親父と手をつなぐ。
私は息子。
いい歳だが
父と人前で手をつなぎ歩いている。
父の大好きな銭湯でだ。
恥ずかしさはない。照れもない。
父は、目と脚に病気を抱え数年経つ。
大好きな銭湯に
いよいよ一人で入れなくなり、
脱衣〜入浴〜着衣まで手をつなぎ歩く。
ハンドタオルも絞れないから
何度も絞ってあげる。
背中も擦ってあげる。
体もふいてあげるが
あそこはふかない。
自分で何とかせい!
声出さずとも数を数えて
湯船につかる父。
この時だけ、離れてくつろぐ。
マイペースの時間帯だ。
父の入浴を手伝うやり取り。
苦手意識やストレスを感じない自分、
ぎこちなさを感じず動けている
自分に気がつく。
私は、全盲の知人男性ランナーの
お誘いから、過去数年伴走をはじめ
お仲間さんと交流させていただいた
過去がある。
その方々のおかげだ。
実体験もそうだし、何より
お互いストレス少なく
かかわる気持ちを楽しく学んだ。
入浴後、車で親父がポツリ
わるいな〜
あの時の感じと同じだから
負担感や違和感はないよ、
と返した。
父は一度、伴走を見に来てくれた
ことがあり、全盲の方とも
短いながら会話したことがある。
息子が言いたいイメージが
少なからず湧くはず。
いやあ、背中流せなくてわるいなあ····
たまにしか連れていけない距離。
親父とあと何回、
こんなやり取りが出来るだろう。
小さい頃、
親父と幾度手をつないだんだろう。