他大学から再受験をして入部した執念の人
慶応仮面浪人の異色の外野手。京大野球部入部の経緯は?謎に包まれる彼のベールを剝がすべく、真相に迫った。
杉山柊斗(すぎやま しゅうと)
神奈川県栄光学園高校。教育学部4回生。左投左打。外野手。トレーニング班、班長。フィジカルを鍛えるには彼のアドバイスを聞いておけば問題ない。トレーニングメニューを説明する姿は、もはや体育の先生そのもの。小柄ながらも夢のあるプレーで周囲を魅了する。
野球部入部経緯
現役受験で京大入学が叶わなかった後、1年間の頑張りで慶応大学に無事入学。キャンパスライフにも慣れ始めた頃だった。ふと予備校時代同期だった宮田(後に野球部の1つ上の先輩となる)を思い出す。宮田は予備校時代苦労を共にした仲であり、一浪した後、京大野球部に入部していた。
同時に高校生の頃、TV番組で京大野球部からプロ野球選手になった田中英祐さん(元千葉ロッテマリーンズ)を思い出した。
調べるにつけ、京大野球部が強豪大学相手に接戦を繰り広げていることに驚いた。「自分みたいな選手でも強豪相手と戦って活躍できたら楽しいだろうな。」と京大野球部への想いは日を増す毎に膨らみ、大学1回生でありながら京大入学を目指す暮らしが始まった。
仮面浪人時代の苦労
高校三年生の時、1度京大を受験していた経験から、合格する為にどの教科を勉強するべきか、自分が一番わかっていた。一日の勉強時間はわずか5時間。量より質の勉強を続けた。
日中、大学での授業を受けながらの受験勉強のつらさは、想像をはるかに上回った。しかし、授業と受験勉強の両立の道を選んだ。
しかも親や友人には、その思いを打ち明けられず受験勉強に取り組んだ。
無事合格すれば、この1年間の授業料が無駄になり、更に親に負担を掛ける。仲良くしてくれた友人とも離れる事となる。自分のわがままは理解しているつもりだが、周囲の反対の声に影響されたくなかった。まさに仮面浪人を貫いた。
それだけ本気で京大合格を目指していた。
仮面浪人生活は勉強のスイッチを入れるのも難しかった。友達と楽しく授業を受けた後に一人で図書館に向かう。正直辛い時間を過ごした。
(通常の仮面浪人をする人の多くは授業に出席せず受験勉強に専念するそうだ。)
モチベーションの保ち方
モチベーションの維持が最も難しくなったのは夏休み。やる気スイッチを入れ直す為、京大野球部のリーグ戦観戦を決めた。「今から見に行く試合、京大が勝利したら何が何でも入部する」と願掛けをして東京から関西までやって来た。その試合は見事勝利。同志社大学相手に終始、京大の優勢試合だった。背中を押してもらった。
さらに、吉GのキセキやTwitterのリーグ戦勝利インタビューを定期的に見ることで、常にモチベーションを保った。
チーム内の役割
最高学年として後輩への声掛けを特に意識している。先輩から数えきれない程、声を掛けてもらった。下回生の時、結果が出ずモチベーションの維持が難しかったが、そんな時こそ声を掛けてくれる先輩方の温かい言葉に救われた。この経験を活かし、自分と同じように救われる者がいるかもしれないと思い、また先輩への恩返しの為にも、どんな些細なことでも声掛けをするようにしている。
自身の強み
忍耐力だろう。野球以外の面でもそうだ。京大に合格するまでに2年かかったが耐えた。また下回生の頃は試合には出れなかったが、「試合に出してもらえる為」と目標を定め、練習に工夫を凝らした。
下回生の頃は、量をやれば自然と結果は付いてくるだろう。と、がむしゃらに練習をしていた。しかしある日、#37 鈴木の一言で意識が変わった。「意味が無いとは思わないけれど、今の練習を続けていても現状から変わらないのではないか。練習方法に工夫をしてはどうかな。」“工夫”その言葉で火がついた。1日5時間しかなかった勉強時間、あの時の工夫。
その日をきっかけに、結果を残している選手にアドバイスを求めるようになった。練習方法、打席での気持ちなどを聞き実践に移した。結果が出ないときこそ、忍耐力。その先に道が開けると信じている。
コロナ禍を通して
昨年4月より約3か月間丸々練習ができなかった。しかしその中でも人数制限の範囲内で集まりトレーニングを行ってきた。いつリーグ戦が再開しても良いように常に準備している仲間に刺激を受けた。自分も一緒に頑張ろうと思えた。
コロナ以前はトレーニングに練習を重ねるハードな日々だった。しかし、コロナの自粛期間で練習方法の在り方を見直した。技術的な練習ができない為、規則的な食事とトレーニングに力を注いだ。その結果、今まで以上に体が大きくなった。
「どんな環境であれ、やれる事はある」コロナ禍での学びを今後も活かしたい。
今後の目標
「リーグ戦に出場し、ヒットを打つこと。できればホームランも打ちたい。」
周りの人への感謝
野球生活も残すは5ヶ月。
「引退直前みたいになりますが、先に伝えさせてください!」
指導者の方へ 「結果が伴わない時も信じて起用し続けて下さり、ありがとうございます。大変嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいです。」
同期へ 「今まで結果を出してこなかったけど、期待してアドバイスを沢山してくれた。ありがとう。」
両親へ 「仮面浪人をしたり、他の人よりお金の面でも負担をかけてきた。それでも文句一つ言わず、自分の好きに人生を歩ませてくれていることに感謝です。ありがとう。」
筆者:洞本あんづ
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