見出し画像

パリオリンピック 海外広告特集!

オリンピックまで2ヶ月を切りました!
現在、私はパリに住んでいるため、オリンピックの交通広告を見かける機会が増え、オリンピックムードを徐々に実感し、ワクワクしています。
ただ、街全体が会場となることで、7月上旬から多くの橋が通行止めになり、交通手段はメトロに集中するだけでなく、オリンピック期間中は切符の金額が倍になるので、パリ市民はワクワクよりも、「どうなっちゃうの?」と言ったハラハラムードの方が高いように感じます。

さて、今年の企業やブランドは広告でどんなメッセージを発信しているのでしょうか?
いくつか気になった広告をご紹介いたします!


NIKE 「Watch Where We’re Going」

IOC難民オリンピックチームのユニフォームのサプライヤーであるナイキは
選手達の未来にフォーカスした広告を制作。
難民の人々がよく聞かれる「実際はどこの出身になるの?」という問いに対して、難民の選手たちはそれぞれがスポーツで闘っている場所を挙げることで、ウィットに富んだ返答をしています。
映像の後半では、ボクサーのシンディ・ンガンバ選手が「私たちはアスリートであり、難民でもあります。国旗も母国も住む場所も失っていますが、決して諦めません。それが私たちです。今、私たちがどこへ向かおうとしているか見ていてください」と述べ、選手の生い立ちではなく、これから進む未来に焦点を当てています。

Samsung 「Open always wins」

パリオリンピックのスローガンは「Games wide open=広く開かれた大会」。このスローガンの実現に向けて、パリの街全体を競技の舞台として開放し、アスリートだけでなく、スタッフやボランティアに対してもジェンダー平等を取り組んでいます。
そして1988年のソウル大会からスポンサーを行っているサムスンは「Open always wins=開かれた心は常に勝利する」というスローガンを掲げています。

Open always winsの映像をご覧いただくと、スマートフォン向けの画角16:9で制作されたかのような一瞬の錯覚がありますが、徐々に画角が横に広く広がっていきます。選手によってスクリーンが広がっていく映像と共に、どんな失敗からも発見があり、オープンマインドによって新しい可能性が開かれ、大きな飛躍を遂げることができるというメッセージがナレーションで語られています。

Powerade 「The Valut | Pause is Power」

コカコーラから発売されているスポーツドリンクブランドのパワーエイドでは、アメリカの体操選手のシモーネ・バイルズ選手を起用した「The Valut | Pause is Power(跳躍 | 小休止は力なり)」の広告を制作。
シモーネ・バイルズ選手は、アメリカで人気が高く、東京オリンピックでもメダルが期待されていましたが、2021年の東京オリンピックの団体戦と総合競技を辞退し、メンタルヘルスに取り組むことを選択しました。彼女の決断は、翌年の2022年にパワーエイドが発表した「Pause is Power」プラットフォームのインスピレーションとなり、休止することは弱さを示す行為ではなく、むしろ力強い取り組みであり、さらなる飛躍につながることを伝えています。

今回シモーネ・バイルズ選手を起用した「Pause is Power」では、彼女が休止宣言をした時のレポーターの声が雑音のように流れ、雑念を取り払うように意識を集中し空中回転します。
スローモーションで空中回転映像が流れる中、苦悩を振り返る彼女自身の声と私生活のシーンが再生されます。厳しい練習を乗り越え、メンタルが強く見られがちなオリンピック選手でも、傷つきやすく、弱さを見せることや、一歩下がって休むことは力となることを伝えています。

P&G :企業広告ではなく、各ブランドのマーケティング強化を行う

パンパースの託児所(P&G)

P&Gといえば、2010年に発表された企業広告「Thank you mom」が有名で、その後もシリーズ化され、オリンピック選手の母親たちにスポットを当て、子供たちの可能性を信じる母親の揺るぎない愛を描いてきました。しかし、今年は企業広告ではなく、P&Gが展開する30以上のブランドがオリンピックとパラリンピックに関連したマーケティングキャンペーンを行います。
パンパースは幼い子供を持つアスリートが子供たちと一緒に過ごせるように、史上初のオリンピック選手村に託児所を設置するほか、紙おむつとお尻拭きを提供します。他にも、パンテーン、ヘッド&ショルダーズ、ミエル、ジレット、ブラウンによるビューティ&グルーミングサロン、アリエールの製品を使用したランドリールーム、Oral-Bのデンタルクリニックなど、オリンピック選手たちにP&Gの製品を実際に体験してもらうことで、選手達によるソーシャルメディアへの発信を狙っています。

パンテーンやミエル製品を使用したビューティーサロン(P&G)
ウェルカムキット(P&G)

P&Gの生理用品Alwaysはイギリスの陸上選手ジャズミン・ソーヤーズを起用したCMを公開。

以上、今年のオリンピック広告をご紹介させていただきました!
引き続きオリンピックのニュースや広告をチェックして、新しい情報や話題の広告が出てきたらご紹介いたします。

執筆:高嶋 くらら