A級順位戦 8回戦を見た

1月31日に関西将棋会館で行われたA級順位戦 ▲豊島九段ー△斎藤慎八段の対局を見た。
YouTubeの配信をBGMにして作業をしながら見ていたが、午前0時をすぎて日付が変わる頃には手を止めて食い入るようにYouTubeの映像とモバイル中継アプリの棋譜中継を見ていた。終局後も目が冴えていて感想戦も全部見た。スマートウォッチの睡眠記録によると寝たのは深夜2時過ぎらしい。朝起きて棋譜を見たら感想戦のコメントがぎっしり書かれていてありがたかった。
朝日新聞による順位戦のYouTube配信は感想戦まで見せてくれるのが本当にありがたい。今の将棋中継は評価値と候補手の表示もセットだから、見ている側は何の棋力もないのに「分かった風」 に陥りそうになる。自戒しなくてはいけない。127 手目には大きく分けて2つの選択肢があった。AIは簡単に1つは先手勝勢、もう1つは後手勝勢という真逆の判定をする。YouTube解説の村田顕六段もモバイル中継の糸谷八段もAIが先手勝勢とした5六同飛から考えたいとのことだった。しかし解説の棋士よりも対局者の方が余程深く読んでいると言われる通り、この選択に最後の10分を丸々と投入して考えていた豊島九段の指は動いておらず、読み切っている様子ではなかった。時間いっぱい考えて8一香成を指した姿から状況が芳しくないことが感じられた。指されたときは「逆転だ」と思ったが、感想戦でこの5六同飛の変化をやっていたのを見ると例えこの手が指されていても1分将棋の中で先手が勝ち筋を見つけるのは難しかったように思えた(村田顕六段の指摘で先手の勝ち筋が発見された)。最後の最後、豊島九段は3七香と浮いて珍しく脇息にだらりともたれ掛かった。いつものような天を見上げて心を落ち着かせるような姿は見られない。強く歯を食いしばり、堪えるような表情が強く心に残った。対局者が指し姿から教えてくれる将棋の深さのことは大切にしたいと思った。

自分は2月1日が誕生日で毎年1月末に行われるA級順位戦のラス1(最終局の1つ前の一斉対局のこと)の対局日と前後することが多い。日付が変わって今日、好きな棋士のこういう激戦の将棋が見れたことはありがたいなあと思い、今年も応援しようと思った。ファンとしては悔いのない将棋を1局でも多く指していただけたら本望である。

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