【3分読書メモ】「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」(影山貴彦)を読んで
■基本情報
書名:テレビドラマでわかる平成社会風俗史
著者:影山貴彦
出版元:実業之日本社
出版日:2019年7月
ジャンル:社会学/風俗史
読書メーター:https://bookmeter.com/books/13894608
■気になったポイント(引用文+コメント)
トレンディドラマにあったのは、みんなが同じ方向を見て楽しむという時代性である。(中略)当時は真似をすることが恥ずかしいどころか、「乗らないと恥ずかしい」という空気感さえあった。
<メモ>"トレンディドラマ"の語義を改めて確認することができた。時代を反映した……もとより、視聴者に「今の時代はこうであるべき」と視聴者に流行とは何たるかを啓示するドラマだったのかも?
いまや若者の多くはネットコンテンツを観るようになり、テレビは「オールドメディア」とも呼ばれ、視聴ターゲットのメインは中高年層以上である。
<メモ>事実だろう。そもそも、若者はテレビを持っていない場合も多い。
過去の作品をただリメイクするのではなく、昭和の「価値観」だけをドラマの世界観に持ち込むパターンもある。
<メモ>つまり、ヒットを生み出す方程式や人々に歓迎される(好んで受容される)価値観というのは、昭和期からそれほど変わっていない。
一般的にあまり知られていない職業を取り上げるドラマは昭和にもあったが、平成は年を重ねるごとに職種が細分化し、専門性を掘り下げる傾向が顕著になった。
<メモ>ズバリ的を得た指摘。例を上げるとキリがない。時代が進むにつれ、様々な職業がクローズアップされる機会も多くなったのだろう。最近だと『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』とか?
昭和の高度経済成長期からバブル経済期にかけて職務経験がある世代は、それがマウンティングと気づかないほど上下関係に浸りきっている。
<メモ>若者と中高年の間に見られる価値観の違いは、やはりバブル期の過ごし方によるところが大きい?
ドラマも同じで、保守や革新、右と左というイデオロギーの描き具合によっては、現在ならネットで叩かれ放題になる。
<メモ> ネット社会の弊害とでも言うべきか。でも表に現れてこなかっただけで、昔も裏で相当叩かれていたのではないだろうか?
(コギャルを指して)彼女たちは周囲から「カワイイ」と言われたくてガングロにしていたわけではない。その自己主張の先に、対異性や承認欲求はない(中略)いわば女性の自立の表現だったのかもしれない。
<メモ>「コギャルは女性の自立を象徴している」という言説。個人的にはおおむね同意だが、もう少し掘り下げて考えるべきか。
「不倫」という言葉が、結婚しているのに別の相手に「恋をする」、「思いを寄せる」「一線を超える」という現在ののような意味を持って広まったのは、昭和58年の『金曜日の妻たちへ』(TBS系)がきっかけである。
<メモ> 2010年代後期に沸き起こった”不倫”ブームと比較して考えると面白そう?テクノロジーの発展(携帯電話・SNSなど)と不倫文化の隆盛は、何か関連性があるのだろうか?
(『世界の中心で愛を叫ぶ』を例にだして)ヒットのキーポイントには、「タイミングの勝利」というものがある。
<メモ>ヒットの基本原則は”時勢に合っているか”ということ。
【こんな人にオススメ】
・平成を彩ったテレビドラマに興味がある人
・テレビドラマを通して日本社会の移り変わりを知りたい人
・名作ドラマを通して”ヒットの原則”を知りたい人