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セ特について思うこと。

セ特というのはan・anの「愛とSEX特集」のことだ。
露出度が高い格好(というかほぼ裸)で異性のモデルとの行為を匂わせるようなグラビアが特徴。

過去に旧ジャニーズのタレントが何度か起用されており、今回SixTONESの田中樹が掲載された。

樹のセ特はかなり攻めたグラビアで、田中樹という人間のパブリックイメージ(=特定の相手を作らなそう)をよく体現していた。


と、同時に思うことはやはり、

「え、これは性加害にはならないの?」

だった。


昨今、ジャニーズのタレントの性加害問題はすごくセンシティブで、もちろん前社長の行った行為自体の問題ではあるが、付随して作品やメディアでの性的搾取にもかなり敏感になっていると思う。

レギュラー番組が終わったり、出演できるメディアが限られていく中で、「このセ特はいいんだ!?」と思ってしまった。


グラビアだけじゃなくてインタビューの内容も「あなたにとって最高のセックスとは?」と聞くなど、なかなかだった。
アイドルにそんなこと聞くなよって感じだし、そもそもセクハラではないだろうか。

この質問の意図としては、「上手く質問を交わす力」をアピールさせたい(樹の場合は「美味しいご飯を食べる」みたいな話に方向転換していた)のだと思うけど、いや、それ以前にそもそも聞くなよそんな話。


こういう時、ダブルスタンダードというか、世の中の矛盾みたいなものを感じる。


つい最近、「先生の白い嘘」という映画がインティマシー・コーディネーターを入れなかったということが物議を醸した。
インティマシー・コーディネーターとはヌードやセックスのシーン撮影時に出演者と制作側の間に入って、安心して撮影が出来るようにサポートする役割のことだ。

こういう職業が注目され、一方的な圧力ではなく出演者も制作者も安心して作品が作れるというのはいい傾向だと思う。

だけど、「インティマシー・コーディネーターを入れるかどうか」なんて議論が出来る環境ってそもそもかなり恵まれてる。

実際のところ、本当にハラスメントや性加害が横行している現場では、そんな話出ることが難しいのではないか。(価値観的にも、予算的にも)


例えば。
樹がセ特で本当は過激なシーンを撮りたくなかった、とか、「最高のセックスとは」なんて質問答えたくなかった、とか。そういう可能性もある。
そこにインティマシー・コーディネーター(的な立ち回りをする人)がどこまで存在していたのか。

こういう疑問に対する答えとしては、おそらく「田中樹はプロ意識が高いから大丈夫」とか「セ特に出るのは名誉なことだからむしろ美味しい」とかなんだろう。
でも、本当はその考え自体がダメなわけで。
プロ意識とか大きい案件とかで片付けちゃダメなんだよ。拒否したい人がプロ意識低い人ってことになってしまう。

これ、本質、ジャニー喜多川の性加害問題と変わらないからね。


価値観や予算の話をしたけれど、地下アイドルの現場とかもっとひどいと思う。男女問わず。
パフォーマンスよりファンとの接触イベントの価値が高くなっている市場だから、どんどん過激な接触を売りにするアイドルが多くなる。
そこに「インティマシー・コーディネーターはちゃんと入れてるんですか?」なんて言ってみようものなら、鼻で笑われるだろう。


やれ、男児を女湯に入れるな、とかそういう面の性の意識はどんどん進んで行く一方で、こういうところの性の意識って逆にどんどん悪化していっていて、そのギャップが苦しい。



ダブルスタンダードは私の中にも存在する。

こんなに偉そうなことを書いてるけど、私はアイドルのグラビアを見るのがだーいすき!
水着の女の子がキラキラしてるのってすごく可愛いと思う。
ジャニーズが出てるananだって何冊か持ってる。ていうかつい数週間前に買った。
キズナアイが女性蔑視のイラストだって炎上した時だって「え、普通にただの可愛い絵じゃん」って思っただけだった。(そもそも森倉円さんのイラストが好きなので)

そうなってくると、私自身も搾取に貢献してるじゃん、と思っちゃう。
実際セ特だって、「ドン引き5割」だけど「おもろい5割」みたいなところある。

こういう矛盾、抱えてる人結構いると思う。

過渡期なんだと思うよ、色々と。
でもこういうの「もう時代的に古くない?」ってちゃんと声をあげられるようになりたい。

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