推しの言葉は五臓六腑に染み渡る

ここでの推しは将棋棋士・豊島将之さんのことを指す。

棋士は勝負の世界に生きる人たちなので日々勝ち負けがつく。当然ながら応援している棋士が負けると悲しい。大きな勝負であればあるほどだ。
とはいえオタクとしては推しの負けを理由に日々の生活のパフォーマンスを落としたくないので、この「悲しみ」を引きずらずに処理をしたい。自分なりの処理策としてはとりあえず寝るとか詰将棋を解くとかいろいろあるが、なんといっても推しの力強い言葉が一番効く。まさにいま効果を実感している。(竜王戦第2局終了直後)
それでこそ我が推し、君が銀河で1番だ。

自分の記憶力には限界があるので、いつでも思い返せるように個人的に好きな発言をメモ。

将棋の面白さ、奥深さとはー。
「相手との勝負が面白いし、盤上の真理を追究することも面白い。どう駒を動かしたら一番いいのか、場面ごとに最善手が存在するはずで、それを探すのも楽しい。情熱を持ってやっていればある程度のところまでは強くなっても、そこからが難しい。対局して修正を加えていくという地道な作業が大事。」
――最善手=盤上の真理を求めて勝負
棋士としての目標を聞かせてください。
「タイトルを取るのが目標ですね。あと、これは、将来的な話ですが、強い子供を育てたいです。土井先生には育ててもらいましたし、桐山先生には温かく見守ってもらいました。僕も同じように弟子を取って、強くなってもらいたいです。」
――駒doc. 2011年夏号

荒れに荒れた電王戦FINAL 第5局についてのツイート。結論として「もっと強くなりたい」となるのが最&高に好き。

皆さんが聞かれている「勝負師・研究者・芸術家」の割合を私も考えてみたのですが、勝負師が圧倒的に多いですね。一般的な勝負師のイメージとは異なりますが、勝ち負けにこだわってやっていますし、こだわらないといけないかなと思って対局しています。
――昔は完璧を目指していた──豊島将之七段、自らを語る
豊島「練習すれば人並みにはなんとかなるだろうと思っていたけど、人には頑張ってもできないことがあるとわかった」
室田「心が広くなってよかったですね」
――2018年・叡王戦第1局/カラオケについて

何気ない会話であるが「練習すれば人並みにできるだろう」という心持が良い。

なぜ、気持ちを切り替えることができたのでしょうか。
「3月2日にA級最終局で敗れ、プレーオフが決まったときは、王将戦も1勝3敗のカド番で厳しい状況でしたから、ある程度の覚悟はできていました。それでも結果が出なかったのはつらかったですが、指している将棋を多くの人に見てもらえて、全く無駄ではないと感じられたのがよかったのでしょう。また敗退後に、それまでいただいた応援の手紙に対する返事を書いているうちに、気持ちの整理がつきました」
――第89期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負総括インタビュー【将棋世界2018年10月号のご紹介】
相振り飛車になると、相手の玉も自分の玉も飛車の目の前に来る感じになるので、攻撃はしやすくなります。お互いに攻め合うというか、過激に言うと”殴り合う”展開にした方が自分の良さが出るんじゃないかと思ってやってみました。
――2018年の王将戦について

タイトル戦で指せるということはとても幸せなことなので、タイトル戦に出続けたいというのと、藤井さんがどんどん強くなって、すごいレベルの将棋を指していく可能性が高いと思うので、そのときに備えて自分も戦えるようにしたいというのがあります。
――最善じゃなくても、筋が通っている将棋を。今に満足せず歩みを止めない。棋士・豊島将之 28歳。
昔から投げるのは遅いほうだと思います。可能性がまったくなくなるまでは、諦めずに勝つ手段を探しています。

もう負けると自然に「勉強しないと」となりますから。「負けて悔しい」とかじゃなくて、自然に将棋をやっているので。
――【豊島将之名人】「負けて悔しい」ではなく、自然に将棋をやっている
最後のところはよく分からないまま指していて、その前ははっきり悪いという自覚がありました。でもまだ自分の力では負けを読みきるというレベルではなかったので、あきらめずにチャンスを探していました。
――記者会見/2019年・竜王戦第5局について
確かに結構難しいところはありましたけれども。まあやっぱり、将棋で負けたら将棋で取り返すしかないので。何回ダメでも、諦めずにやっていける自信はありました。

順位戦が6者プレーオフになって、5回連続で勝たないと挑戦できないというふうになった時は心が折れそうにはなりましたけど、それでも諦めずに頑張っていくことはできました。最後まで戦い抜けたというのが、結果は出ませんでしたけど、体力的な面でも精神的な面でも自信になりましたし、そこが大きかったかもしれません。
――将棋AIで腕を磨く平成生まれ初の名人 棋士・豊島将之三冠
最後に豊島竜王にとって「糖質」とは?
「最低限必要なものですか? 糖質をしっかり摂ったからって必ず勝てるわけではないですが、そこを疎かにして負けたくはない。考えられなくなって負けるのが一番嫌なので」
――竜王の集中力は糖質が創る|将棋棋士・豊島将之
私は30歳を超えているので、ここから強くなるのは一般的には難しいとされています。それでもやっぱり、食らいついて、タイトル戦に出場し続けられるようにしたいです。棋士としての生活は、勝負に向けた研究や自己管理の徹底が必要ですが、辛いことよりも楽しいことの方が多いと思っています。
――棋士・豊島将之竜王×関西大学・芝井敬司理事長徹底したAI研究が、ひとつのターニングポイントに|関西大学
豊島 そんなにハイテンションになっているわけではないですよ(笑)。基本的に元気で将棋をできていたらプラスかな、という感じです。
――【豊島将之×糸谷哲郎】将棋研究2.0 第71期王将リーグ特集
「他のタイトルホルダーと差があると言っても、それは紙一重です。何かを改善すれば押し戻せる感覚はあるんです」
――羽生善治との竜王戦で見せた豊島将之の温かさと《名人経験者が戦慄した“豊島の鏡”》とは
「将棋の(対局中に)緊張することはありますか」の質問に豊島は「緊張することはけっこう多い。深呼吸して気持ちを落ち着けています。緊張することは悪いことではないので、緊張したほうが力を出せることが多いと考えるようにしています」とした。
ーーー豊島将之竜王「緊張することは悪いことではない」小5、6年生の質問に

また何か思い当たることがあれば追記します。

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