卵巣嚢腫体験記⑥〜術後からリカバリーに向けて〜


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体験記⑥


それにしても5.5リットルの水がお腹に入っていたとは衝撃だな……

と思いながらも、眠気がありウトウト。
いつのまにか母は帰っていた。
リカバリールームのカーテンで仕切られた向こう側には、どうやら帝王切開で出産を終えたばかりの女性がいるようだった。赤ん坊とのわずかな対面時間の様子に触れた。
数十分ごとに看護師さんが傷の経過を見に来たり点滴の減り具合をみにきたりしていたが、徐々にその間隔も開いていき、寝られそうなので電気消しますね、と言われ、消灯されてしまったので、本格的に眠りについた。

目が覚めた。
そろそろ朝か。

体中にあらゆる管が通されていることや、お腹の傷の痛み気になり始める。
眠気も無く、時間が長く感じる。
看護師さんはまだか。
どこからとも無く聞こえる赤ん坊の泣き声。
一体一晩で何人の赤ん坊が取り上げられているのだろう。

扉が開き、看護師さんがまた見に来た。
今何時ですか?と聞くと、3:30ぐらいと言われる。
まだ夜中か。
かれこれ10時間程度ベッドに横たわっているので、眠気が覚めるのも当たり前である。
ここからが異様に長く感じた。
両脇に手すりがあり管も通されていて傷も痛んで体勢も落ち着かない。
少し動くだけで血圧計が異常を感知し、赤いランプが点滅し響き渡る警報音。
心臓に悪い。
することもない。
暗い。
辛い。
孤独。

7:30頃、再び看護師さんがやってきて、やっと照明が明るくなり、朝の採血。
水も少し飲んだ。
看護師さんに手伝ってもらい、歩行を試みるも傷が痛すぎて 断念。

8:00、ベッドを起こし、絶食以来初めての食事。幸せだ。1人でもう一度頑張って起き上がり、歩行をした。手術前以来初めてのトイレも無事に成功し、リカバリールームとも別れを告げ、大部屋に戻った。

入院した時と同じ妊婦さん2人の話し声が聞けて、安心感もひとしお。
看護師さんには、順調に回復しているので退院診察をすればもう退院して良いと言われた。
ずいぶんあっさりだ。

しかし昨日の今日で、まだ傷も痛むし、手の痺れも出てきたし、熱も出ているし…ということで、もう一泊だけさせてもらうことにした。
(体験記⑦に続く……)

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