCによるとスーパーボウルの週末に1億件のスポーツ博打の取引があり、昨年より25%増加。
スポーツ博打と言っても試合の賭けだけでなく、ハーフタイムショーの衣装の色、最初に登場するCM、コイントスはどっち側が出るかなど結構なんでもあり。
モルソン・クアーズはスーパーボウルのCMでもお馴染みスポーツ博打のDraft Kingsに参加し、自社ブランドのMiller LiteかCoors LightのどちらのビールがCMに登場するかファンに賭けさせました。
意外な結果はCMを是非ご覧ください!
・仮想通貨、IT業界の広告が激減
昨年は仮想通貨のCMやメタバース、NFTなどを絡めたweb3 を押し出した広告が多かったですが、今年はあの勢いどこ行った?と思うくらい広告が激減。
web 3関連ですとお菓子ブランドになりますが、ドリトスはスーパーボウル開催前の2月8日〜10日の3日間限定でDencentralandで「ドリトス・トライアングル・スタジオ」という名前のメタバース空間を開設をしていました。
メタバース空間ではオリジナルミュージックコンテストを開催。
ドリトスのお菓子にちなんだ3つのビート(チップスを食べた時の音、袋をカシャカシャした音、楽器のトライアングル)を好きなスピードで組み合わせることでオリジナルの音楽を作成することができました。
その他に、ゲームをクリアすることで入手できるバーチャルアイテムやドリトス購入時に使えるクーポンコードなど。
メタバース以外ではTwitterでもプレゼントキャンペーンを行いました。
スーパーボウルで放映されたCMではドリトスの三角形のチップスの形にちなんで、ラッパーのジャック・ハーロウが楽器のトライアングルを取り入れ、トライアングルブームを巻き起こすといったCMになっています。
ジャック・ハーロウの他には、ミッシー・エリオット、エルトンジョンが登場し、Z世代、ミレニアル世代、X世代の3世代に人気のアーティストを繋いでいます。
広告のコピーはTRY ANOTHER ANGLEで、「ちがった角度(考え方)で挑戦してみよう」という意味ですが、ここでのコピーの「トライ アナザー アングル」もトライアングルとかけています。
ちなみにドリトスの三角形を想起させるキャンペーンを昨年から色々行っています。
ARレンズを使って楽しむアメリカで人気のSNS「Snapchat」を使って街中にある三角形をスキャン(撮影)してコンテストに参加する三角形を探そうキャンペーン、オンラインゲームのFortniteとコラボし、トライアングル島の出現、ブランドロゴが三角形でお馴染みのアパレルブランドGUESS?との限定コラボジャッケットの展開など、違った角度からドリトスのアイコニックな三角形と結びつけています。
・車のCMも激減
車のCMも昨年はEVの宣伝が目立っておりましたが、全国放送で登場したのは4社のみでした(内、3社がEVを紹介)。
CNBCによると自動車会社が2022年の広告に費やした合計額はどの業界よりも多い9930万ドル(約135億円)でしたが、EV開発への投資と今後の不況を見据えて今年は広告が減ったと報じられています。
GMは2021年に”Everybody In”キャンペーンを開始後、全車EV化を目指し活動の参加を呼びかけNetflixとパートナーシップを結び、2023年2月に"EVs On Screen"を発表。
NetflixでEVの登場回数を増やすとともに、より持続可能な作品づくりを可能にするための取り組みを行っていきます。
CMではNetflixの人気代表作のイカゲーム、Stranger Things、Army of the dead、Bridgertonなどのシーンとキャストが登場しました。
・国民のハートにタッチ
昨年はテック業界が賑わっていたのもあり、攻めの姿勢でしたが今年は何気ない日常生活を描き、「あるある」と共感したり、ほっこりするCMが多く、クスッと笑えるものもありましたが全体的に平凡だったという低評価も。
特に心温まる広告には犬の登場が多く、ベスト広告の上位にはペットフードのThe Farmer's DogとAmazonが選ばれ、どちらも犬が中心となったストーリーでした。いつの時代も動物は間違いないですね。
AmazonのCMはコロナ禍とアフターコロナの家庭内の変化を描いており、今年コロナでの生活を描写したCMはほとんどありませんでした。
2021年と2022年のスーパーボウルでの広告の傾向
ここで少し簡単ですが振り返りを。
2021年
バドワイザーが37年続けてきたCMを放送せず広告に当てていた資金の一部を寄付とワクチン接種の啓蒙ビデオを制作。
その他ブランドもヒュマニティをテーマにした広告や新型コロナウィルスとの関連性のある広告を制作しました。
2022年
ワクチンの普及に伴い、明るい未来に向けてweb 3や旅行関連の企業が広告を出し、自動車会社もEVの宣伝に力を入れ、新しいことへの挑戦と勢いがある年でした。
改めて新型コロナウィルスの影響を受けた過去2年を振り返ると、同じコロナ禍でも企業のアクションや広告の内容は毎年大きく異なっていますね。
それでは前編はここまでとさせて頂きます。
まだまだ紹介したいニュースがあるので、引き続き後編も読んでいただけると嬉しいです!
執筆:高嶋