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FIFA 女子ワールドカップ広告
今年の夏はFIFA女子ワールドカップとラグビーのワールドカップが開催されるスポーツの祭典の年。
FIFA女子ワールドカップではスペインが初優勝!
さて、各国の広告はどうだったでしょうか。
ということで8月はFIFA ワールドカップの海外の広告をご紹介します!
女子サッカーへの無意識な偏見に気付かされる Orange のLes Bleues
今回、特に話題を集めたのがフランスの大手電気通信会社Orangeによるディープフェイクを使った広告。
CMの前半ではフランスの男子サッカーのスーパープレー集が流れ、「この感動はLes Bleus*しか与えることができない」というコピーが流れます。
*フランス代表のユニフォームがブルーである事からフランス代表の男子サッカー選手団をBleusと呼ぶ
しかし、誰もが男子サッカーを見ていたと信じていた次に「けど、あなた達が今見ていたのは彼らではない」というコピーが続き、私たちが見ていたハイライト映像がディープフェイク技術を使って顔、髪、体を男子選手のものに差し替えた女子サッカーの試合であることが種明かしされます。
![](https://assets.st-note.com/img/1692462819817-mAsJOyIIUd.png?width=1200)
そしてCMの最後では、"At Orange, when we support the Bleus,”のメッセージが流れますが、フランス代表の男子サッカー選手団を意味するBleusの文字にeが加わり、女性名詞Bleuesに変化し、Orange社が男子サッカーだけでなく女子サッカーも応援していることを伝えています。
![](https://assets.st-note.com/img/1692433216858-qSuySqzI21.png?width=1200)
このCMが作られた背景には今も根深く続く女子サッカーへの偏見や女性差別があり、Orange社は、男子サッカーのほうが女子サッカーよりうまい、速い、面白いという女子サッカーに対する女性差別や偏見を覆すことを目的としていると説明しています。
ワードカップ開催前に公開されたこのひねりのあるCMは、7月に公開されてから1ヶ月で530万回以上YouTube再生されており、SNSでも話題になり「鳥肌が立った」「自分の偏見と向き合うための賢い方法」と賞賛を浴びることに成功しました。
AI技術を使って自分へエールを送ったadidasのVår Tid Nu (Our Time Now)
NIKEやadidasは共にスポンサーしている各国の選手をフィーチャーした動画を公開していますが、特に印象的だったのがadidasのVår Tid Nu (Our Time Now)。
スウェーデン代表選手3名の前にそれぞれの9歳の時の映像が流れ、幼い頃の思い出映像と思いきや・・・実はAI技術を使って作られた映像。
9歳の自分達から現在の自分へ語られるメッセージは両親や親戚へのインタビューや日記の内容の一部をもとに作られています。
そしてスウェーデン語になりますが、adidasのスウェーデンのウェブサイトでは自分の名前、年齢、好きなチームの名前を入力すると、未来の自分からラブレターを受け取ることができます。
私も実際に試し、DeepLで翻訳をかけてみたところ、10年後の私から温かい応援メッセージと私がスウェーデンの代表選手になっている事を告げられました。
・・うん? 10年後はXX歳では・・・という現実的な事は考えずに是非試してみてくださいね。
スポーツ界の包括性をテーマにしたHyundai のHow Far We've Come
最後にご紹介したいのが1999年からFIFA女子ワールドカップのスポンサーを務めているHyundaiのCMです。
キャンペーンCMの 'How Far We've Come'はタイトル名の通り、女子サッカーが認められるまでの長い道のりをヴィクトリア朝時代から現代まで描き、スポーツ界での包括性を押しあげています。
![](https://assets.st-note.com/img/1692434749372-Ds2BWNxCwT.png?width=1200)
女性のファッションや観客していた立場から選手として国際試合に登場する現代までの変化していく様子が楽しめる映像ですが、もう一つ気になったのが冒頭14秒あたりにチラッと見えるこちらのポスター。
1895年3月23日に初の女性サッカーの試合が開催されることが書かれており、実際にロンドンで開催されました。
他にも女子サッカーの歴史的な年を各シーンでも描いており、詳しく知りたい方はInstagramのこちらの投稿を是非ご覧ください。
また、このCMでのもう一つの注目ポイントは、CMを手がけたのが女性監督のニコール・アッカーマンであり、制作チームに女性を多く迎え入れただけでなくサッカーを経験したことのあるスタッフで構成したこと。
広告制作の現場も女性よりも男性が多い厳しい世界の為、今回監督とエグゼクティブプロデューサーに女性を起用し、多くの女性やサッカー経験者が制作に参加したことで広告のメッセージにより深みと情熱を加えています。
以上、FIFA女子ワールドカップで気になったCM3作品をご紹介させていただきました!
おまけ:ラグビーワールドカップ広告 Shot on iPhone
さて、来月はラグビーのワールドカップがフランスで開催されますね。
この記事をちょうどパリで書いているのですが、パリではアップルのshot on iPhoneシリーズでインパクトのある広告が登場していました。
ということで、shot on iPhoneを更にiPhoneで撮影してみました。
![](https://assets.st-note.com/img/1692519953414-ELeZ8eTmzt.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1692520024751-zJiRGWzdHT.jpg?width=1200)
圧巻ではありますが、オペラ座の場合アップルの広告と壁面柄のポスターで正面の建物がポスターで覆われてしまっているので、美しいオペラ座の建物が見えないのは観光客からもパリ在住の人達からもがっかりな印象・・・
執筆:高嶋 くらら